悪魔の手による演劇変更

・・・奇妙な男との奇妙な出合い。だがその日以降アッシュは男の事を思い出すこともなく、七年の時を過ごした。本来であれば怒りを向ける対象は用意された相手であったが、男によりその未来が変わる形になった分岐点などと知るよしもないままに・・・


















「・・・さぁ、力を解放するのだ!愚かなレプリ」
‘ズブリッ!’
「ぐっ・・・あぁっ・・・!?」
「えっ・・・せ、師匠・・・!?」
・・・場所はアクゼリュスという街の坑道の奥、ヴァンという男とアッシュにそっくりなルークという人物がいた。
そこでヴァンが歪んだ笑みと共に何かを言おうとしたが、いきなり脇腹に突き刺さった剣に半ば混乱気味に痛みに声を上げ、ルークもヴァンの変貌からそのような光景を目の当たりにしたことに何が起きたのかと動揺しか出来ずにいた。
「・・・チッ、やはり剣は投げる物ではないな・・・慣れん事をしたから、胸を狙うつもりがズレてしまったぞ・・・だがギリギリ間に合っただけ良しとしようか」
「お前はっ、アッシュ・・・何故・・・!」
「何故だと?貴様を止めるためだ・・・そんなことも分からんのか、今の状況から」
「ぐぅっ・・・!?」
するとその場に現れたのはアッシュで不機嫌そうに話を進めていく様子にヴァンは何か返そうとするが、腹の傷はやはり重傷なようで苦悶の声を漏らすに留まる。
「せ、師匠・・・お、お前一体何をしてんだよ・・・!?」
「・・・話は後でゆっくりしてやる。今はこいつをどうにかすることが先だ」
「・・・ぐっ!」
‘ブン!’
「っ、しまった・・・!」
そこにルークが動揺を抑えられないままアッシュに話し掛け、その声に気を取られていた姿を見てヴァンは胸元から何かを取り出しパッセージリングへと投げつけ、アッシュはその投擲物を見て不覚と歯を噛み締める。



‘ドォォォンッ!’



「くっ・・・!」
「ぐっ・・・もしもレプリカが使えなかった時の保険を、こんな形で使うことになろうとはな・・・!」
「ヴァン・・・貴様・・・!」
・・・そしてパッセージリングで爆破した投擲物の爆風にアッシュは動きが止まり、ヴァンの痛みに苦しみながらの声が耳に届き忌々しいと声を漏らす。


















・・・その後、アッシュはヴァンと対峙しようとしたが次第に崩落していく場にヴァンが魔物を呼び出して重傷のままに退場していったことでどうしようも出来なくなった。その上でアッシュにも魔物を差し向けられて捕らえらそうになったが、そこは冷静に魔物を斬り落とした事により連れていかれるような事はなくなった。

だがその為に崩落するアクゼリュスから逃げることは出来ず、やむ無くアッシュはルーク達と共に行動せざるを得なくなった。下手に動けばアクゼリュス共々、消滅して死に至ると理解した為に・・・



「・・・さて、少しは状況も落ち着いて来たことですし今度は貴方に話をお聞きしたいのですが・・・アッシュ」
「・・・まぁ当然だろうな、お前達の立場からすれば」
・・・それでアクゼリュス崩壊後、魔界という場所に落ちてきたアッシュ達は共に落ちてきたタルタロスという艦に乗っていた。
その艦の上でジェイドという男が眼鏡を押さえながら暗に逃がさないと静かに圧をかけてくる様子に、アッシュは仕方無いとばかりに眉間にシワを寄せる。面倒だといった気持ちを隠すことなく。









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