揺らがぬ愛と思うは一人ばかり

「ですから、私は迷いません・・・もう一度言いますが、事が済んだらアッシュを始末しなさいウォルター」
「・・・御意」
・・・そしてウォルターへと向き直り改めて始末をと迷いのない目で命令するナタリアに、執事として頭を下げて了承して返す。口元を若干緩めつつ・・・





















・・・そして後日、ウォルターは牢屋のアッシュの元に来た。



「・・・ウォルター!」
「小便はすませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」
「はっ!?おい、まさか・・・俺を殺すつもりなのか、ウォルター!?」
「はい、ナタリア様のご命令ですので」
「ナタリアの、だと・・・!?」
「はい、貴方がまだ約束を覚えていらっしゃると思ってはいなかったと意外に思っていたとのことですが・・・貴方の行動は約束を反故にしたも同然の行動とナタリア様は判断し、貴方を始末するようにと私は命令を受けました」
「っ!?ウォルター、ナタリアに会わせてくれ!頼む、ナタリアと話をさせてくれ!」
「申し訳ありませんが、言い訳を聞き入れるなとナタリア様の命令です・・・諦めてください」
「そんな・・・」
「では・・・」
「や、やめっ・・・」
・・・牢に来て会話をするウォルターとアッシュだったが、取り付くしまのない様子に絶望するアッシュにウォルターは自身の武器であるワイヤーを構える。制止を願う声など聞こえない、絶望と焦燥の表情など知らぬとばかりに・・・









「・・・終わりました、ナタリア様」
「ご苦労、ウォルター・・・今のルークの様子はどうですか?」
「真実を知られた時に比べて落ち着いております。後はゆっくり心を乱さぬよう、レプリカの事を知った上で優しく害をもたらさぬと行動で示したなら次第にこちらに心を開いてくださることでしょう」
「それだけ衝撃を受けたということですか・・・分かりました。本当の意味での子どもをなぶるような事は私の本意ではありませんし、彼には落ち着いていてくれる事を優先していただきますわ。もうキムラスカの次代を担えるのは彼と私のみで、彼に無理をしてもらうのは様々な意味で酷ですから」
「御意」
・・・それでナタリアの部屋に戻ったウォルターはルークについての会話を交わし、穏便に済ませるという形でいくという結論になる。今しがた何をウォルターがしてきたか、血生臭い結果が伴われた行動の事など何一つ語ることなく・・・





















・・・この数年後、キムラスカの国主は男がなると言われていたが女がなった。だがその女王の存在によりキムラスカは預言に詠まれた繁栄とはまた別の繁栄の次代を迎えた。

ただその過程の前に、女王との約束を胸に秘めて動いていたが自身の行動により愛を受け取られなかった男がいたことは、限られたごく一部の者しか知らない・・・












END









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