この時しいなは予期せぬ出会いに喜ぶよりもまず、何故との気持ちが浮かんだ。どうあってもルークがマルクトに来なくてはならない理由もだが、ティアという神託の盾の制服を着た人物とたった二人きりでいるというまず有り得ない状況に。

そんな姿を見たものだからしいなは影から見守るだけで事を済ませようとしていたのを急遽取り止めにし、アニスを呼んでルークについてここにいることのおかしさを含めて同じ場にいることを告げた上で表向きに合流することにした。下手にルーク達を放っておけばどうなるか後々が分からなくなるからと、内心も表向きも関係無く危機感を募らせる形で。

それでしいなはイオンへの説明をアニスに任せた後、偶然を装いルーク達へと接触した。その際に探りを入れようとしたが、やたらとピリピリしているティアに話を何度となく遮られた為に仕方無くしいなはティアがいない時を狙ってルーク一人に話を聞いてみたのだが・・・その中身にしいなは唖然とした。まさかキムラスカの重鎮であるファブレの家に同じ神託の盾の人間であるヴァンという人物を襲いに来て、その中で擬似超震動がルークとティアの二人の間で起こりマルクトまで飛ばされてきたというのだから。

そして更に唖然としたのはそれだけの事を仕出かしたにも関わらず状況説明を求めるルークには貴方には関係無いに理解出来ないとばかり言って説明を拒否したばかりか、自分が悪いと言いつつも結局は態度を変えることなく上から目線で事を進めてきたことだ・・・正直、しいなには信じられなかった。ティアの行動もその思考も常人離れとかそういったことからかけ離れすぎて、常軌を逸している事が。

その上で自分がルークと共にいなければ預言云々とかではなく、単純にティアにルークが殺される事態になりかねない・・・そう思ったしいなはルークを自身が守ると決めた上で、ティアに対するルークの不満を代弁するようにしようと同行を申し出た。半ば勢いに任せたような判断だとしいなも自身で後になって考えたが、それが結果的に正解であった事もまた後で確信した。









・・・そうやって後に世界を救う一同の中に入って旅をしてきたしいなは元々から求めていたこともありルークと友好的な関係を築いてきたが、その反面でティアもまたルークに対して想いを寄せ始めている事を感じていた。同じ女性の立場から見て、同じ男性を好きになっていることを感じて。

ティアがそういった気持ちをルークに抱き出した事について、当然しいなはいい気がしなかった。自分がやったことに対しての責任を全く理解してないこともそうだが、何よりルークを奪いかねない可能性を秘めていた為に（ちなみにナタリアに関してはアッシュを影で脅し、戻る気はないなどと言う強がりの気持ちを二度と起き上がらせないようバキバキにへし折り共にキムラスカに戻した。アッシュが散々自分の立場に送られたルークの事を恨んでおきながら、自分は戻らないなどとほとんどルークへの八つ当たりで言ったため、そうルークに責任を全て押し付けると言うなら嫌でも叩き戻すと考えたしいなにより。だからナタリアに関してはもう不安はない・・・ルークの相手になるという不安は）。

それでしいなは考えた、どうティアを排除するかについてを・・・ただどうするかについては簡単に結論が出た。それは今までの行動がどんなものだったかを白日の元に晒せばいい、という至ってシンプルな物である。ティアの行動は神託の盾内どころかどこに出しても恥ずかしいどころか裁きの対象になってもおかしくない行動で、それを改めて明らかにすれば自然とティアは何も出来なくなる・・・しいなはそう考えた。

そしてその為にしいなはダアト内部に働きかけ、ティアの行動についての裁判をするようにと話を進めた。唯一イオンは苦い顔を浮かべたが、しいなが自身やアニスの一家を含めた恩人であることやティアの行動が本来罰せられるべきものであると聞いてやむなくティアを裁くことについてを了承した。

・・・それでしいなは最後の仕上げとしてそのティアの状況についてを利用することにした。ルークの心を手に入れるためにその状況を。











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