自業自得を加速させ、愛を奪う

「そこのとこでファブレやキムラスカに対しての被害が実際の所でどんなものだったのかってのを考えもしなかったあんたもあんただけど、ガイもガイでどうかと思ったわ。ファブレに対して忠誠心がなかったにしたって、ファブレ邸で起こったことを正確に把握してないばかりかあんたに何事もなく話してたんだからね」
「っ・・・!」
その上で嘲るように続けられた言葉にティアは反論出来ずに歯を噛む・・・自分がそれらについて何も考えてなかったことを否定出来ない事もだが、ガイに対しても不名誉な事を言っているのに自分自身納得する以外に出来なかった為に。
「・・・ま、そういうわけさ。あんたからすれば今更過ぎたことだとかって話になるかもしれないけど、元々アクゼリュス行きにして無理矢理死罪扱いにしてチャラ・・・なんて都合がいい事で済ませようとしたモースはもういない上に、あんたは今こうやって生きている。だからこうやってあんたは牢に入れられてるって訳さ・・・ちゃんとやったことの落とし前をつけてもらうためにね」
「っ!だっ、だったら!せめてイオン様に会わせて!貴女の言うことが本当なら、私は罰を受けなければならないのかもしれない・・・ならばせめてただ処罰されるとかじゃなくて、時間をかけてでも迷惑をかけた分を返せるようにしたいの・・・」
「そいつは無理な相談だね。だって今ここにあんたがいることも含めて導師の判断の元、出された指示なんだからね」
「!?」
「ついでにもっと言うなら、ルーク達にもこの事は伝える手筈になってる。もうティアを表舞台に出すわけにはいかない・・・だから処罰すると、抗議も受け付けないことを強調する形でね」
「!!?」
それでガイから話を戻されいよいよ自らの処罰が具体性を帯びてきた所でティアは精一杯にイオンへの嘆願を願う声を上げるが、イオンは元よりルーク達にも救いは求めても無駄と返すしいなに二重に愕然とする。何故そこまでと。
「一応補足はしとくけど、イオンはあんたの処罰に関しちゃ渋ってたよ。ただ導師として詠師達が判断したことについて無視出来ないと、そう考えたからこうなってるのさ」
「そんなっ!?なんで私の事でイオン様がそこまで言われなきゃいけないの!?」
「・・・本来なら表向きのあんたの功績は世界を救った英雄の一人って、そういう肩書きになるんだろうさ。でもね、元々あんたはさ・・・謡将が何をやってたのかを少なからず知ってたんだろ?それも、二年も前から」
「そっ、それは・・・」
「あんたが謡将の事を信じたかったから自分で色々調べようと思ったと、そう考えること自体は別に自由さ。でも誰かに言えば予防策を取れたかもしれないことを誰にも言わず、むざむざと謡将達を野放しにして止めれる筈だった被害を拡大させてしまった・・・そう考えるとあんたにも責任の一端は十分にあるのさ。ファブレ邸を襲撃した事実と合わせれば英雄の名を冠する事なんか許される訳がないってくらいにね」
「!!・・・そん、な・・・」
そして軽めの補足からヴァン達の事実を知っていたことを黙っていたことを持ち出し、二つの事実を合わせればイオンも許す方に話を進めれなかったとしいなは言い切りティアは自身にとってあまりにも衝撃の連続にとうとう立っていられなくなったのか、地面に膝をつけ呆然とした言葉を漏らした。
「・・・ま、そういうわけさ。あんたにはあんたの言い分はあるんだろうけど、そいつはあくまであんたの言い分でしかない。そしてその責任からあんたを実質死刑って形でアクゼリュスに送り出したモースはもういないから、改めてこういう形になった・・・それをよく噛み締めるんだね。自分が処罰されるまでね」
その姿を見下ろしながらしいなは最後通告とばかりに言葉を送る・・・ティアからは見えないが、勝ち誇ったような歪んだ微笑を確かに浮かべながら。








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