自業自得を加速させ、愛を奪う

「それでいざルークを探しにきて見付かったこと自体にはガイも幾分か本音からホッとはしただろうね。自分の復讐の見極めの為にルークがいなくなる事態はなくなった事に。でもそうやってルークの事にばかり気をやっていたガイは忘れていたか、全く考えてもいなかったか・・・あんたがファブレでどんなことをやったのかに被害を与えたのかを気にした様子もなく、好意的に接した」
「それは!ガイがファブレに与えた被害は大したことないって知っていたから・・・!」
「どう少なく見ても数十万ガルド以上の被害額をファブレにキムラスカが被ったのに、それを少ないなんて言えるのかい?」
「っ!?・・・数十万ガルド・・・!?」
それでしいながガイの行動についてを更に詳しく説明していく中でティアは大したことないはずと信じることを拒否するよう叫ぶのだが、具体的な金額を口にされ愕然とする。そんなに被害を与えた訳はないと。
「あんたは単にファブレを王族に繋がる一貴族程度にしか考えてなくて、謡将を襲うために屋敷を襲撃しても謝ればそれで許される・・・とでも思ってたのかもしれないけど、そんなわけないだろう。ファブレは今言ったように王族に繋がる貴族、それももしインゴベルト陛下に何かあれば公爵が代理ないし国王となって指揮を取らなきゃならないほどに重要な位置にいる大貴族さ。そして公務においても公爵はその地位の高さに比例するよう、重要な案件をいくつも抱えてそれらを整理しなきゃならない立場にいる・・・ダアトで言うならそれこそ大詠師ってNo.2の立場の超がつくお偉方さ。そんな立場にいる人の屋敷を襲撃しておいてはいそれで終わり、なんて都合のいい話があるとでも思うかい?もしモースの家だとか部屋が誰かに襲撃されたと置き換えて、考えてみな」
「っ・・・・・・そ、れは・・・」
しいなはその様子にファブレがいかにキムラスカにとって重要な人物かを説明していき、モースと同じような立場だと言ってから問いを投げ掛けるとティアは蚊の鳴くような声で必死に返そうとする。だが大詠師というダアト所属の自らにとって絶対の立場にいる人間と国は違えど同等の立場と言われてしまったのだ。流石にそんな言われ方をされればティアとて黙らざるを得なかった。
「・・・話を続けるけど、そんな公爵はあんたが屋敷の襲撃及びルークと共に疑似超振動を起こしたことによりその後始末をすることを選ばざるを得なくなった。自分の屋敷で起こったことだから、否応なくだ。そしてそんな中でどんな被害が出たのかって言えばあんたの譜歌により怪我を負った人達の治療は勿論、その中で起きた二次災害とも呼べる器物破損・・・まぁこれは倒れこんだ際の衣服や鎧、もしくはその時持っていた物や近くにあって倒れこんだ際に巻き込んだ物とかだね」
「そっ、そんなに私は迷惑をかけてたというの・・・!?」
「そうだよ。でも、これは規模というか金額で言えばあくまでまだ少額な方・・・本題となるのは公爵がその事後処理に追われ、公務をストップせざるを得なくなった金額さ」
「っ!?」
「そんなに意外かい?人一人の仕事を止めた程度でそこまでいかないとか思ってるんだろ・・・まぁそりゃあんたみたいな一兵士って立場の人間なら一人が仕事を止めた所で迷惑するのはその仕事に関連する周囲の人達だけさ。でも公爵は違う・・・公爵は下から回ってきた書類やらなんやらと色々と目を通して、国の為になる物かどうかを事細かに判断しなきゃならない立場にいる。その命令一つで国が大きく動かせる権限を持っているのさ・・・でもあんたがファブレ邸を襲ったことで、その対応の分公務をこなせなくなった。その公務が遅れた分で無駄にした金額は少なくとも数十万ガルド・・・とは言ったけど、あくまで言葉通りそれは少なくとも。正確に計算したらその額の桁が一つ増える可能性は高いだろうね」
「っ!!」
・・・数十万の桁が一つ上がる、それはつまり百万の桁になるということ。
迷惑をかけた規模の大きさが如何な物かと詳しい説明と共に聞いたティアは息を詰まらせ顔を青白くする以外になかった、神託の盾の給料では数年単位で飲まず食わずで働いてもとても返せるような額ではなかった為に。







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