足を踏み入れしは自らが作りし墓穴

「そのあたりで止めておいてやれ」
ナタリアがこれ以上壊れて行く前に、ルークは制止をかける。
「ナタリアは贖罪の為にマルクトに行ってもらう。このくらいにしてはもらえないか?」
「贖罪?ナタリアが何を・・・」
ガイは比較的言われた言葉に刺が少ないため、まだ発言力が残っている。
「勝手に俺達についてきたナタリアにはキムラスカで出奔の罪が問われていた。更に国務を放棄した罪もな。故に贖罪をしてもらおうとな。それと預言通りに戦争を起こさない為にはマルクトとの和平は不可欠だ。贖罪と和平、一挙両得だろう」
「・・・という事は私はナタリアと共にマルクトに戻る訳ですか」
「いや、正確にはアッシュ達にもついて行ってもらう」
「・・・え?僕たちもですか?」
「先に言っておくが、お前らには選択権はない。ナタリアとアッシュの贖罪をさせたいなら全員がマルクトに行くことだ。もし誰か一人でも拒否の姿勢を示したらキムラスカはマルクトとの和平の代わりに、国交の断絶を別の使者を立ててマルクトに送る。更にはキムラスカはナタリアとアッシュの擁護をせず、国内から永久追放にする」
そこまで言われ、民を味方につけているルークに逆らえるはずもない。更にはギアスの力で重臣とモースを従えている、どのような経緯であれ権力を身につけているルークが預言回避の為に動いているのは明らか。ここで断る理由ははっきりと言って、ジェイド達にはなかった。
「・・・わかりました、私はそれで構いません」
ジェイドの言葉を皮切りに、アッシュを抜かした男性陣はルークの答えに頷く。アッシュと女性陣は頷きもしないが、下手に突いてもどうせ立ち直りもしないのだから、もう行くと括る方が何事もなくていいだろう。
「なら港に船を用意してやる。それともタルタロスがあるならタルタロスで行くか?」
「・・・タルタロスで行きます」
「そうか、ならこちらの兵士をつけてやろう。道中色々申し付けてくれ」
「・・・はい、ありがとうございます」
そうルークが右側を向くと、待機していた兵士達が一斉に外に行進していった。そしてルークがアルバインの方向に向き直ると、アルバインが書簡と何やら手紙をジェイドに手渡す。
「書簡は和平の為に勿論必要だが、その手紙もマルクトのピオニー陛下に届ける必要がある。だがその手紙はマルクトに着くまでは読むな。いいな」
「・・・はい、それでは失礼します」
そういうとジェイドはアッシュと女性陣達を引き起こしていき、無理矢理謁見の間を出ていった。




「・・・あの手紙が最後の仕上げか、ルーク」
「ああ、そうだ。後は賢帝と評される人物に奴らの運命を委ねるだけだ」




全ての深淵に通じる道は賢帝に委ねられた
さあ、彼らは堕ち続けるのか逃れるのか?




END









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