自業自得を加速させ、愛を奪う
「あんたはまだ体調としては全然マシな方だろうさ。譜歌をモロに受けた身としちゃね。でもね、それは今あたしがいきなりって言っても目の前で譜歌を歌ったことに加えて、普通の人より術への耐性がついていたからであって・・・あんたはファブレに侵入した時、あんたは奇襲の形で術を受ける覚悟すらさせない状態で譜歌を聞かせた。そんな状態で術への耐性がないなら、今のあんたみたいにせめてもの受け身すら取ることも出来ずに倒れおちるのがオチさ。無防備な頭や体をガードすることも出来ずにね・・・そうなった状態で頭に体を地面に打ち付けたら、場合によっちゃ命に関わってもおかしくないんだよ」
「っ!?そ、そんなはずないわ!あそこにいたのは兵士ばかりで・・・!」
「兵士なら大丈夫、なんてのはあんたが勝手に願ってる事だろ?何事もないなんて風に思いたいってね。けどね・・・マルクトからバチカルに戻ってファブレの屋敷に入った時、メイドが入口に並んでただろ?あのメイドの人達が術への耐性があったり、ましてや襲撃時にたまたま全員タイミングを見計らったかのようにいなかったなんて都合のいい現実があると思うかい?」
「っ!?」
そのまましいなが突き付けてくる言葉の数々にティアは必死に言い訳を返してくるが、更なる事実を思い出させる言葉にハッと息を呑んだ・・・ティアの脳内に浮かんだのはファブレ邸の入口で可愛らしいメイドの衣装に身を包んだ、とても戦えそうにない女性達の姿である。
「それに加えて言うならガイもそうさ。元々行かなくても来なくてもよかったはずのマルクトにまでルークを探しに行く、なんて事をしなきゃなんない事態になったんだからね・・・ま、ガイの事だからこれを言っても今更だとか結果オーライだとか言って笑いそうだけどファブレからしたら単に謝るだけですむはずもない・・・私の調べた所だと、そんな状態で譜歌を聞かされたもんだから結構な実害があったそうだよ。今言ったように屋敷の中の人達は結構な数でケガを負ったって形でね。まぁ不幸中の幸いって言うべきか命にまで影響が出るほどの被害を被った人間はいなかったそうだけど、それでも結構傷が深かった人もいたらしいからね」
「そんなっ!?公爵はそんな風な事は言ってくれなかったわ!それにガイもそんなこと一言も言っていなかった!」
「公爵がそう言わなかった理由についちゃあんたがその事を承知の上でファブレ邸に来たとでも思ったからじゃないのかい?ま、モースに黙ってアクゼリュスに送られることを決められたことからして改めて言う必要なしとでも思ったのかもしれないけど・・・ガイに関しちゃ言わなかったってより、単に気付いてなかったか考えてなかっただけだと思うよ」
「え・・・どういうこと・・・ガイがそんなことになるなんて、有り得ないわ・・・」
そこからガイについても引き合いに出してファブレの被害について話をするしいなにティアはそんなはずないと声を大にして反論するが、少なくとも公爵はそれはないと言いつつガイはまた別物と言われ何故と戸惑う。ガイはティアの中では細やかな事に気が付いて、ミスなどするような人物ではないと。
「ま、考えられる理由はいくつかあるけど可能性として最も大きく割合を占めてるのは・・・もしルークを探して行方不明ないし、死亡が確認出来たなら予期しない形でファブレが終わるって事に期待してた事だと思うよ」
「なっ!?ガ、ガイがそんなことを考えるなんて・・・!」
「あるはずがない・・・そう言いたいかもしれないけど思い出してご覧よ。少なくともあの時ガイは復讐の事について誰にも言ってなかったし、ましてや諦めてた様子もなかった。そんな時にルークがいなくなれば・・・復讐を止める事を考えてなかった当時のガイからしたら心残りはあっても、ファブレに少なくとも大ダメージがあることを喜んでたと思うよ」
「・・・っ!」
それで過去のガイの心理を想像していくしいなの声にどうにか否定したかったティアだが、復讐を諦めきれてない時の事なだけに有り得なくはないと感じてしまい悔しげに視線を背けてしまう。
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「っ!?そ、そんなはずないわ!あそこにいたのは兵士ばかりで・・・!」
「兵士なら大丈夫、なんてのはあんたが勝手に願ってる事だろ?何事もないなんて風に思いたいってね。けどね・・・マルクトからバチカルに戻ってファブレの屋敷に入った時、メイドが入口に並んでただろ?あのメイドの人達が術への耐性があったり、ましてや襲撃時にたまたま全員タイミングを見計らったかのようにいなかったなんて都合のいい現実があると思うかい?」
「っ!?」
そのまましいなが突き付けてくる言葉の数々にティアは必死に言い訳を返してくるが、更なる事実を思い出させる言葉にハッと息を呑んだ・・・ティアの脳内に浮かんだのはファブレ邸の入口で可愛らしいメイドの衣装に身を包んだ、とても戦えそうにない女性達の姿である。
「それに加えて言うならガイもそうさ。元々行かなくても来なくてもよかったはずのマルクトにまでルークを探しに行く、なんて事をしなきゃなんない事態になったんだからね・・・ま、ガイの事だからこれを言っても今更だとか結果オーライだとか言って笑いそうだけどファブレからしたら単に謝るだけですむはずもない・・・私の調べた所だと、そんな状態で譜歌を聞かされたもんだから結構な実害があったそうだよ。今言ったように屋敷の中の人達は結構な数でケガを負ったって形でね。まぁ不幸中の幸いって言うべきか命にまで影響が出るほどの被害を被った人間はいなかったそうだけど、それでも結構傷が深かった人もいたらしいからね」
「そんなっ!?公爵はそんな風な事は言ってくれなかったわ!それにガイもそんなこと一言も言っていなかった!」
「公爵がそう言わなかった理由についちゃあんたがその事を承知の上でファブレ邸に来たとでも思ったからじゃないのかい?ま、モースに黙ってアクゼリュスに送られることを決められたことからして改めて言う必要なしとでも思ったのかもしれないけど・・・ガイに関しちゃ言わなかったってより、単に気付いてなかったか考えてなかっただけだと思うよ」
「え・・・どういうこと・・・ガイがそんなことになるなんて、有り得ないわ・・・」
そこからガイについても引き合いに出してファブレの被害について話をするしいなにティアはそんなはずないと声を大にして反論するが、少なくとも公爵はそれはないと言いつつガイはまた別物と言われ何故と戸惑う。ガイはティアの中では細やかな事に気が付いて、ミスなどするような人物ではないと。
「ま、考えられる理由はいくつかあるけど可能性として最も大きく割合を占めてるのは・・・もしルークを探して行方不明ないし、死亡が確認出来たなら予期しない形でファブレが終わるって事に期待してた事だと思うよ」
「なっ!?ガ、ガイがそんなことを考えるなんて・・・!」
「あるはずがない・・・そう言いたいかもしれないけど思い出してご覧よ。少なくともあの時ガイは復讐の事について誰にも言ってなかったし、ましてや諦めてた様子もなかった。そんな時にルークがいなくなれば・・・復讐を止める事を考えてなかった当時のガイからしたら心残りはあっても、ファブレに少なくとも大ダメージがあることを喜んでたと思うよ」
「・・・っ!」
それで過去のガイの心理を想像していくしいなの声にどうにか否定したかったティアだが、復讐を諦めきれてない時の事なだけに有り得なくはないと感じてしまい悔しげに視線を背けてしまう。
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