蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

「よし、じゃあ小十郎。ガイをグランコクマまで護送する担当にした幸村の所に連れていきな」
「ハッ・・・おい、行くぞ」
「・・・あぁ・・・」
そしていよいよ出発させろと言う政宗に小十郎は頷き、ガイに言葉をかければ最早力を込める事すら出来ないとばかりの声量で返すしか出来なかった・・・


















・・・そして小十郎はガイを幸村という人物の元に連れていった後、政宗の家に戻った。
「おう、戻ったか。後は大丈夫だろうな?」
「えぇ、到底逃げ出すような様子には見えませんでしたし真田なら逃げたとしても討ち漏らしはないでしょう」
「そうか・・・」
「・・・少し感傷的になっていますか?」
「・・・あぁ、少しな」
そこで政宗に会い軽く会話をする小十郎だが、常にない主の機嫌の沈みが見える様子に心配そうに声をかけると肯定が返ってくる。
「当時の俺はガイと一緒にホドをまとめるもんだとばかり思ってた。その立場がどうあれ、ダチとしてな・・・だがあいつは生きてた。俺の作り上げてきた物を台無しにしかねない形でな。正直、勘弁して欲しかったぜ・・・色んな意味でな」
「政宗様・・・」
個人、過去の思い出、領主・・・様々な立場に考えから来る想いを乗せた政宗の感情のこもった言葉に、小十郎もまた何も返せずに名を呼ぶ以外に出来ない。
「・・・つってもここで立ち止まってるわけにもいかねぇ。これからの事を考えりゃ俺達が直に動かなきゃなんねぇんだ。ここにいる奴らの為にもな・・・だからしっかり付いてこいよ、小十郎!」
「・・・ハッ!政宗様!」
しかし気合いを入れ直した政宗が発破をかけてきたことに小十郎もまた表情を新たにして応える、政宗の臣下として動く為に・・・


















「・・・そうか、こういう結果になったか・・・」
・・・そして場所は変わり、グランコクマの皇帝の私室にてピオニーは政宗より送られてきた手紙を前にして表情を厳めしくしていた。
「一応話は聞くようにはするが、この手紙の中身通りならガイとやらをガルディオスの立場に戻してあの領地を政宗から譲り受けさせる・・・というのは無しだな。大人しくすると言ってもいざとなれば何をするのか分からんと言うのもあるが、何より民に嫌われたのでは全うな統治が出来るとも思えん。まず余程でなければ間違いなくこちらで密かに処理した方がいいとなるのは目に見えてる。この手紙の中身通りの人物ならな」
そのままピオニーはガイの危険性及び可能性についてを口にした上で、排除に関してを前提にするべきと言う。
「・・・ま、こいつの事については後回しだ。今はまず、ジェイド達にどうやって援護をするかを政宗達と協議しないとな・・・戦争を止めることについてもそうだが、ダアトに神託の盾をどうにかしなきゃマルクトもだがあの地も戦火に晒されちまうからな」
そしてピオニーは考えを変えようとガイの事から切り替え、これからの事へと集中しようとする。マルクトの皇帝としての顔で・・・















・・・その後、マルクトは劣勢と思われた状況から一転してキムラスカとの停戦にまでこぎ着けたばかりか和平を結ぶまでにいたった。

しかしその過程の中で何が起こったのかを正確に知る者は少ない。その中にガルディオスの遺児がいたということを知る者も・・・









END









15/16ページ
スキ