蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

「一応言っとくが、俺に小十郎から説明しようって切り出した事じゃねぇ。お前がガルディオスの名を出したのをその時に話し掛けてた奴もそうだが、周りの奴らも聞いてたんでな・・・それで答えねぇとならねぇsituationだったから答えたって訳だ」
「だからって、なんでそんなことを俺に断りもなく・・・」
「だったらお前はどう説明するつもりだった?ガルディオスの名を出して、ホドの民が俺への裏切りをしたことを許せない・・・そんな事を言っておきながら、どうやって自分の事を説明すんだ?ハッキリ言っちまえば、少なくとも自分はガルディオスの関係者ですって証言しちまったも同然のもんだぜ。あれはよ」
「あっ・・・!」
政宗は一応自分から言い出してはいないと言いつつも状況的に誤魔化しようがなかった事を強調すれば、ガイは自分の発言を思い出し愕然とした。政宗が言ったよう、あそこまで言ってしまえばまず誤魔化しようがない為に。
「つー訳だ。まぁ勝手に説明したことだけは謝っとくが、どっちにしたってあいつらの為にもお前をここに置いておく訳にはいかねぇ・・・この後すぐにグランコクマへ移送する。覚悟をしておけ」
「まっ、待ってくれ!頼む政宗!俺をグランコクマに送らないでくれ!政宗ェェェェェェッ!」
そして改めてグランコクマ行きは変わらないと冷たく言い切って場を離れる政宗の背にガイは必死に叫ぶが、歩みを止めることなく政宗は場を立ち去っていった。












・・・そして数十分後、小十郎と幾人かの兵士と共に戻ってきた政宗によりガイは為す術もなく拘束され、牢より連れ出された。



「っ!・・・こ、これは・・・」
それで縄で拘束されて外に出てきたガイの前に見えた光景に、目を丸くする。集落の住民が自分達の前にいること、そしてその住民達が全てガイに対して批難するかのような強い感情を伴わせた目をしていることに。
「っ・・・!」
「あ、貴方は・・・!」
そして自分の目の前に怒りを盛大に滲ませ現れた男に、ガイは愕然とする。何故ならその男は、他ならぬ自分が斬りかかった相手であるのだから。
「・・・政宗様に片倉様から話は聞いた、あんたがガルディオスの生き残りだということも。その上で言わせてもらう・・・俺達はガルディオスの、ましてやあんたなんかの所有物なんかじゃない!」
「っ!?」
そして一気に胸ぐらを掴みながら怒りと共に宣言した男の声に、ガイは圧されて声を失った。
「確かに俺達はホドの民としてガルディオスに仕えていた!それに間違いはない!だがだからと言って何故俺達が斬りかかられなけりゃならない!?今の俺達の為に行動してくれたのは紛れもなく政宗様以外にいないのに、あんたは何もしてくれなかった!そんなあんたにだ!」
「そうよ!それにファブレに復讐ですって!?あんたはそれを望んだかもしれないけど、私達はそんなもん望んじゃいないわ!」
「確かにファブレは今も憎くちゃあるが、ホドの時のようにここが戦火に包まれたらあんたが責任を取ってくれるってのか!?他ならないあんたが勝手に起こしたことの被害を俺達に押し付けておいてだ!」
「っ!・・・お、俺は・・・」
・・・ホドの民として、ホドの民だったからこその怒りが次々に向けられガイは萎縮して目を背ける以外に出来なかった。自分が何をしたのか、何をしなかったのか・・・自分の決断の果てに待っていた結果に。
「Hey、そこまでにしときな・・・こいつは今からグランコクマに運ぶ。今までやってきたことを精算させる為にな。気は済まねぇだろうが、ピオニー陛下には悪いようにしねぇようにとは言っとくからよ」
「・・・はい、分かりました。政宗様がそう言うなら・・・」
政宗はそこで横入りするよう話を止めれば、男達も渋々とガイから離れていく・・・この辺りはちゃんとした関係を結んだ政宗とそうでないガイとの、れっきとした違いと言えた。









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