蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

「おいおい・・・俺に怒るのは筋違いってもんじゃねぇのか?」
「何を言う!ホドの民を自分の民のようにして!」
「だからそのホドの民を殺そうとした、か・・・あの時、お前を小十郎が止めてなかったらどうなっていたのか想像も出来ねぇのか?」
「想像・・・・・・っ・・・!」
政宗はその反応に肩をすくめガイはすぐさま再び噛み付いてくるが、その時の事を思い出すように言うと次第に怒りに赤くなった顔からサァッと血の気が引いていった。
「・・・どうやらちったぁ冷静になったみたいだな。そうだ、お前が手にかけようとしたのは他ならないホドの民なんだぜ?・・・本当ならガルディオスの民として、統治を受けるはずだったな」
「あっ・・・お、俺は・・・何て事を・・・!」
「・・・話にならねぇな。自分で人を殺そうとしといて、そして自分で後悔して・・・お前のrevengeってのは所詮、自分の都合のいい物でしかなかったんだよ。現実的に見て実現可能か、可能性は低くても行動に移せるか、誰かから恨みを買ってでも成し遂げるか・・・そんなことを一切考えちゃいねぇ。むしろ自分の都合のいい物だけを望み、結果もまたそこに付いてくると勝手に信じきっちまってた。その結果が十数年全くマルクトに戻ってくる予兆すらなかったガルディオスが未だ求められてるなんて勘違いしちまった、さっきのお前だ」
「ぐうっ・・・っ!」
政宗から突き付けられたあまりにも痛すぎる事実の羅列にガイは最早返す言葉もなく、顔を下に向けて唸るしか出来なかった・・・一時の感情でホドの民を殺そうとしたばかりか後悔までしたことと、そんな自分の考え方が浅はかであったと言われても全く否定出来ない為に。
「・・・さて、もうお前をここに置いておく理由もなくなっちまったな」
「・・・え?置いておく理由がないって、どういうことだ・・・?」
だが続いた言葉に何故とガイは恐る恐る顔を上げる、もうここにいられないと揶揄するかのような中身を流石に聞き逃せず。
「言葉通りだ。ここにお前を連れてきたのはジェイドからガルディオスの生き残りかどうかを調べる為もだが、何か企んでねぇかってのを調べる為だ。そしてお前の正体もそうだが、目的に加えて考え方ももう把握した・・・だからこの後、お前をグランコクマに送らせてもらう」
「なっ・・・!?」
「ちなみに言っとくが、依頼してきたのはピオニー陛下の方からだ。俺から言い出した事じゃない・・・まぁそろそろ判断が出来たかって連絡が来る頃だろうから、どうあがいてもグランコクマに行くことになるだろうがな」
「っ・・・!」
そしてその通りと告げた上でグランコクマ行きは避けられないと強調する政宗にガイは表情を強張らせ、牢の格子を勢いよく掴んできた。
「頼む、政宗!もう二度とあんなことはしない!だからグランコクマに送るような事はしないでくれ!」
「・・・仮に聞くが、送らないようにしたらお前はどうするつもりだ?」
「そ、それは・・・」
「ま、今更あいつらがそれを許してくれるとは思えないがな」
「え・・・?」
そのままそれは止めてほしいと叫ぶガイに政宗が静かに問い返すと、すぐさま口ごもる姿に政宗は外の方を見ながら返す。



「さっきのやり取りで流石にお前が何者なのかって疑問が不安の声と一緒に出てきたんでな・・・ここの奴らに明かしたんだよ。お前がガルディオスの生き残りだって事をな」



「!?」
・・・そこで政宗が明かした事実にガイは最大限に驚愕に目を見開き、静止した。自分の隠してきた事実を勝手に明かされたことに。












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