蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

「そりゃそうだろう。あの時のテメェは十の半分かそこら程度のガキでしかなかった。そこから考えどころか背丈すら何も変わらねぇガキがいるってんなら、逆に見てみてぇ気がするがな」
「あっ・・・なんだ、そういうことか・・・」
だが小十郎からの言葉にガイも納得する。年齢的にむしろ変わっていない方がおかしいと言われた為に。
「だが俺から言わせてもらうなら、ルークとやらに悩むような気持ちを抱いてたってのに自分から変われなかった・・・そんなテメェに変わったなんて言われる筋合いはどこにもねぇ」
「え・・・?」
だが睨むような目から意味深に変われなかったと言う小十郎に、ガイはキョトンとした目を向ける。
「そうだろうが・・・テメェがルークとやらにどんな可能性を感じたかはわからねぇ。だがそこでテメェは変わらなかった。ルークに期待するだけでテメェ自身は何も行動もせずな」
「なっ・・・!?」
「もしルークがテメェの思う復讐を止める為の道筋に誘ったってんなら、どうするつもりだった?そのままファブレかもしくはルーク個人にでも仕えるつもりだったとでもいうのか?それとも復讐について明かすかどうかは別にして、マルクトに帰るつもりだったのか?どう考えてたってんだ、あぁ?」
「そ、それは・・・」
小十郎がそこで投げ掛けた質問に驚きを浮かべるガイだが、追加の質問を声を低くしながら睨み付けるように突き付ける姿に口ごもる・・・小十郎の迫力も相当と言えば相当だが、ガイも少なからず圧力に対して抵抗力がある身である。なのに答えられずにいるのは小十郎の言葉に対し、そこに返せる言葉がないというのがあるからだ。
「・・・テメェ、その様子じゃろくに考えてもいなかったってことか。俺の言ったような事を」
「っ・・・正直、その通りだ・・・」
その事を瞬時に察した小十郎の確認にガイは誤魔化せないと観念して、うなだれるように頷く。
「チッ・・・十数年ぶりに会ったってのに胸糞の悪い・・・こんな野郎がもしかしたなら俺達や、政宗様の上に立場上立つ人間だったなんて思いたくもねぇ」
「そ、それは・・・」
「・・・まぁこの際だ。復讐の先に何をしようとしていたのかについては置いておいてやる。だがここでまたテメェの事で気に入らねぇ事がある・・・それはテメェが従者として見てもろくでもねぇ野郎だって事だ」
「・・・え・・・?」
更に機嫌が降下して舌打ちまでする小十郎になんとかしどろもどろながら返そうとするガイだが、従者としてもろくでもないと言われて何故という感情と何をいきなりとの気持ちが混ざった目を向ける。
「そうだろうが・・・アクゼリュスで会った時にテメェがルークに対してどんな態度を取っていたか覚えているか?あれが従者としての態度だってか?」
「あ、あれは・・・ルークが普段堅苦しい態度を望んでないからであって・・・それに俺はルークにも、ましてやファブレやキムラスカになんて忠誠を誓ってないし、誓えるはずも・・・」
「分からねぇ野郎だ・・・それを態度で分かりやすく見せるテメェの態度が従者失格だってんだ!」
「!?」
そこでルークに対する態度についてを言われガイは二つ理由を気まずげに漏らすのだが、小十郎が怒りの一喝をぶつけてきたことにたまらず萎縮した。
「・・・こういう言い方をするのは好きじゃねぇし人前で言うつもりはなかったが、俺は一応マルクトの人間としてピオニー陛下に仕えている身ではある。が、俺が唯一主として仕えると決めているのはピオニー陛下ではなく政宗様だ。それについては誰が何を言おうとも覆すつもりはねぇ・・・が、だからと言ってピオニー陛下に本心から仕えている訳じゃねぇからあからさまに態度を崩すなんてことをするようなのは、従者として正しいと思うか?」
「い、いや・・・それは流石に違うと思うが・・・」
「テメェはそれと同じことをやってんだよ」
それで再び元のトーンに声量を落として自身の忠義は政宗にあると言うと共に疑問を投げ掛ける小十郎にガイは戸惑いながら首を振るが、すぐさまそこに突っ込む。











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