蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

「・・・う、うん・・・こ、ここは・・・?」
「気付いたか、ガイ」
「っ・・・政宗・・・!」
・・・そして場は変わり、とある部屋の中。
ベッドに寝ていたガイが気絶から起き上がるのだが、入口の扉に背を預けていた政宗がかけてきた声に瞬時に警戒するように立ち上がる。
「落ち着けよ、ガイ」
「落ち着けだと・・・いきなり俺に攻撃してきたくせに、何を言う!それにここはどこだ!」
「・・・Ha。まぁ、起き上がったばかりだから何も分からねぇのはしょうがねぇか」
対する政宗は極めて冷静に返答するが、ヒートアップしてやまないガイの様子に兜を取ってめんどくさげに頭をかく。
「・・・Come onガイ。ここがどこか、そして何故ここに連れてきたか・・・説明してやるよ」
「・・・いいだろう」
そのまま政宗は背を向け扉に手をかけ外でと言い、ガイはまだ警戒を欠かさず先を行きだすその背を追い掛ける。



「・・・え?なんだ、ここは・・・見た所エンゲーブやセントビナーじゃないのは分かるが・・・それに何か、懐かしい感じが・・・」
だが外に出たガイは目の前に広がる街の光景に警戒する気持ちが霧散し、むしろ懐かしいと言葉にしたようどこか安堵の様子を滲ませていた。
「・・・」
政宗はそんな様子に何も言わず、ただ前を歩いていく。












・・・それで政宗がガイを連れていった場所は街を見渡せる、小高い丘の上である。
「おい、政宗・・・ここは一体どこなんだ?」
そこでようやく話が出来ると気を取り直したガイが丘の先に視線を向け背を見せていた政宗に改めて問い掛けると、政宗はゆるりと振り向く。
「・・・ここがどこか、そいつについちゃ詳しくは言えねぇ。が、どういった場所についてかなら答えてやる・・・ここはかつてのホドの住民が集まって、作り上げた村だ」
「っ!?・・・ホドの住民、だと・・・!?」
それで淡々と話を進める政宗だが、ホドの住民と聞いてガイは驚愕に大きく目を見開いた・・・そう、見覚えのある感じがしたのは他の街や村には見られないホド特有の建築物が辺りに見られたからだ。
「信じられない、そういった顔だな・・・だが俺に小十郎が生きていることがどういった意味を示してるか、分からねぇ訳はないだろ」
「そ、それは・・・確かにお前達が生きていたのなら、他にも生きていておかしくはないと思うが・・・どうしてこんな・・・」
「どうして、か・・・じゃあ逆に俺から聞くが、なんでお前はファブレの使用人としてバチカルにいるんだ?」
「っ・・・!?」
その表情に一度触れて話を続ける政宗にガイは動揺しながら経緯を聞こうとするが、ファブレの使用人と出てきた事に一気に顔中に冷や汗を噴き出させた。
「俺がそれを知らねぇでここまで連れてきたとでも思ってたのか、お前?」
「ど、どうしてお前がそれを知ってるんだ・・・お前と俺はアクゼリュスの近くで十数年ぶりに再会したはずなのに・・・」
「情報を提供してきたのはジェイドだ」
「っ!?」
「まぁその時はホド出身・・・もっと言うならガルディオスらしい奴がいるから、俺に確認をしてほしいってだけのことだったんだが・・・実際に来て確かめてみりゃ嘘じゃなかったってわけだ」
「だ、旦那がなんでそんな・・・」
「・・・ガイ、お前が何に対してそう言ってるのかの理由についちゃ二つ検討はついてる。一つはなんでそれに気付いたのかで、二つ目はなんで自分のrevengeを邪魔するのか・・・って所だろ」
「!!」
「・・・当たり、だな」
そのまま畳み掛けるようにどんどんと話を進めていくのだが、その実ガイが一方的にやり込められていくだけの状況・・・そんな姿を見て政宗の左目が鋭く、冷たく細まる。









4/16ページ
スキ