蒼き龍を選び、復讐者を拒絶せん

・・・そのようなやり取りがグランコクマで行われていた事などほとんどの者が知る事はなく、時間は過ぎて場はアクゼリュスへと移る。






「・・・ん?」
・・・このアクゼリュスにマルクトからの和平と共に、障気が溢れたと言うことでキムラスカ側からの救助を頼まれた一団がいた。それはピオニーから送られた和平の使者であるジェイドと共に、ルークという人物を代表としてキムラスカ側から送られてきた親善大使一行である。
そんな一行の中にいたガイはアクゼリュスの入口にいた男の姿を見て、訝しげな表情を浮かべる。
「・・・来たか」
「えっと、貴方はこのアクゼリュスの人ですか?」
「違う。少し用があって来たんだ・・・そこの兄ちゃんにな」
「・・・俺に?」
男は近付いた一行に厳めしい表情ながらも声を上げ、ティアが住民かと問うと否定を返した上でガイに用だと視線を向ける。ガイは不可解そうに自らを指差すが、どこか不思議そうにしながら、こめかみ辺りに自覚はあるかは怪しいがうっすらと冷や汗を浮かべていた。
「どうしたの~、ガイ~?」
「いや・・・どこかで見た顔のような気がして・・・」
「・・・」
そんな様子に首を傾げるアニスにガイは心当たりを感じているというよう首をひねり、ジェイドは眼鏡に手を当てる。
「それについちゃ後で答えてやる・・・ちょっと付いてきてくれないか?会わせたい人がいる」
「ガイ一人に、ですか?別に私達がいてもよろしいのではありませんの?」
「・・・いいのではありませんか?どうやら訳ありのようですし、しばらく時間を取るくらいは」
「大佐・・・?」
更に男がガイに同行を願うように言いナタリアが疑問を浮かべるが、手をどけたジェイドがいいだろうと言ったことにティアが眉を寄せる。
「何か事情があるのでしょう。それにガイも見覚えがあるようなと言っていたのですから、会わせたい人というのはこの人も含めて前に会った人なんじゃないんですか?見覚えがあると言うなら相手が覚えていてもおかしくはありませんし、このような場所で会うというのも何かの縁でしょうからね」
「・・・そうですわね。以前に会った知り合いだと言うなら、少しくらいは時間を取ってもよいと思いますわ」
「なら決まり・・・ってその前に、ガイはどう思ってんだ?会いたいのか?こいつの言ってる奴に」
「・・・あぁ、どこか引っ掛かってる物があるし会いたい気持ちは否定出来ない。だから少し俺は外させてもらうよ」
「・・・仕方無いわね」
ジェイドはそう思った訳について言うとナタリアも中身を聞いて反対する理由はないと言い、ルークの確認の声にガイが行きたいと言い出した事にティアも反論せずに腕を組む。
「じゃあ付いてきな、こっちにお前を待っている方がいる」
「あぁ・・・」
話がまとまり男が背を向け歩き出してガイも了承しながら後を付いていく。アクゼリュスの外の方へと。









・・・そして少し歩いた所で男とガイは男が一人平野に立っている場にまで来た。
「・・・よぉ、来たな」
「・・・お待たせしました、政宗様」
「政、宗・・・っ!?」
「Ah?・・・お前、小十郎が誰だか分からず付いてきてたってのか?」
「小十郎っ・・・まさか、本当にお前・・・政宗なのか・・・!?」
「・・・Ha、どうやらマジみてぇだな」
そこにいた腰に刀を六本も挿し三日月の飾りを着けた兜を被る右目に眼帯を着けた男性に出迎えの声をかけられるが、政宗という名に愕然とした表情をガイは浮かべる。政宗は怪訝そうな顔をするが、小十郎と出た男の名に更に愕然としながら政宗の名を呟くガイの様子に呆れながら首を横に振る。
「・・・政宗・・・お前、生きていたのか・・・!?」
「あぁ、見ての通りだ」
「・・・でも、なんでこんな所に・・・?」
「その答えは俺に付いてくりゃ教えるって言いたいところだが・・・お前に拒否権はねぇ」
「がっ・・・!?」
それで何とか確認を向けてくるガイに政宗は答えるのだが、唐突にガイの体が横に吹っ飛んでいく。痛みに声を上げるガイはそのまま視界がブラックアウトしていった・・・







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