二人の王女の在り方と周りの評判

・・・ティアによりルークとミレーユ二人がバチカルより飛ばされた。前代未聞の事態が起こったのだが、紆余曲折を経て二人がバチカルに戻ってきた。












「ルーク様、ミレーユ様!ご無事に戻られて何よりです!」
「心配をかけました、ゴールドバーグ将軍。それにセシル少将に兵の皆さんもありがとうございます。わざわざ出迎えていただいて・・・」
「いえ、お二方をお迎えするのは当然の事です」
バチカルの港に船から降りた一同が目にしたのはゴールドバーグ将軍を先頭に出迎えをしてきた兵達で、ミレーユの優しい声にセシル少将は晴れやかな笑みで返す。
(・・・カイツールにケセドニアでも思いましたが、やはりミレーユ王女に対する人望は高いですね・・・ルークは状況から人望は得られなかったのはやむを得なかったのは分かりますが、だからこそ粗相は出来ませんね・・・ティアは自分の起こした事の意味というか、規模を理解してないから尚更です)
その光景にジェイドは内心で考える。ミレーユに対しての扱いを誤る事は出来ないと。









・・・バチカルからタタル渓谷に飛ばされたミレーユ達がエンゲーブに来て、ジェイドは今共にいるイオンとアニスと一緒に会うことになった。その初めて会った時にミレーユが自分のこととルークのことをバーバラとテリーと紹介したのだが、ルークの容姿を見てジェイドはキムラスカの王族だろうと判断した・・・ただミレーユの方に関しては最初はミレーユかどうかは判断出来なかった。王族の特徴を持っていなかった為に。

故に三人の行方を探りタルタロスに来てもらって名前を聞いた時、ジェイドは内心で嘘であってほしいとらしくもなく願ってしまった・・・キムラスカの王女という本来有り得てはならない人物が、ルークという人物とマルクトにいることに。

だからジェイドとしては流石にティアと二人が何故マルクトにいるのかと聞きたかったが、ティアが個人的な事だと無理矢理に質問をシャットアウトしてきた・・・故にティアがいない時を見計らいミレーユにその訳を改めて聞いたのだが、その経緯を聞いてまた愕然とした。バチカルのファブレ邸にヴァンを襲う為に来てそこで二人を巻き込んで疑似超振動を起こしてしまい、タタル渓谷に来てしまったということを聞いたのもだが・・・自分が言いたくないし言われたくないからと二人の言葉を遮ってまで、関係無いとしようとしたことに。

・・・誰にでも傲岸不遜と見られかねない態度を取るジェイドではあるが、明らかに越えてはならないラインというものくらいは熟知している。だからこそティアの行動が個人的な物、ましてや無かったものとして扱えるものではないと分かった。ルークならまだ立場的に誤魔化しはきくだろうが、ミレーユは立場的に見ても活動の規模から見ても絶対に誤魔化す事は出来ないと思った為に。

ただそこでジェイドが更に驚いたのはミレーユがそこについてはティアの前で掘り返さないようにと、表情を変えずにいたのに内心を見透かしたかのように言ったことだ。そんな中で戸惑いがあることを自覚しながらも何故かと聞いたら、ティアが機嫌を悪くしたならこれからの道程が気まずい物になるからと言われたのだ。本心からの笑みにこそ見えるが、ジェイド自身でもその内心が計れない笑みで。



・・・そう言ったやり取りを経たことでジェイドはミレーユという人物に対して、下手に馴れ馴れしく接するのは止めようと決めた。ミレーユという人物の評価にその立場もあるが、ピオニー以上に自分の事を見透かしているのではと思うと気持ちが良くないし・・・何より、ティアが起こした行動に自分までもが巻き込まれるような形になるのを避けるために。











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