足を踏み入れしは自らが作りし墓穴

そして謁見の間へたどり着いたアッシュ一行、だが意気揚々とルークを罵る為にと扉を開けた一行が見た物は彼らの想像を絶する物であった。



「な・・・なんだこれは・・・」
アッシュの言葉に一同は同じように困惑の様相を見せる。彼らが見たもの、それは・・・



「なんでお父様やクリムゾン叔父様がルークの下にいますの!?」



ナタリアの叫びに顔をしかめるのは今までの白い服を一変させて黒衣の服を着て玉座に腰を据えているルークと、彼の隣のナタリアが座っていた椅子に座っているC.C.だ。ルークの臣下としての位置にクリムゾンとインゴベルトが他のアルバインやゴールドバーグの元々の臣下やモースと同じように立ち尽くしている。



有り得ない異様な光景、だがジェイドただ一人だけは更に異様な雰囲気をルーク達の周りの兵士から読み取っていた。
(兵の数が多い、以前より・・・ただ、なんだこの違和感は?右側にいる兵士はよく統率は取れているが、左側の兵士はただ軍服を着た素人同前の兵士・・・唯一共通しているのは明らかに私達に向けられている抑えられた殺気・・・なんだ、この気持ち悪さは・・・?)
兵士を引き連れ、戦場に死霊使いとして名を馳せたジェイドのみが兵士の動作の奇妙さに疑問を抱く。だが確かに兵をまとめる立場に長い間ついていた人物ならばこの違和感にはすぐに気付けるが、悲しいかな他の面々にはその経験はない。今までの経験にない得体のしれない何かに警戒心を強め、ジェイドが心の中で撤退を考え始めた瞬間、アッシュ達はジェイドを差し置き中央へと走り出した。
(くっ・・・だがここで引いては真意を知ることも出来ないか・・・)
走り出した面々に自分も行かなければいけないと、ジェイドは即座に思考を切り替え後を追った。




「何をしてやが・・・っ!・・・グァッ・・・!」
走り様に剣を抜き、玉座のルークに切り掛かろうとしてきたアッシュにクリムゾンが素早く前に出て剣の柄で鳩尾を突く。アッシュは突然目の前に現れたクリムゾンに攻撃するかどうかと戸惑い、その一瞬を突かれてまんまと攻撃を受けてしまった。カランと剣がアッシュの手から零れ落ちると同時に、クリムゾンはアッシュの右腕を掴みあげて後ろに回り崩れ落ちる体勢の体重移動に合わせて自らの体重を加えアッシュを床へと勢いよく押し倒した。
「叔父様!何故叔父様がルークを・・・!?」
アッシュの状況を見たナタリアがすぐさま駆け寄ろうとするが、そこに横から入って来たのはインゴベルト。入って来た親に邪魔だとはねのける事も出来ず、ナタリアはただ混乱するばかりでアッシュを助けようとは出来なかった。
「随分と野蛮だな、オリジナル。話し合いの一言はおろか、会話すらなしにルークに切り掛かるとは」
その状況を見たC.C.は鼻でアッシュを笑いながら嘲る。アッシュは拘束されて息も絶え絶えながらも視線だけは未だ殺気で強いままだ。
「何を言っていますの!貴女方はバチカルを勝手に乗っ取った反逆者でしょう!アッシュが貴女方を成敗するのは当然の事です!」
「そうよ!レプリカなんかがやっていいことじゃないわ!」
「それにダアトの評価をキムラスカで下げていったのも許せない!イオン様は傷付いたんだから!」
女性陣が息巻く姿とは対照的に、ルーク達の心は冷めきっていく。



「・・・モース。お前は預言に詠まれた場所で死ななかったこいつらをどう思う?」
「「・・・え?」」
まず片付けるべきはダアト所属の人間・・・ルークはそう判断し傍らにいたモースに話を振る。モースと聞いたアニスとティアはギャアギャア言うのを止め、戸惑いの声をあげる。
「予定外以外の何物でもありませんでしたな。ティアは死んでいただくためにアクゼリュス行きを命じたので尚残念でした」
「モース様!?」
「アニスには正直落胆しか出来ませんでしたな。まさか死地にイオン様を連れていくなどと。今こうやって生きているからアニスの首は繋がっておりますが、イオン様が死んでいたらオリバーやパメラをアニスの代理として首を跳ねなければいけないところでした」
「え・・・そ、そんな・・・」
先程までの喧々囂々とした様子はどこに行ったのか、二人は顔を青く所ではなく真っ白とまで言える程に白くする。特にティアは尊敬していた人物からの言葉に、ガタガタと体を震えさせている。
「モース、アニスは悪くないんです。僕が「言っても無駄だ、イオン」



「モースはおろか、クリムゾン・インゴベルト両雄以下の臣下は俺の命以外には従わない。俺のギアスに全員かかっているからな」









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