善意は必ずしも報われるとは限らない
・・・そのような事に責任者達がなる一方、ナタリアはガイの護衛という名の連行の元ライマへ向かう船へと乗った。
その時のナタリアは意気消沈して静かに部屋に引きこもり、特に行動を起こすこともなかった。
・・・そんなナタリアにアクゼリュスの住民を乗せた船は数日経って、ライマ本国へと辿り着いた。
それでナタリアとガイは一足先に船を降り、宮殿の方へと向かった。
「・・・え?ここはピオニー陛下の私室の前、ですわよね・・・?」
そしてガイ主導の元で宮殿の中を歩いたナタリアは立ち止まった扉の前で首を傾げる。謁見の間に行くのではないのかと。
「・・・ライマに着いたならまず陛下の私室に迎え。そう陛下から指示がありましたのでお連れさせていただきました」
「・・・っ!」
だがガイから普段の口調から言葉遣いを貴族に接する物へと変えた固い口調の声を受けナタリアはハッとした。そのピオニーの指示は自分にとって確実に良くないものと、そう嫌でも感じた為に。
「・・・話が終わるまで私は部屋の外で待てとのことです。ナタリア様お一人で部屋には入られてください」
「っ・・・わかり、ました・・・」
更にガイが事務的に一人で行くように言ってきた事にナタリアは動揺を隠せないまま頷き、私室のドアへと近付く。
‘コンコン’
「・・・ナタリアです、入ってもよろしいでしょうか?」
『あぁ、入れ』
「っ、失礼します・・・」
それで控え目のノックと共に伺いの声を上げるとすぐさま了承の声が返ってきて、ナタリアはおずおずと私室のドアを開ける。
「・・・よく戻ってきた、ナタリア殿下。まずはそう言わせてもらおう」
「っ・・・はい・・・」
そして私室に入りドアを閉めるなり奥の方にいたピオニーが普段にない威厳を込めた声を上げた事に、ナタリアは消え入りそうな声で何とか答える・・・ここでナタリアが冷静だったならピオニーの可愛がるブウサギ達が場にいない事に疑問を覚えただろうが、生憎今のナタリアは冷静さとは大分かけ離れた精神状態にいた。
「・・・本当ならこちらから殿下を呼び出した訳を伝えたいと思っていたところだが、そちらの様子を見る限りでは正確に理由を把握しているかイマイチ分からんからな・・・だから自分で何の為に呼び出されたのか言ってみろ」
「それは、その・・・先のアクゼリュスに私が無断で向かった事です・・・」
「その通りだ。そして今そうやって殿下が震えているのは自分がやったことの過ちを思ってか?それともこちらが下す厳罰に関してか?」
「っ・・・!」
ピオニーはそこであえて自分から答えろと言ってナタリアにおずおずと答えを言わせるのだが、その態度を指摘して何故かと言われて更にビクッと体を震わせる・・・流石に前陛下の子供で今現在も王女殿下という身分にいて厳罰を与えられてこなかったナタリアでも、この数日で考えた上でピオニーに会って感じたのだ。自分は厳罰を下される立場にいると。
「・・・ジェイドの報告通り少しは応えたようだな。だが殿下に対して下す処分はない」
「・・・え?」
だがピオニーからおとがめなしと言われた事にナタリアはキョトンと目を開く。まさかの答えに。
「誤解のないように先に言っておくが、これはあくまで表向きの事だ。そうしなければ後々厄介な事になりかねないんでな。それもライマだけでなくガルバンゾを始めとして共同にアクゼリュスの救援にあたった国まで巻き込む形でだ」
「・・・それは、どういう事なんですか・・・?」
しかし表向きと言われた上で意味深に話された言葉に恐る恐るどういう事かとナタリアは尋ねる。
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その時のナタリアは意気消沈して静かに部屋に引きこもり、特に行動を起こすこともなかった。
・・・そんなナタリアにアクゼリュスの住民を乗せた船は数日経って、ライマ本国へと辿り着いた。
それでナタリアとガイは一足先に船を降り、宮殿の方へと向かった。
「・・・え?ここはピオニー陛下の私室の前、ですわよね・・・?」
そしてガイ主導の元で宮殿の中を歩いたナタリアは立ち止まった扉の前で首を傾げる。謁見の間に行くのではないのかと。
「・・・ライマに着いたならまず陛下の私室に迎え。そう陛下から指示がありましたのでお連れさせていただきました」
「・・・っ!」
だがガイから普段の口調から言葉遣いを貴族に接する物へと変えた固い口調の声を受けナタリアはハッとした。そのピオニーの指示は自分にとって確実に良くないものと、そう嫌でも感じた為に。
「・・・話が終わるまで私は部屋の外で待てとのことです。ナタリア様お一人で部屋には入られてください」
「っ・・・わかり、ました・・・」
更にガイが事務的に一人で行くように言ってきた事にナタリアは動揺を隠せないまま頷き、私室のドアへと近付く。
‘コンコン’
「・・・ナタリアです、入ってもよろしいでしょうか?」
『あぁ、入れ』
「っ、失礼します・・・」
それで控え目のノックと共に伺いの声を上げるとすぐさま了承の声が返ってきて、ナタリアはおずおずと私室のドアを開ける。
「・・・よく戻ってきた、ナタリア殿下。まずはそう言わせてもらおう」
「っ・・・はい・・・」
そして私室に入りドアを閉めるなり奥の方にいたピオニーが普段にない威厳を込めた声を上げた事に、ナタリアは消え入りそうな声で何とか答える・・・ここでナタリアが冷静だったならピオニーの可愛がるブウサギ達が場にいない事に疑問を覚えただろうが、生憎今のナタリアは冷静さとは大分かけ離れた精神状態にいた。
「・・・本当ならこちらから殿下を呼び出した訳を伝えたいと思っていたところだが、そちらの様子を見る限りでは正確に理由を把握しているかイマイチ分からんからな・・・だから自分で何の為に呼び出されたのか言ってみろ」
「それは、その・・・先のアクゼリュスに私が無断で向かった事です・・・」
「その通りだ。そして今そうやって殿下が震えているのは自分がやったことの過ちを思ってか?それともこちらが下す厳罰に関してか?」
「っ・・・!」
ピオニーはそこであえて自分から答えろと言ってナタリアにおずおずと答えを言わせるのだが、その態度を指摘して何故かと言われて更にビクッと体を震わせる・・・流石に前陛下の子供で今現在も王女殿下という身分にいて厳罰を与えられてこなかったナタリアでも、この数日で考えた上でピオニーに会って感じたのだ。自分は厳罰を下される立場にいると。
「・・・ジェイドの報告通り少しは応えたようだな。だが殿下に対して下す処分はない」
「・・・え?」
だがピオニーからおとがめなしと言われた事にナタリアはキョトンと目を開く。まさかの答えに。
「誤解のないように先に言っておくが、これはあくまで表向きの事だ。そうしなければ後々厄介な事になりかねないんでな。それもライマだけでなくガルバンゾを始めとして共同にアクゼリュスの救援にあたった国まで巻き込む形でだ」
「・・・それは、どういう事なんですか・・・?」
しかし表向きと言われた上で意味深に話された言葉に恐る恐るどういう事かとナタリアは尋ねる。
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