命に差はない、だが意識に差はある
そこにまた別人の声が入ってきた。
「あぁもう少し遅くてもよかったんですよ。クラマ。この阿呆達に制裁する時間がないじゃないですか」
クイーンの座っていた場所の奥の森から現れた黒ローブの人物に、シオンと呼ばれた人物が若干残念そうに言葉を放つ。
「クラマ・・・クラマってあの六神将最強と呼ばれている樹王のクラマ!?」
蔵馬の名前を聞き、ティアが驚きながら疑問の声を上げる。
「さっさと行くぞ、シオン。森の再生は終わった。これ以上こいつらに関わる理由はない」
しかし蔵馬にティアの声に答える気はない、蔵馬は早くこの場を離れようと声を無視してシオンを促す。
「待ちなさい!!」
無視されたことが気に食わないのか、ティアは尚蔵馬達に食いかかる。
「なんであなたたちはライガなんかを庇うの!?ライガは魔物よ!」
その言葉に流石にカチンときたのか、蔵馬はようやく三人に向き直る。
「そこにいるのはチーグル、つまり魔物だ。お前が連れて来ているのは同じ魔物だろう、差別をするな」
「違うわ!チーグルは教団の聖獣よ!あなたも神託の盾所属ならそれくらい知っているでしょ!?」
つまりは聖獣なのだから聖獣ではないライガをチーグルの為に駆除しろといっているのか、そう言っているようにしか蔵馬とシオンには聞こえなかった。
「・・・もう話す価値もないな。行くか、シオン」
「・・・えぇ、そうですね」
どちらに非があるかということすら聞かない、ならもういいかと二人はクイーンに向き直る。
「おい、貴様ら!俺達を無視・・・!?」
尚もルークは二人に制止を命じようとしたが、蔵馬はいきなりこちらに振り向いて手元から鞭を取り出しルークの横顔スレスレに鞭を薙ぎ払う。一瞬何が起きたのか理解出来なかったルークだったが、後ろにあった木の幹がガッと半月状に大きくえぐれたのを確認すると顔をサッと青くした。
「・・・これ以上めんどうくさくならないうちに先に言っておく。ライガにこれ以上関わるな。もしまだこれ以上関わるようなら貴様ら全員あの木の幹のように首を飛ばす・・・あぁ、それとマルクト軍がライガの討伐に来た場合も同様だ。その時はマルクトもろとも消してやる」
後半部分は木の幹の方へと声を向ける。しかし三人にそれを気にする様子はない。既に三人は蔵馬の殺気で息を飲む事しか出来ていない。
それを見た蔵馬は殺気を収め、手元から植物のつたを出して卵を手に取りクイーンに結び付けた。その作業を終えると蔵馬は三人にではなく、ミュウにだけ振り向いた。
「おまえらチーグルはライガの住家を燃やしただけではなく、クイーンに危害を加えようとする輩まで連れて来た。本来なら即刻チーグル一族ズタズタに皆殺しにしてしまうところだが、今回だけは見逃してやる。しかし今度ライガの住まう森で貴様らの姿を見かけたら弁解など受け付けん・・・俺がズタズタに引き裂いてやる。住家に戻ったら一族全員にそう伝えろ」
「は、はいですの・・・」
涙混じりの声で意志を受け取った事を確認すると、もう興味が無くなったのか蔵馬はシオンとともにクイーンと森の奥へと消えていった。
その後、チーグルが住む木へと戻った面々が受けたのは歓迎の言葉ではなく三人を拒絶する言葉であった。チーグルはライガへの心象を悪くしたものとして、ライガに見つかる事を恐々と思うだけの身になったのだから当然だろう。穏便に納めて欲しかったという気持ちを理解しなかった三人は二度とここには来るなという言葉を長老から受け取り、渋々とチーグルの住家を後にした。
END
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「あぁもう少し遅くてもよかったんですよ。クラマ。この阿呆達に制裁する時間がないじゃないですか」
クイーンの座っていた場所の奥の森から現れた黒ローブの人物に、シオンと呼ばれた人物が若干残念そうに言葉を放つ。
「クラマ・・・クラマってあの六神将最強と呼ばれている樹王のクラマ!?」
蔵馬の名前を聞き、ティアが驚きながら疑問の声を上げる。
「さっさと行くぞ、シオン。森の再生は終わった。これ以上こいつらに関わる理由はない」
しかし蔵馬にティアの声に答える気はない、蔵馬は早くこの場を離れようと声を無視してシオンを促す。
「待ちなさい!!」
無視されたことが気に食わないのか、ティアは尚蔵馬達に食いかかる。
「なんであなたたちはライガなんかを庇うの!?ライガは魔物よ!」
その言葉に流石にカチンときたのか、蔵馬はようやく三人に向き直る。
「そこにいるのはチーグル、つまり魔物だ。お前が連れて来ているのは同じ魔物だろう、差別をするな」
「違うわ!チーグルは教団の聖獣よ!あなたも神託の盾所属ならそれくらい知っているでしょ!?」
つまりは聖獣なのだから聖獣ではないライガをチーグルの為に駆除しろといっているのか、そう言っているようにしか蔵馬とシオンには聞こえなかった。
「・・・もう話す価値もないな。行くか、シオン」
「・・・えぇ、そうですね」
どちらに非があるかということすら聞かない、ならもういいかと二人はクイーンに向き直る。
「おい、貴様ら!俺達を無視・・・!?」
尚もルークは二人に制止を命じようとしたが、蔵馬はいきなりこちらに振り向いて手元から鞭を取り出しルークの横顔スレスレに鞭を薙ぎ払う。一瞬何が起きたのか理解出来なかったルークだったが、後ろにあった木の幹がガッと半月状に大きくえぐれたのを確認すると顔をサッと青くした。
「・・・これ以上めんどうくさくならないうちに先に言っておく。ライガにこれ以上関わるな。もしまだこれ以上関わるようなら貴様ら全員あの木の幹のように首を飛ばす・・・あぁ、それとマルクト軍がライガの討伐に来た場合も同様だ。その時はマルクトもろとも消してやる」
後半部分は木の幹の方へと声を向ける。しかし三人にそれを気にする様子はない。既に三人は蔵馬の殺気で息を飲む事しか出来ていない。
それを見た蔵馬は殺気を収め、手元から植物のつたを出して卵を手に取りクイーンに結び付けた。その作業を終えると蔵馬は三人にではなく、ミュウにだけ振り向いた。
「おまえらチーグルはライガの住家を燃やしただけではなく、クイーンに危害を加えようとする輩まで連れて来た。本来なら即刻チーグル一族ズタズタに皆殺しにしてしまうところだが、今回だけは見逃してやる。しかし今度ライガの住まう森で貴様らの姿を見かけたら弁解など受け付けん・・・俺がズタズタに引き裂いてやる。住家に戻ったら一族全員にそう伝えろ」
「は、はいですの・・・」
涙混じりの声で意志を受け取った事を確認すると、もう興味が無くなったのか蔵馬はシオンとともにクイーンと森の奥へと消えていった。
その後、チーグルが住む木へと戻った面々が受けたのは歓迎の言葉ではなく三人を拒絶する言葉であった。チーグルはライガへの心象を悪くしたものとして、ライガに見つかる事を恐々と思うだけの身になったのだから当然だろう。穏便に納めて欲しかったという気持ちを理解しなかった三人は二度とここには来るなという言葉を長老から受け取り、渋々とチーグルの住家を後にした。
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