「・・・ただこれはあらかじめ言わせていただきますが、今度バチカルに向かう時はイオン様がティアを差し出す覚悟とティアが差し出される覚悟をしない限り、同行はさせないように代行者には口を添えさせていただきます」
「っ！？」
「えっ！？そ、それは・・・」
・・・だが最早自身の失態から救いは与えられないと理解しているジェイドの開き直りにも似た言葉は続く。
差し出す覚悟と差し出される覚悟をと言われティアが身を震わせイオンが何を言うのかと視線を向ける中、ジェイドは二人にとって残酷な言葉を紡ぐ。
「今の現状ですんなりと和平が認められることはないでしょう。例え代行者がバチカルに行き私の非礼を詫びた所でです・・・ただダアトの仲介でとなれば、陛下は確実に和平を受けようとはしないでしょう。マルクトの非礼は私に全ての責があると私が罰を与えられればそれで済みますが、それでダアトの非礼までもを陛下がチャラにしてくれる事には繋がりません。私と貴殿方は所属が違いますからね。マルクト所属とダアト所属という形で」
「「・・・っ！」」
「そんな状態でマルクトは詫びて私に罰を与えたがダアトはのうのうと何もせずバチカルに来たと見られれば、キムラスカ側は再び非礼に怒り話も出来ずに追い出されかねません。そうしないためにもイオン様にティアが出来ることは言葉だけでなく、行動で詫びる事です・・・そしてそれを為すには少なくともティアを引き渡さねば無理だと、私は見ています。ですが今の現状ではどちらもその覚悟は出来ていない・・・そんな貴殿方とバチカルに代行者と共に行かれても和平はまず結ばれません」
「「・・・っ！」」
いかにマルクトとダアトが違うのか、それを罰という言葉で現したジェイドにイオンとティアの二人はうつむき視線を背けるばかりで何も言葉が出なかった・・・明らかに覚悟が出来ていなかったし、謝ればそれで済むと思っていたが為の物であると露呈した行動であった。
「・・・私からはもうこれ以上何も言いません。散々言っておいてなんですが私の言葉はその判断を強制されたものと見られる可能性がありますからね。それにティアがバチカルに行って出頭したとてそれだけでは許されない可能性もありますから、どうするかはイオン様達自身で決められてください・・・では私は代行者に話を通すため、ここで失礼します」
「「・・・」」
「・・・大佐・・・」
そんな二人の姿にもう厳しい言葉を投げても何も返ってこないと思ったのか、そこでジェイドは後は自身らで考えるようにと告げてその場から退出していく。半ば投げやりとも取れる態度を取られたにも関わらずイオンとティアは何も反応を返せず、アニスはただ不安そうな顔でその姿を見送るばかりだった・・・















・・・そして一方１人キムラスカ側の領事館にて自身の荷物が届けられるのを待っていたガイの元でも、波乱が起こっていた。



「・・・あれ？ペール、どうしたんだ？なんでここに？」
「・・・」
そろそろ荷物が来る頃だろうと領事館の中に来ていたガイ。そんな時にペールが領事館に入ってきた事でガイは首を傾げる。
「・・・少し場を変えましょう。そこでお話致しますから」
「あ、あぁ・・・わかった・・・」
だが何も理解してない様子にペールはいやに丁寧な言葉遣いながらも有無を言わせない様子で場を変えようと促し、ガイは少し圧されながらも頷き領事館を二人で後にしていく・・・






「・・・ここでいいでしょう」
「・・・一体何が起こったんだ、ペール？」
・・・領事館を出て街中の路地裏に来た二人。そこでペールが真剣な様子で振り返ったことで、ガイは早速どういうことなのかと問う。
「・・・まずはこれをお渡しします。クラマ様から貴方個人に向けられたものになります」
「・・・これは手紙？それにクラマ個人、から・・・？」
だがすぐに答えを出さず蔵馬からの手紙だと懐から取り出したペールに、不可解そうにガイは敬称抜きでその手紙を受け取り開いて読んでいく。
「・・・・・・なっ・・・なんだよ、これは・・・！？」
「・・・私がここに来たのはそういうことです。つまり、私もファブレの屋敷を辞めてきたんです」



「・・・クラマ様より、貴方との繋がりを消すために自主的に辞めるように言われて」









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