蔵馬をルークの義理の兄にしたらこうなった 掌握・策謀・攻勢
「陛下の元を追い出されれば次に来るのは私の元で、ティア=グランツはただ謝ればいいとタカをくくってくる。その上でガイがさも当然のように屋敷に入れるようにしてくる・・・正直、流石にそんなことはせんと思っていた。しかしお前の言う通りに奴らはやってきた。それがどれだけ愚かなる事かを知らずだ」
「私から見て彼らには罪の意識だとか取った行動の意味など考えてなかったように思われました。いえ、正確には彼らの価値観は子供以下の物でしかないと言えると思います。自分が相手にしたことは謝れば許してやるが、相手から自分にされたことに対しては謝られても素直には許せない・・・いわばわがままな子供の駄々で、彼ら全員がそんな面を隠しもせずに持っていた」
「わがままな子供の駄々、か・・・だから平気でティア=グランツはここに来れたのだな。自分は謝りに来てやったのだから許されて然るべきなのだと。だが下手に出て謝るというのであれば、お前とルークにもかしずくのが当然であるはずだ。何せ被害者なのだからな、二人は」
「えぇ、その通りです。ガイに関して言うなら子供の駄々というのもですが、そもそも使用人としての気構えに常識が備わっていなかったと思ってます。まず普通に考えて犯罪者と仲良くしたいなどと思うはずがありません。それがティア=グランツを油断させる罠であるなら別ですが・・・そう言った素振りなど何もなかった。あれではティア=グランツが再び騒ぎを巻き起こすことを期待していて、自分を疑えと言っているような物だと思いました。あのような事を言うようでは使用人は失格と思ったからこそ、私は義父上に判断を委ねたのですが・・・いかがでしたか?」
「いや、お前の判断は間違ってはおらん。私がお前の立場に立っていてもそう判断したであろう・・・とは言え、あれだけファブレの事を考えん使用人だったとは思わなかったがな・・・」
「・・・心中ご察しします」
その表情のまま二人は彼らがどれだけ愚かな事をしでかしたのかを話すが、ガイの想像以上の愚かさに雇い主として公爵が更に険しい顔つきになる。そんな公爵を言葉で慰めつつも蔵馬は心中で別の事を考えていた。
(一先ずはガイはバチカルからはいなくなるだろうが、そう遠くない内にまた来るのは容易に想像がつく。それも間違いなくファブレに害を成す形でだ・・・それまでが勝負だな)
その中身とはガイをいかにこれより排するか、それを煮詰める物である。その思考にははっきりとガイを敵と見定め、敵意がこもっていた。だがそれは何故か、と言えば・・・
(・・・ヴァンにペールと共に内密に話していたファブレへの復讐の件。流石にこれを見過ごす訳にはいかないからな)
それは屋敷内でガイがヴァンに庭師のペールと復讐について話していた事に起因している・・・人並み以上どころかそんな領域すら大幅に上回る聴覚を持つ蔵馬からしてみれば、話を盗み聞く事など造作もなかった。だからこそ蔵馬はガイをファブレから排するために手を打ったのだ。ファブレを守るために。
(復讐を否定する気は俺にはない、事実公爵も恨みを買われるくらいの事を覚悟はしていたはずだ。だがそれに夫人にルークまでをも巻き込むのは俺が許せることではない。事実先程の反応は今にも飛び掛からんばかりの空気だったから、俺も割って入ったんだが・・・いずれにしても復讐は諦めてもらうぞ。無理矢理にでもな)
・・・強欲のままに動いてきた過去の自分はよく分かる、恨みを受けることの意味を。だが今の自分は守るべき物があり、それを恨みにより失うことなど素直に認められるものではない。
だからこそ蔵馬は自身がガイを不快に感じていたこともあり改心する様子もなかったので、排除することを選んだのだった。それがガイを徹底的に追い詰めることになろうともと。
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「私から見て彼らには罪の意識だとか取った行動の意味など考えてなかったように思われました。いえ、正確には彼らの価値観は子供以下の物でしかないと言えると思います。自分が相手にしたことは謝れば許してやるが、相手から自分にされたことに対しては謝られても素直には許せない・・・いわばわがままな子供の駄々で、彼ら全員がそんな面を隠しもせずに持っていた」
「わがままな子供の駄々、か・・・だから平気でティア=グランツはここに来れたのだな。自分は謝りに来てやったのだから許されて然るべきなのだと。だが下手に出て謝るというのであれば、お前とルークにもかしずくのが当然であるはずだ。何せ被害者なのだからな、二人は」
「えぇ、その通りです。ガイに関して言うなら子供の駄々というのもですが、そもそも使用人としての気構えに常識が備わっていなかったと思ってます。まず普通に考えて犯罪者と仲良くしたいなどと思うはずがありません。それがティア=グランツを油断させる罠であるなら別ですが・・・そう言った素振りなど何もなかった。あれではティア=グランツが再び騒ぎを巻き起こすことを期待していて、自分を疑えと言っているような物だと思いました。あのような事を言うようでは使用人は失格と思ったからこそ、私は義父上に判断を委ねたのですが・・・いかがでしたか?」
「いや、お前の判断は間違ってはおらん。私がお前の立場に立っていてもそう判断したであろう・・・とは言え、あれだけファブレの事を考えん使用人だったとは思わなかったがな・・・」
「・・・心中ご察しします」
その表情のまま二人は彼らがどれだけ愚かな事をしでかしたのかを話すが、ガイの想像以上の愚かさに雇い主として公爵が更に険しい顔つきになる。そんな公爵を言葉で慰めつつも蔵馬は心中で別の事を考えていた。
(一先ずはガイはバチカルからはいなくなるだろうが、そう遠くない内にまた来るのは容易に想像がつく。それも間違いなくファブレに害を成す形でだ・・・それまでが勝負だな)
その中身とはガイをいかにこれより排するか、それを煮詰める物である。その思考にははっきりとガイを敵と見定め、敵意がこもっていた。だがそれは何故か、と言えば・・・
(・・・ヴァンにペールと共に内密に話していたファブレへの復讐の件。流石にこれを見過ごす訳にはいかないからな)
それは屋敷内でガイがヴァンに庭師のペールと復讐について話していた事に起因している・・・人並み以上どころかそんな領域すら大幅に上回る聴覚を持つ蔵馬からしてみれば、話を盗み聞く事など造作もなかった。だからこそ蔵馬はガイをファブレから排するために手を打ったのだ。ファブレを守るために。
(復讐を否定する気は俺にはない、事実公爵も恨みを買われるくらいの事を覚悟はしていたはずだ。だがそれに夫人にルークまでをも巻き込むのは俺が許せることではない。事実先程の反応は今にも飛び掛からんばかりの空気だったから、俺も割って入ったんだが・・・いずれにしても復讐は諦めてもらうぞ。無理矢理にでもな)
・・・強欲のままに動いてきた過去の自分はよく分かる、恨みを受けることの意味を。だが今の自分は守るべき物があり、それを恨みにより失うことなど素直に認められるものではない。
だからこそ蔵馬は自身がガイを不快に感じていたこともあり改心する様子もなかったので、排除することを選んだのだった。それがガイを徹底的に追い詰めることになろうともと。
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