蔵馬をルークの義理の兄にしたらこうなった 掌握・策謀・攻勢
・・・蔵馬とルークの体験してきた事を事細かに話していく公爵。時々嘘だと反論してくるモースに公爵は二人に言質を取ったりなどして、それがどれだけの物なのかを否応なしにインゴベルトとモースの二人に理解させた。
「・・・という訳です」
「「・・・っ!」」
・・・そして全てが話終わる頃には二人共に、何も言うことが出来ずに口をつぐんでいた。
「さて大詠師、改めて問いますが何か申し開きはございますか?」
「っ・・・・・・も、申し開きは・・・と仰られても私は関与していない、としかも、申し上げることしか・・・」
公爵はいい言い訳が何も返せない事を承知でモースに話を振るが、絞りでた言葉は自分に責が振りかからないようにと目を逸らしながら誤魔化す言葉ばかり。
「兄上?今のお話を聞いてお分かりでしょう。事は既に大詠師にグランツ兄妹だけの問題ではなくなっていると」
「う、うむ・・・」
今度はシュザンヌがインゴベルトに事の重大さを認識しているかを問うが、優しい問い掛けであるはずのその声にインゴベルトはただ頷く以外に出来ない。
「ならば兄上、今の話をよく聞いた上で吟味して判断してください。このまま無実を叫ぶ大詠師を愚かにも無罪放免とし無能のそしりを受けるか、大詠師を捕らえた上で無実かどうかを釈明させる機会を与えるかを」
「ふ、夫人!?」
その上で提案したシュザンヌの二択に、モースは驚愕の声を上げた。自身にとって確実に1つ、あまりにもまずい結末が待ち受けるその提案に。
「何でしょうか大詠師?言っておきますが私は忘れてはおりませんよ。クラマにルークが受けた屈辱に侮辱に加え命の危機を。その全ての大元を為した可能性のある貴方を私や夫が素直に見過ごすとお思いですか?」
「うっ・・・!」
「それにもし貴方が黒幕であったとするなら、次に被害を被るのはファブレだけでなくキムラスカ全体かもしれませんのよ?貴方を信じていたらいつの間にか預言を盾に取られ、ダアトの手の者が相当な数で送り込まれ取り込まれる形で・・・もしそのような事になったら兄上、貴方は獅子身中の虫を飼っていただけでなく無闇に信じてすらいたことになります。事の真意がまだ明らかになっていない今、兄上は大詠師を無条件に信じなど致しませんわよね?」
「そ、それは・・・」
だが静かに怒れるシュザンヌにとって豚の命乞いなど聞き入れる価値はない。疑わしきこそが罪であると言わんばかりのシュザンヌにモースはまた言葉を失い、同時に無視できないキムラスカの危機という例をあげつらわれた事でインゴベルトは明らかに動揺していた。
「何を迷われるというのですか?あくまで大詠師が潔白であると証明されればいいだけの話でしょう。それに何も殺せと命じている訳でもありませんし、事が明らかになるまではしばらく兄上に私達の目の届かない所にいていただくだけでいいと思うのですが?少なくとも私に夫はそう思っております」
「・・・むぅ、そう言うことならやむを得んだろう・・・衛兵、モースを捕らえよ!」
「へ、陛下!」
そこにすかさず苛烈な仕打ちをするわけではないからと畳み込んだ事でインゴベルトも決心を固め、捕縛の命を周りにいた兵に出す。すぐさま集まってきた兵にモースは止めてくれとすがるような声を出す。
「・・・案ずるなモースよ。そなたが潔白だと言うならそれが証明されるまでの処置に過ぎん。だがそれを不服とするようではわしもだが、クリムゾン達の不興を買うことになる。それでも尚不満を申すと言うか、そなたは?」
「い、いえ・・・・・・やむを得ません、その処置を甘んじて受け入れさせていただきます」
「そうか・・・なら連れていけ」
だがインゴベルト自身も不満を持っている事もあり、聞き入れる事はなかった。それを感じ取り不承不承ながらも頷くモースだったが、その瞳には明らかな不満がこもっているのを蔵馬は見逃さなかった。そんなモースは衛兵に連れられ謁見の間を後にしていく・・・
(・・・そんな目をしても、貴様のような奴になど挽回の機会も与える気はないがな)
その姿に蔵馬は冷笑を浮かべ見送る、今の状況からチャンスなど与える気などないと見下しながら。
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「・・・という訳です」
「「・・・っ!」」
・・・そして全てが話終わる頃には二人共に、何も言うことが出来ずに口をつぐんでいた。
「さて大詠師、改めて問いますが何か申し開きはございますか?」
「っ・・・・・・も、申し開きは・・・と仰られても私は関与していない、としかも、申し上げることしか・・・」
公爵はいい言い訳が何も返せない事を承知でモースに話を振るが、絞りでた言葉は自分に責が振りかからないようにと目を逸らしながら誤魔化す言葉ばかり。
「兄上?今のお話を聞いてお分かりでしょう。事は既に大詠師にグランツ兄妹だけの問題ではなくなっていると」
「う、うむ・・・」
今度はシュザンヌがインゴベルトに事の重大さを認識しているかを問うが、優しい問い掛けであるはずのその声にインゴベルトはただ頷く以外に出来ない。
「ならば兄上、今の話をよく聞いた上で吟味して判断してください。このまま無実を叫ぶ大詠師を愚かにも無罪放免とし無能のそしりを受けるか、大詠師を捕らえた上で無実かどうかを釈明させる機会を与えるかを」
「ふ、夫人!?」
その上で提案したシュザンヌの二択に、モースは驚愕の声を上げた。自身にとって確実に1つ、あまりにもまずい結末が待ち受けるその提案に。
「何でしょうか大詠師?言っておきますが私は忘れてはおりませんよ。クラマにルークが受けた屈辱に侮辱に加え命の危機を。その全ての大元を為した可能性のある貴方を私や夫が素直に見過ごすとお思いですか?」
「うっ・・・!」
「それにもし貴方が黒幕であったとするなら、次に被害を被るのはファブレだけでなくキムラスカ全体かもしれませんのよ?貴方を信じていたらいつの間にか預言を盾に取られ、ダアトの手の者が相当な数で送り込まれ取り込まれる形で・・・もしそのような事になったら兄上、貴方は獅子身中の虫を飼っていただけでなく無闇に信じてすらいたことになります。事の真意がまだ明らかになっていない今、兄上は大詠師を無条件に信じなど致しませんわよね?」
「そ、それは・・・」
だが静かに怒れるシュザンヌにとって豚の命乞いなど聞き入れる価値はない。疑わしきこそが罪であると言わんばかりのシュザンヌにモースはまた言葉を失い、同時に無視できないキムラスカの危機という例をあげつらわれた事でインゴベルトは明らかに動揺していた。
「何を迷われるというのですか?あくまで大詠師が潔白であると証明されればいいだけの話でしょう。それに何も殺せと命じている訳でもありませんし、事が明らかになるまではしばらく兄上に私達の目の届かない所にいていただくだけでいいと思うのですが?少なくとも私に夫はそう思っております」
「・・・むぅ、そう言うことならやむを得んだろう・・・衛兵、モースを捕らえよ!」
「へ、陛下!」
そこにすかさず苛烈な仕打ちをするわけではないからと畳み込んだ事でインゴベルトも決心を固め、捕縛の命を周りにいた兵に出す。すぐさま集まってきた兵にモースは止めてくれとすがるような声を出す。
「・・・案ずるなモースよ。そなたが潔白だと言うならそれが証明されるまでの処置に過ぎん。だがそれを不服とするようではわしもだが、クリムゾン達の不興を買うことになる。それでも尚不満を申すと言うか、そなたは?」
「い、いえ・・・・・・やむを得ません、その処置を甘んじて受け入れさせていただきます」
「そうか・・・なら連れていけ」
だがインゴベルト自身も不満を持っている事もあり、聞き入れる事はなかった。それを感じ取り不承不承ながらも頷くモースだったが、その瞳には明らかな不満がこもっているのを蔵馬は見逃さなかった。そんなモースは衛兵に連れられ謁見の間を後にしていく・・・
(・・・そんな目をしても、貴様のような奴になど挽回の機会も与える気はないがな)
その姿に蔵馬は冷笑を浮かべ見送る、今の状況からチャンスなど与える気などないと見下しながら。
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