蔵馬をルークの義理の兄にしたらこうなった 掌握・策謀・攻勢
・・・そんなファブレ一家が向かった先、そこはバチカル城の中にある牢屋である。
「・・・気分はどうだ?ヴァン」
「・・・公爵・・・」
・・・牢の中にいたのはヴァン。その姿を確認したファブレ公爵の問い掛けに、石畳に正座していたヴァンは余裕の笑みを浮かべながら立ち上がる。
「公爵直々にこのような場所においでとは・・・もしや私にかけられた嫌疑が晴れたとお伝えに来られたのでしょうか?」
そしてすかさずかかってきた声には丁寧ながらも一片も自分の非を疑わず、解放されるのが当然といった響きがこもっていた。
だがそんなつもりはそれこそ一片もない公爵は真っ向からそれを否定する。
「何を言っているのだ、貴様は?何故そんな有り得んことに私自らが足を運ばねばならん」
「っ・・・ならば何の為にこのような場所へ来られたのでしょうか?」
絶対に違うと断固とした断言に、ヴァンは少し圧されたものの再度平常を装い訳を問う。
・・・が、それはヴァンだけではなくダアトに、ひいてはそれに準じた者達の断頭台への歩みの始まりだった。
「決まっている。貴様を用いてダアトを追い落とす口実と為すためだ」
「なっ!?」
・・・ヴァンにとってファブレ公爵から出てきた言葉は意外、というよりそれこそ有り得ない物だった。ダアトを排するなどと世界に生きる者にとってほとんどの者が受け入れがたい事であるのに、それを平然と為すと言ったのだから。
だがそんな驚愕など気にせず、今度は微笑を携えたシュザンヌがヴァンへと突き付ける。その為の材料を。
「あらあら、お忘れですかヴァン?貴方が何故このような所にいるのかを?」
「それは・・・ティアが私を襲ったことから貴女方が共謀の元の出来事と疑われ、疑わしき者はルークの捜索に回せぬと仰られ容疑者として牢に入れられたのですが・・・」
「・・・そうですね。確かにその通りです」
その材料とはルークに蔵馬がバチカルから飛ばされた時の出来事なのだが、一切どういう立場にあって発言しているかを理解してないヴァンにシュザンヌの口元が少しひきつった。
「ではこれはご存知でしょうか?貴方の妹とやらのティアにクラマとルークが疑似超振動によって飛ばされた後、二人はそのティアとやらと離れマルクトの平原部に飛ばされたそうです。それで途方に暮れた二人は人のいるところを探そうとした結果、エンゲーブという所に辿り着いたとのことです・・・まぁここまではいいとしましょう、二人が無事という所までは」
「・・・」
そんな状態のまま知らない事を前提にシュザンヌは語る。二人がどのような行動を取ったのかを。
・・・貴族であり王族でもあるファブレ邸にヴァンの妹であるティアは場所をわきまえず、ヴァンを狙う為に屋敷の人間を眠らせながら侵入してきた。そしてヴァンを狙い中庭に侵入し対峙しようとしたティアだったが、侵入者の存在をいち早く察した蔵馬はティアに対し手持ちの鞭を使いその宙にあった体を打ち落とした(ローズ・ウィップを使わなかったのは異質な存在を隠す為でもあるが、生かして捕らえるには普通の鞭の方が都合がよかったため)。
そんな自分が叩き落としたティアをさっさと尋問しようと蔵馬は近寄ろうとしたのだが、ヴァンはあろうことかそのティアの身を案じ蔵馬の前に立った。それだけでも本来ならおかしなことと言えるのだがあろうことか、ティアは自分を攻撃した蔵馬を敵と見なしヴァンを払いのけ蔵馬に襲いかかった。その姿に冷静に対処しようとした蔵馬だったが、蔵馬の危機と見たルークは間に入りその攻撃を受け止めた・・・のだが、そこで事件は起きた。第七音譜術士同士の激突による疑似超振動が起こったのだ。
その第七音素に二人が包まれる姿を見て咄嗟に蔵馬はルークを引き剥がそうと体を抱き込んで離れようとしたのだが、一歩遅く二人は飛ばされたのだ。マルクトの平原部に。
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「・・・気分はどうだ?ヴァン」
「・・・公爵・・・」
・・・牢の中にいたのはヴァン。その姿を確認したファブレ公爵の問い掛けに、石畳に正座していたヴァンは余裕の笑みを浮かべながら立ち上がる。
「公爵直々にこのような場所においでとは・・・もしや私にかけられた嫌疑が晴れたとお伝えに来られたのでしょうか?」
そしてすかさずかかってきた声には丁寧ながらも一片も自分の非を疑わず、解放されるのが当然といった響きがこもっていた。
だがそんなつもりはそれこそ一片もない公爵は真っ向からそれを否定する。
「何を言っているのだ、貴様は?何故そんな有り得んことに私自らが足を運ばねばならん」
「っ・・・ならば何の為にこのような場所へ来られたのでしょうか?」
絶対に違うと断固とした断言に、ヴァンは少し圧されたものの再度平常を装い訳を問う。
・・・が、それはヴァンだけではなくダアトに、ひいてはそれに準じた者達の断頭台への歩みの始まりだった。
「決まっている。貴様を用いてダアトを追い落とす口実と為すためだ」
「なっ!?」
・・・ヴァンにとってファブレ公爵から出てきた言葉は意外、というよりそれこそ有り得ない物だった。ダアトを排するなどと世界に生きる者にとってほとんどの者が受け入れがたい事であるのに、それを平然と為すと言ったのだから。
だがそんな驚愕など気にせず、今度は微笑を携えたシュザンヌがヴァンへと突き付ける。その為の材料を。
「あらあら、お忘れですかヴァン?貴方が何故このような所にいるのかを?」
「それは・・・ティアが私を襲ったことから貴女方が共謀の元の出来事と疑われ、疑わしき者はルークの捜索に回せぬと仰られ容疑者として牢に入れられたのですが・・・」
「・・・そうですね。確かにその通りです」
その材料とはルークに蔵馬がバチカルから飛ばされた時の出来事なのだが、一切どういう立場にあって発言しているかを理解してないヴァンにシュザンヌの口元が少しひきつった。
「ではこれはご存知でしょうか?貴方の妹とやらのティアにクラマとルークが疑似超振動によって飛ばされた後、二人はそのティアとやらと離れマルクトの平原部に飛ばされたそうです。それで途方に暮れた二人は人のいるところを探そうとした結果、エンゲーブという所に辿り着いたとのことです・・・まぁここまではいいとしましょう、二人が無事という所までは」
「・・・」
そんな状態のまま知らない事を前提にシュザンヌは語る。二人がどのような行動を取ったのかを。
・・・貴族であり王族でもあるファブレ邸にヴァンの妹であるティアは場所をわきまえず、ヴァンを狙う為に屋敷の人間を眠らせながら侵入してきた。そしてヴァンを狙い中庭に侵入し対峙しようとしたティアだったが、侵入者の存在をいち早く察した蔵馬はティアに対し手持ちの鞭を使いその宙にあった体を打ち落とした(ローズ・ウィップを使わなかったのは異質な存在を隠す為でもあるが、生かして捕らえるには普通の鞭の方が都合がよかったため)。
そんな自分が叩き落としたティアをさっさと尋問しようと蔵馬は近寄ろうとしたのだが、ヴァンはあろうことかそのティアの身を案じ蔵馬の前に立った。それだけでも本来ならおかしなことと言えるのだがあろうことか、ティアは自分を攻撃した蔵馬を敵と見なしヴァンを払いのけ蔵馬に襲いかかった。その姿に冷静に対処しようとした蔵馬だったが、蔵馬の危機と見たルークは間に入りその攻撃を受け止めた・・・のだが、そこで事件は起きた。第七音譜術士同士の激突による疑似超振動が起こったのだ。
その第七音素に二人が包まれる姿を見て咄嗟に蔵馬はルークを引き剥がそうと体を抱き込んで離れようとしたのだが、一歩遅く二人は飛ばされたのだ。マルクトの平原部に。
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