「まずですが公爵に夫人の説得です。その辺りに関しては貴方がどれだけやれるかにかかっていますが、まずはそれが成功すると仮定して話を進めます。その後はラルゴにもそれとなくうまく話を通しておいてください・・・ナタリアに関しては責任は彼にはありませんが実の父親ですから、下手に刺激しないようにお願いします」
「・・・わかったよ。流石に僕もラルゴに対して申し訳がたたないから、そこはちゃんとやるよ」
そこから話を始めるジェイドだったが、ファブレ夫妻に説得と言った時と違いラルゴの名を出した時にはどうとも言えない雰囲気を醸し出す。その雰囲気に流石にラルゴにとって酷な事をするのだとジェイドから感じ取ったのと同時に自分もそれをするのだと思い至り、ラムザは重く頷く。
「それからですが、アクゼリュスの件をうまく片付けるまでは今まで通りで。ただアクゼリュスの件が片付く頃にはナタリアの事実をモースがバラす頃でしょうから、そこから公爵と共同で動いてください」
「具体的には？」
「貴方とルークの事及び、イオン様の事実をモースにインゴベルト陛下に貴殿方の有利だという状況下でお話ください。傍目から見れば力づくに見えるかもしれないが、やむを得ず決断に至り強行手段に出たと言ったようにね。それが成功さえすれば、ほぼ上手くいくでしょう・・・ただその時にはモースは確実に捕らえてください。彼がいては以降の流れに支障が出かねませんのでね」
「・・・分かった。この件についてはいずれ僕からイオンに話をしておくよ。ダアトの総意としてでないとモースを追い落とすなんて難しそうだからね」
「ありがとうございます。それでですがここからが肝心な所です」
そこから具体的な中身を上げラムザも特に反対意見を出さなかった所で、ジェイドは話の肝に迫る。
「アクゼリュスからは我々がどうにかナタリアをグランコクマに連れていきますが、バチカルから捕らえたモースと共にファブレ公爵が書かれたナタリアの事実をバラした経緯を記した手紙をください。そこでナタリアの前でモースに言質を取らせますので、その後はナタリアをバチカルに送ります」
「そして僕に父上が最もらしい言い訳をナタリアにして、婚約解消って訳か」
「えぇ、そうです。その頃には公爵の力が強くなっているでしょうから、インゴベルト陛下を黙らせればすんなりといかせることは難しくはないでしょう・・・とは言え王女が婚約解消され、宙ぶらりんの状況が続くのはまた面倒な事態になりかねませんからね。なので説得の上でナタリアをマルクトに送ってください。こちらでその地位に見会った相手をあてがい結婚していただくようにしますので」
「え・・・？いいのかい、そこまでして？確かに政略結婚なんかなら有り得るとは思うけど、言い方は悪いけどそんな自分からナタリアを引き取るような事をするなんて？」
・・・けして認めたくない真実を知り、想っていた相手からの絶縁。そしてその上で最後は異国の地に嫁に行かされる。
ナタリアにとってこれ以上ない絶望を与えるジェイドの発案の最後の部分を聞き、発案自体には賛成しつつも厄介者を抱え込むような事をやるのかと驚きラムザは目の前の相手を疑う。
「まぁ一応得が無いわけではありません。キムラスカの王女がマルクトの貴族と結婚するとなれば国の和平の橋渡しの象徴としては十分過ぎるものになりますからね。それに貴方がナタリアをきっぱり諦められるよう拒否し、偽者の王女という称号を被りたくないと教え込めばけしてこちらに大人しく嫁いでいただくのも不可能ではありません・・・それにこれは貴方には関係無く、『アッシュ』にナタリアに対し思うところがありましたのでね。気遣われなくても一向に構いませんよ、我々が勝手にやることですからね」
「・・・そうなのか、アニス？」
「うん、大佐の言ってる事は難しいけど大体私もそう思ってるから・・・だからラムザは気にしないでいいよ」
「・・・そうか。じゃあ気にしないよ」
そんな視線に表向きな得を話しつつも、本音の部分にかなり重い意志があったことを見てアニスにもラムザは確認を取る。その問いに対し寂しそうな笑顔で頷かれたことに、ラムザはそれ以上は何も聞かずただ首を縦に振った・・・











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