異端者と逆行せし者達の協力

「・・・成程、話から察するにこの『アッシュ』は以前の『アッシュ』じゃなくて何故か中身が僕になってる、と言った所かな?」
「だと思う・・・あたしの知ってるアッシュだったら絶対あたしと仲良く話そうなんて思うはずないもん。それに絶対『アッシュ』が僕なんて言うはずないし・・・」
「はは・・・」
・・・一通り話を聞き終わった所でラムザは状況を把握するが、まだラムザの事を掴みきれてないアニスに苦笑する。
「・・・まぁそういうことなら僕の事は君にもだけど、カーティス大佐って人にも説明した方がいいね。『アッシュ』、いや『ルーク・フォン・ファブレ』・・・とにかくこの体に僕がついてしまった事をね」
「ついて、しまった・・・?」
「うん、君は生まれ変わりって信じる?」
「生まれ変わりって、それ・・・まさか!」



「そう、僕はこの体に生まれ変わったみたいなんだ。前の記憶があるまま、この体の本来の持ち主の自我を乗っとる形でね」



・・・そんなアニスになら自分の事を言わなければならない。そう思ったラムザは前置きを置きつつ、自分が生まれ変わった者である事を明かした。
「そんな、なんで・・・!?」
「さぁ、そこまでは僕にもわからない。でも僕も元々謡将にモースのやろうとしていることには反対だからね。出来る限りの事は協力するよ。それにマルクトが協力してくれるなら父上も心強いと言ってくれるはずだ」
「え・・・ファブレ公爵に会ったのアッシュ、あぁじゃなくて何て言えばいいの・・・?」
「はは、まぁ僕の事はちょっとづつ慣れていってね」
だがそんな重大かつ非常識な事を言われてしまったからか終始混乱気味に表情をコロコロ変えるアニスに、ラムザは優しく声をかける。















・・・それからは時々ではあるが、アニスと通じているというジェイドとも何回か接するようにラムザはなっていった。その過程の上でラムザはガイ達の事を聞いていたのだが、いくら神託の盾にいたからと言ってマルクトとまで最初から繋がっていたとなれば話はまたややこしくなる。故にラムザはガイ達の事は打ち合わせ通りの行動だなど、言えるはずもないと思っていた。















・・・そんな母との茶を多少苦々しくも楽しむラムザだが、一方その時ルーク達はマルクトの首都グランコクマにいた。



「・・・すまなかったな。色々そちらには手数をかけた」
「いえ、これも全て我が兄ラムザが危険を承知で行動した結果。私はあくまで兄の言いつけに従ったまでです」
・・・謁見の間にて玉座に座るピオニー。その顔には労りの声をかけつつも満面の笑みがあり、対するルークは堂々とラムザの事をもう言える事により自信のある笑顔で頭を下げる。
「出来ることなら俺もラムザという人物に会いたかった所だが、キムラスカに戦争を止める為に戻らねばならんというなら止める訳にはいかなかったからな。だから代わりに伝えておいてくれ。機会があれば会おうと」
「はい、確かにその言葉お伝えします」
その上でラムザに感謝の意を述べたいと言うピオニーにルークはまた丁寧に頭を下げる。
「うん・・・ではジェイド、お前は導師にルーク殿と共に和平を結ぶためにバチカルに迎え。今ならファブレ公爵が政治を掌握しているだろう、バチカルにな」
「はっ。では参りましょうルーク様、イオン様」
「では陛下、失礼します」
「あぁ」
そして会話も一区切りしたところでピオニーが真顔になり出発を促せば、ジェイドもイオンもルークもアニスも何も反発することなく頭を下げピオニーの見送る視線を受けながら退出していく。










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