異端者と逆行せし者達の協力

(確かにマルクトからの情報は僕にとっても役に立ったけど、流石に言えないな。元々からマルクトと僕は協力していた、なんて・・・)
・・・ラムザが素直に笑えない理由、それは自分と両親が内密に協力していただけではなくマルクトとも繋がりがあったのが元である。
(でもいきなり、アニスが僕に接触してきた時には少し焦ったけどね・・・)
そしてそのきっかけとなった時の事を思い出し、苦笑する・・・















・・・元々からラムザはダアト、正確にはヴァンとモースの思想及び行動には付いていけないと感じていた。それ故にラムザはいざというときに行動を起こすことを目標とし、裏で色々と動いていた。ファブレに事情を話すことは元より、神託の盾内でかつての自身のように自分に付き従ってくれる仲間を引き入れる為に。

その過程は多様な物語があるためここでは省くが、その結果ヴァンの配下であるはずの自分以外の六神将全員とどうやってもヴァンにしかなびかない神託の盾以外をラムザは仲間にすることに成功した(説得・勧誘に関してもお手の物)。

リグレットにラルゴとディストの三人は説得に多少骨は折れたが、シンクにアリエッタにオマケにイオンは被験者イオンの頃からの縁があったため、特に問題はなかった・・・のだが、そんな空気を見て取ってアニスはラムザに接触してきた。



‘コンコン’
「・・・ねぇ、アッシュ。ちょっといい?」
「ん・・・何かな、こんな夜中に?」
・・・神託の盾本部の中にあるラムザにあてがわれた部屋。そこに控え目なノックとともに部屋の扉を開けてきたアニスに、ラムザは腰掛けていたベッドからアニスに視線を向ける。
「・・・どう言うことなの?て言うか本当にあんたアッシュなの?」
「ちょっと待って。いきなりどうしたんだい?僕はアッシュだよ」
「・・・うわ、アッシュが穏やかな僕口調ってやっぱすっごい違和感あるんですけど・・・」
「・・・いきなり何を言うんだ」
そこからスッと室内に入ってきたアニスはラムザの顔をジッと疑わしく見るが、何が何だかわからないラムザは戸惑うばかり。しかしそんな態度に体を抱くよう気持ち悪がるアニスに、ラムザも気分を害したように頭を抱える。
「いやだって、私の知るアッシュだったら絶対こんな時間に来たら私を追い出すもん。それにイオン様にアリエッタと仲がいいのもおかしいし・・・」
「っ・・・ふぅ・・・君が僕の何を知っているのかは知らない。けど、だ。君がそんなに『アッシュ』って存在に違和感を感じている理由・・・それを聞かないと、僕は君をここから出すわけにはいかないな」
「・・・っ!」
だがアニスが口走った意味深な話の中身にラムザは空気を一新し、逃がさないと言わんばかりに真剣にアニスの前に立ち両肩に手を置く。
「わかったから、手を離してよ・・・痛いし、逃げないから・・・」
「そう、なら話して」
置いた手に力を込めていたことにアニスは顔を痛みに歪め批難の色を込めて返すが、本気と理解させるためにした事なので今は謝る気はないラムザは早速話すように命じる。

















・・・そこからアニスが話した中身は分かりやすく要約すると、こうだった。アニスともう一人のマルクトの死霊使いという異名を持つ軍人ジェイド・カーティス、二人は未来から戻って来たと。

無論最初は何をと思っていたラムザだったが、二年後に本格的に始まるヴァンが進めるレプリカを用いた計画の事及び、モースが戦争を預言により密かに進めようとしている事の詳細にラムザは信じざるを得なくなっていた。アニス、そしてジェイドの話が少なくともただの戯言ではないことを。

そしてそんな計画を知りそれを止める為に活動し最終的にヴァン達を止めたルーク達だったが、アニスとジェイドは全てが終わった後に強く悔いていたと言った。もっと自分にやれることはなかったのか、犠牲になったルーク達を救えなかったのか、あの時何故あんなことをしたのか・・・と、非常に悔しむ形で。

その上で自分達とは違いそう言った後悔の念が弱いティア達は誘わず、ジェイドが独自に研究して過去に戻る為の術を編み出しその術で二人は過去に戻ってきた・・・というのだが、行動を起こす前に既に大分変わっている神託の盾を見てアニスはその原因を調べていたとのことである。








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