異端者と逆行せし者達の協力

・・・話はまとまった。そう判断出来た事で公爵はラムザ達へと振り返る。
「ではラムザよ、リグレットとディストを私に預けそなたは屋敷に戻るといい。私は詳細な話し合いをこれより陛下とする、お前はシュザンヌを安心させてあげなさい」
「はい、父上・・・ではリグレットとディストは公爵の護衛を」
「「はっ!」」
「それでは我らは謁見の間を出るぞ」
「「「「はっ!」」」」
そこで二人を残し退席を言い渡せば、ラムザは迷いなく六神将以下の面々に命令を言い渡しその面々も迷いなく返礼を返す。そんなやり取りを見せた後、ラムザ達はインゴベルト達を背に向け謁見の間を後にしていった・・・












・・・そして城を出たラムザはファブレ邸に堂々と入る。
「おぉ、ラムザ!お待ちしておりましたよ!」
「只今戻りました母上」
扉を開けた先にいたのはシュザンヌ夫人でラムザを見るなり嬉々として抱き付き、ラムザもその体を微笑を浮かべながら抱き返す。
「さぁさぁ、お疲れでしょう。中庭にお茶を用意しています、ゆっくり旅の疲れを癒しなさい」
「では私は神託の盾をまとめねばなりませぬので、これで失礼します・・・シンク、アリエッタ。二人はお二人につくんだ」
「そうですか、御苦労様です」
「ありがたきお言葉・・・では」
そこから体を少し体を離し茶の席を勧めれば、ラルゴは役割があるから辞すると言いシュザンヌの労いの言葉を受け礼をして退出していく。



・・・場所は変わり中庭にて、テーブルと椅子の用意された場で4つある席にシュザンヌは北側、ラムザは対面の形で南側、シンクは東側、アリエッタは西側に座り近くにいたラムダスは茶を入れると一礼をして少し離れた場所へと位置づける。
「さて・・・経過はどうでしたか?」
「えぇ、問題はありません。直にルークも導師にカーティス大佐と共にバチカルへと戻ってまいるでしょう」
「そうですか、それはよかった。これでようやくあの子も貴方も、この家の子として堂々と迎え入れられますね」
まずは紅茶を一口つけ笑みを浮かべたシュザンヌにラムザが答えれば、大輪の笑みを浮かべ両の掌を横にし胸の前で合わせ嬉しそうにする。
「これまではガイにペールがいましたから貴方にルークの事は秘密にするしかありませんでしたが、貴方達二人が揃うと思うと嬉しいわ」
「という事は既にペールは解雇されたのですか?」
「えぇ。彼も既に老齢の身・・・せめてもの情けをかけて暇を出す形で退職金を手渡しこの家を出ていただきました。今頃はグランコクマに向かっている最中でしょうね」
フフ、と花が咲くように穏やかに笑うシュザンヌだがそこには既にラムザとルークの存在を知っていたと中身から分かることを漏らしていた。



・・・そう、ファブレ公爵がラムザ達の事実を知っていたのと同じようにシュザンヌもラムザ達の事実を知っていたがそれだけではない。屋敷の主だった者で信頼されている者にもその事実は内密にだが確かに知らされていた。でなければ秘密にファブレ邸に入るなど出来るはずがないし、いつボロが出るかわからないのだ。

ただそれを両人が知っていたのに何故ラムザはガイとペールの二人に事実を明かさなかったのか、と言えば単純な理由としては二人には信用が置けない・・・そう思うような態度があって不審に思い、その気持ちを正しいと裏付ける動機があったからである。



「あの二人がガルディオスの生き残りだとマルクトから情報をいただいた時には驚きましたが、それでしたらラムザが感じていた視線の意味もわかりますからね。一応念のためにマルクトから証拠があると言ってカマをかけましたら白状致しましたから、私も正直安心しました」
「・・・えぇ、私もそう思います」
・・・その理由とはラムザ自身が感じていた自身に注がれる探るような視線、そして裏にある動機はマルクトよりの情報。
シュザンヌはペールから真実を引き出せて安心したと笑顔の色を更に強めるが、対称的にラムザは笑みを少し薄め誤魔化すように茶を口に含む。







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