異端者と逆行せし者達の協力

「ぞ、属国などとそのような気は毛頭・・・」
「ないとは言わせん!貴様はナタリア王女入れ換えの事実を隠蔽したまでか、あろうことかその事実を殿下が勝手に城を脱け出したとは言え今更明かし、本物の王女殿下ではないからと騙していた事を棚に上げて始末させようとするその所業のどこが内政干渉ではないと言える要素がある!?答えよ、大詠師!」
「っ・・・!」
その公爵の言になんとか事を納めようと下手に声を上げるモースだったが、より一層の烈迫の気合いを持ち指を向け問いかける公爵にあまりの内容の正当さもあって一瞬で押し黙らされた。。
「・・・陛下。陛下はそのような事がお分かりにならないと言うのですか・・・?」
「そ、それは・・・・・・クリムゾンの言う事も、一理はあるとは思っておる。だが今までそのような事など言っておらんかったのに、何故今になってそなたは・・・」
モースを黙らせた事で次はとインゴベルトに公爵が静かに問い掛ければ、はっきりしない形でどちらも正しいとも聞こえるような安全策の話し方をしつつこの状況を何故今に生み出したと問う。
「・・・きっかけは7年前です。私の息子であるルークが拐かされた後、コーラル城でルークが見つかりファブレの屋敷に戻って参りましたが・・・それから私の預言保守派に対する疑心が生まれたきっかけが起こりました」
「し、してそのきっかけとは・・・?」



「こちらにいる鮮血のアッシュ・・・いえ、本物のルークが内密にファブレの屋敷に戻ってきた事です」



「「なっ!?」」
・・・ゆっくりと自身の疑心があるとの言葉通りの想いを込めて語る公爵だが、いきなりアッシュを本物のルークだと紹介された二人の驚愕は一気に頂点に達した。
「そ、それは真なのか・・・アッシュ、いやルーク・・・」
「陛下、呼び名に迷われると言うのであれば私の事はラムザとお呼びください。アッシュかルークかと迷われるよりはそちらの方がいいかと」
「う、うむ・・・してラムザ、クリムゾンの言った事は・・・」
「真実でございます」
「「!」」
その驚愕のまま動揺してインゴベルトがルークと呼ばれたアッシュに混乱したまま確認を取れば、呼称をラムザと呼ぶように勧めるラムザ。その勧めに何が由来かを疑うでもなく素直に従い改めて確認を取るインゴベルトにラムザはすぐさま真剣に頷き、二人を更に驚愕させる。
「私は拐かされた後、どうにか私を拐かした者に気付かれないようにその場を脱け出しファブレの家に戻りました。ですがそのまま私に起こった事を公にしてしまえば大事になると思い、密かに父上の元に参りました・・・それで私は明かしたのです」



「謡将が私を拐かし、ファブレに今のルークを置くような事をしたのだと」



「何っ!?」
「ヴァンが、ルーク様を拐かし今のルーク様を置いただと・・・!?」
「はい、そうです」
・・・そしてまた爆弾をラムザは投下した。自らを拐かしルークをファブレに置いたのはヴァンだと、その事実を初めて聞いた二人の動揺の追及にラムザは真剣に頷きながら話を続ける。
「私はファブレに今のルークを謡将が置いた事も聞いておりました。そのような事を企てた謡将に私は表面上は大人しく従いながらも、いつか隙を見てバチカルに戻ろうと考えていました。そしてバチカルに戻り父上にお伝えしたのです・・・ダアトの実情を」
「・・・それらの実情に対する証拠も揃えられ見せられた時、私はラムザを疑う事が出来ませんでした・・・」
「じ、実情の証拠などと・・・我がダアトはやましいことなど、何も・・・」



「ならば導師をルークと同じ様に入れ換えた事実はやましいことではないと言うつもりか、大詠師?」












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