異端者と逆行せし者達の協力

「き、貴様ら・・・ここがどこかわかってこのような事をしているのか!?」
「えぇ、わかっていてやっています大詠師」
・・・バチカルの王城の謁見の間。ここに大詠師モースとインゴベルトは特徴的な紅い長髪を後ろでゴムに1ヶ所を束ねさせて前髪を下ろしたアッシュ率いる神託の盾と六神将全員と相対していた。
だが相対というには少し状況は違い、モースとインゴベルトの二人の周りには壁となるべきキムラスカ兵士は一人もおらず、対してアッシュ達は神託の盾兵士に六神将に加え向こうの味方であるはずのキムラスカ兵士とファブレ公爵と公爵所有の白光騎士団の姿がある・・・その様子から既に力の優劣は明白で、モースは取り乱しながらアッシュに食って掛かるが当の本人はあっさりとその声を一蹴する。
「ク、クリムゾン!お前は何故そちらにいる!?お前はキムラスカ王家に反旗を翻すというのか!?」
「勘違いしないでいただきたい、陛下。私はキムラスカへ反旗を翻す訳ではありません・・・そこの内政干渉を平気で行うダアトの膿を排除に来たのです」
「ひっ・・・!?」
すると今度はインゴベルトがアッシュの横にいたファブレ公爵を正気かと責めるよう詰めるが、公爵はモースを殺さんばかりの殺気を込めた視線を送りモースを萎縮させる。
「内政干渉だと・・・それは、仕方ないであろう!我がキムラスカは預言により発展をしてきたのだから!」
「ならばその預言により、ナタリア様が入れ替えられそれを今更明かされた現実はどう受け止められますか?」
「なっ、何を言われる公爵・・・!?」
「黙れ俗物!」
「ひっ!?ラルゴ・・・!?」
その問いかけにインゴベルトは開き直り仕方ないと言い出す姿にナタリア入れ替えの事実をどう思うかを聞くが、モースが正気を疑うようビクビクと声を上げる姿にラルゴが大喝一声と怒りを込めその醜い姿をインゴベルトとともに恐怖に染まらせる。
「貴様・・・いや貴様のようなゴミが預言だからと言い、預言に見捨てられ死んで預言に殺された者はそれこそ山のようにいる!それを知らんとは言わせんぞ!」
「ひっ・・・!!」
憎しみがありありと浮かぶ大鎌を持ったあまりの迫力のこもったラルゴの声に、モースは何も言えずひきつった声を上げる。
「落ち着いてくれ、ラルゴ・・・今は、モースを殺さないでくれ」
「・・・ラムザ・・・すまなかった」
そこにアッシュが静かに制止をかけるが、ラルゴは少し冷静になって大鎌を収め従ったがその呼び名が自然と『ラムザ』となっていたことに目の前の二人はラルゴの迫力に圧されていた事もあり、言及することは出来なかった。
「さて・・・話を戻しますが、ナタリア様が入れ替えられた事実を今更明かされた事・・・陛下はどのように考えになりますか?」
「それは・・・正直に言えば何故だとしか思えなかった、今になって言うことかとな・・・」
「そのやり方こそが内政干渉、と言っているのです。私は」
「何・・・?」
モースが黙った所で話を戻されインゴベルトは自身もすっきりしないと言った様子を浮かべるが、その行動こそが気に入らないと公爵は言う。
「・・・あまり誉められた事ではないと承知はしておりますが、事情がありその者の影武者を立てる事自体は今まででも何度かあったでしょう。ですがそれはあくまで我々国の上層部はそれを協議した上で行われるべきこと・・・だがナタリア様が入れ替えられた一連の流れは我々キムラスカの王族と協議することすらなく、ダアトは秘密裏に勝手に行ってきた・・・これのどこが内政干渉でないと言えるのですか?・・・いや、言い方が違いましたね。これはもう言ってみれば、我々すら蔑ろにしたキムラスカを属国とする侮辱行為です」
「「!?」」
そこから貴族としてのやり方を周りの兵士に気遣いながら話しつつも、公爵ははっきりと内政干渉を属国とする行動と格上げし二人を驚愕させた。







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