築き上げる苦労

・・・そうして頭の中で会話を続けながら行軍していったルーク。そうしている内にフーブラス河まで辿り着いてアリエッタが来ることを警戒しながら進んでいたのだが、特にアリエッタが来るような予兆もなく前のように地震が起きて障気が噴出した以外は特に何もなくフーブラス河を抜けることが出来た。






(『結局アリエッタは来なかったけど・・・アッシュが動いたかどうかもそうだけど、これで良かったのか悪かったのか・・・』)
(それはどうなのかは分からないけど、あんまりアリエッタと敵対はしたくないからこれでいいと一先ずは思っておこう)
(『そう考えるしかないか・・・』)
それでフーブラス河を抜けた平野部を歩く中でこれでいいのかとの『ルーク』の声に、一先ずはと返すルークに仕方無いというように漏らす。どうなれば正解なのかが今の状態では分からない為に。


















・・・それで特にフーブラス河を抜けて以降特に何も起こることもなくルーク達は進んでいき、カイツールへと辿り着いた。



「・・・お、あそこにいるのアニスじゃねーの?」
「そうですね・・・おや、こちらに近付いてというか戻ってきてますね」
国境を警備するマルクト兵の所にいるアニスを見付けたといった声を上げるルークに、ジェイドも戻ってくる姿を視認する。
「・・・アニス、無事だったんですね」
「あっ、イオン様!そっちも無事だったんですね!」
(あ、前と変わってる・・・前と違う感じで話をしたからアニスもちょっと変わったのか)
そこでボソリと呟いた言葉もなくイオンの声に反応したアニスは嬉しそうに駆け寄るが、内心でルークは以前との違いを感じていた。アニスが自分に媚を売りに駆け寄ってこない様子に。
「無事で安心しましたよ、アニス」
「大佐・・・それは私もそう思うんですけど、旅券が無くて国境を抜けれなかったからこうして会えたって思うと複雑です・・・」
「旅券ですか・・・まぁ元々タルタロスを使ってキムラスカにまで向かう予定でしたからそれは仕方ありませんよ」
ジェイドもアニスに話しかけるが、微妙そうに旅券の事を口にする様子に仕方無いと返すとルークはガイに視線を向ける。
「なぁガイ、話だとここであのオッサンと合流するとか言ってたけどどこにいるんだ?話に聞いた感じだと俺も旅券とかってのがねぇとここ通れねぇって話だけど、お前は持ってんのか?」
「いえ、予備の物も含め謡将が持っています。カイツールで合流しようとの事でしたので、予備も含め私が持つ意味はないと思いましたので」
「・・・ってことは今ここにいるはずなんだよな、あのオッサン・・・どこにいるんだって、おっ・・・?」
ルークはガイに旅券の事を尋ねると、丁寧に自分は持ってないと返したことに仕方無いと辺りを見渡すのだが、休憩所の建物から出てきた人物の姿に声を上げる。
「・・・ガイ、来たのか」
「えぇ、謡将この通りルーク様を見付けて保護致しました」
そこから現れたのはヴァンで向こうもこちらに気付き近付いてきてガイに話し掛けると、これまた丁寧に返していく。
(『・・・こういう時ってガイより先に俺に大丈夫かだったかを確認するもんじゃねぇのかこのオッサン・・・』)
(こっちの師匠は本当に俺に関心がないからな・・・)
そんな光景にルーク達二人は何とも言い難い空気を滲ませる・・・この場に探索対象のルークがいるのに、そのルークに真っ先に声をかけずガイに話しかけるという明らかにルーク本人を軽視した行動に。









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