築き上げる苦労

「・・・まぁ取りあえず、今はセントビナーへ向かうことです。おそらく道中は余計な事が無ければ以前のような形でセントビナーに入ることになるでしょうから、セントビナーにまで着いて神託の盾が退いたなら以降の道中はそこまで大きな心配はいらないでしょう。アッシュが味方な以上は神託の盾がこちらに襲い掛かる事はそうそうないでしょうからね」
「あぁ、そうだな・・・(ジェイドらしくなかったけど、気恥ずかしかったのかな・・・)」
(『ぽいな。多分たまらず口から出ちまったのを誤魔化そうとしたんだろ』)
ただそんな空気からすぐに話題を変えるジェイドに、ルークもまた気を取り直して頷く・・・が、内心ではその不自然さをルーク達は感じ取っていた。ルークを気遣いはしたものの、この流れを続けたくはなかったのだと。


















・・・それで以降は特に目立った会話をすることなくルーク達一行は平野を進み、セントビナー周辺へと辿り着いた。ただ神託の盾が街の周りを以前のように囲んでいるのが見えたため、これまた以前のようにエンゲーブから来たローズ夫人の馬車に乗り込みセントビナーの中へと無事に入り込んだ。



「・・・さて、何かあったならアニスにはセントビナーに行くようにと言ってありましたので軍の方に向かいます。ここで合流出来れば良いのですがね・・・」
(まぁいないなんて言えないから仕方無いけどな)
(『つーかアニスとガイと合流したとして、ティアは前線に復帰するつもりはあんのか?特にアニスは導師守護役なんだから、護衛に専念ってんならアニスの方がそうするのは別に間違ってねぇと思うんだけど・・・』)
(・・・取りあえず、そこについては後にしておこう。今考えてもあんまり意味はないだろうしな)
(『・・・だな』)
それで馬車から降りて軍へ向かうと切り出したジェイドの後を付いていく中、アニスのからティアの事について話題は移行するのだが二人は互いに何とも言えない空気を滲ませ会話を止める。何かこちらのティアの性格上、その時に余計な展開になるのではと感じた為に。


















・・・それで街の代表であるマクガヴァン達の元に向かってアニスはカイツールに向かったと同じような報告を聞き、外に出た後に神託の盾が街の包囲を解除してイオンの体調を考えて宿で休む事にしようとなった。



「・・・ルーク様、こちらにおられたのですか・・・」
「ん?・・・ガイ、か?どうしてここにいるんだ?」
・・・そうして宿を取り部屋に行こうとなろうとした時、背後からかかってきた声に振り向くとガイがいてルークはテンションを上げることなく何故いるのかと普通に対応する・・・こちらのガイとは距離が近くも仲良くもないことから、会えて嬉しいといったリアクションはおかしいと思ったために。
「公爵様よりの命を受け、マルクトまでルーク様を探しに参りました。ただ当てもなくルーク様を探すにしても手がかりもなく、このセントビナーで情報を集めた上でカイツール側からルーク様を探しに来ている謡将と合流した上でどう捜索するかと考えていた所です」
「ふ~ん、そうなのか・・・(筋は通ってはいるようには思えるけど、なんか違うな・・・)」
(『筋が通るとかってんじゃなく、単純に俺らがここに来るって予測してたからガイはここに来てんじゃねーのか?一応あのオッサンとの繋がりが強いから神託の盾と繋がりがねー訳でもなさそうだし、何よりお前の方じゃタルタロスの脱出の時に飛び出してきたんだろ?なのにこっちじゃ姿も見せずにようやく追い付いてきたみたいな感じから見て、神託の盾との繋がりを見せたくないとかの理由から俺らの事を影で見張ってたみたいなことも有り得ると思うぞ』)
(あ~・・・そういった可能性か・・・)
ガイは冷静でいて決して丁寧な態度を崩さないままにセントビナーに来た理由を話すが、ルークは内心でその言葉通りではなさそうと『ルーク』の言葉で感じてしまっていた。ガイが嘘をついている可能性があったことを。









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