築き上げる苦労

「・・・取り敢えずこの辺りでイオン様は少し休憩されてください。私は見張りを続けますので」
「・・・そうする前に一つ聞きたいのですが、貴殿方の話を聞いて逆にもうティアは神託の盾にいない方がいいのではないかと思ったのですが・・・どうですか?」
「・・・今のままの彼女だったらそうでしょうね。腕はまだ及第点を出せるラインと言えるかもしれませんが、あまりにも様々な心構えが酷すぎます。特に自分の非を絶対に認めようとせず、周りとの協調を一切考えようとしないあの姿勢は団体行動が必要な軍においてはあまりにも致命的です。ただそれでも彼女は自分がというより自分の気持ちから出る考えが正しいと信じて疑っていない事から、一朝一夕にどうにかなどということはまず無理でしょうね」
「っ・・・やはり、そうなりますか・・・」
そうして話を終わらせようとジェイドが休息を勧めるがイオンがその前にと神託の盾にいることについての是非を聞いてきた為、まず望ましくないと言い切ると重い表情を浮かべる。
「・・・取り敢えずここで寝とけよ。色々気にはなんのは分かるけど、神託の盾を辞めた方がいいなんてあいつに言った所で反発されるのもすぐに想像つくしよ・・・今はそんなの気にせず休んどけって」
「・・・分かりました、そうします・・・」
それでルークが同情めかせたような表情でもう休息するよう言えば、イオンも辛そうに頷くしかなかった。今ティアの事をどうしようもないということを理解出来る為に・・・






・・・それで少ししてイオンが離れた所で横になり寝息を立てだした姿を見て、ルークとジェイドの二人は揃ってため息を吐いた。
「・・・本当にティアがあそこまで酷いとは思わなかった・・・」
「えぇ・・・実戦経験の少なさ以上に、自分の領域に来られた時のあの動きは酷い以外に言いようがありません・・・人を殺した事がないなんて事はないようですが、それはあくまで距離を保った上で一方的に攻撃出来る状況でだけしか経験していないのでしょうね・・・」
「そう考えるとティアには後衛としてって形ででも前線に出ては欲しくはないけど、そう言ったところで聞いてはくれなさそうだよな・・・」
「そうだとは思いますが、一応私から角の立たないような言い方で出立する時にイオン様の護衛に専念するようにと言わせていただきます。と言うよりもう前線に出すことはしないようにさせます・・・イオン様の手前で一朝一夕には彼女は変わらないと言ったように言いましたが、我々は彼女が使えるようになるのを待つ時間はありません。それならいっそ、彼女が戦いには使えないといった認識をしておいた方がいいでしょう・・・こう思われるのは彼女にとっては不満にはなるでしょうが、これからの戦いで六神将や謡将を始めとした強敵と戦うにあたり彼女の戸惑いは下手をすれば我々までもを巻き込んで殺しかねませんからね」
「あぁ・・・下手にそうなるよりかはその方がいいか・・・」
そしてティアに関しての失望感を盛大に滲ませながら会話を交わす二人だが、ジェイドからの一先ずの打開案についてを聞いたルークは脱力感を感じながらも頷くしかなかった。あれだけ自信満々でありながら実力に心構えの伴っていないティアを下手に前線に出して自分達まで危険になる可能性を否定出来ずに・・・


















・・・それでルークとジェイドの二人で見張りをしつつ過ごし、夜が明けた所でティアとイオンの二人は起き上がり出立をすることになるが・・・









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