築き上げる苦労
(・・・分かった、俺からはこれ以上は何も言わない。けれど辛くなったら俺に何も言わなくていいから目を背けてていいとだけは言っておく・・・)
(『あぁ、分かったよ・・・』)
それでルークも仕方無いとしつつも妥協点を挙げて気を遣い、『ルーク』は了承して返す。これ以上は当人の問題になるとなった為に。
・・・そんな風にルークが心の内で会話をしつつ、一同は移動を続けていたが一度神託の盾に追い付かれて戦闘になった後、以前のように敵を警戒しながらの夜営を行う事になった。と言っても以前と違う所がある・・・それは・・・
「・・・ティアは大丈夫なんですか?」
「怪我は然程深くはありませんでしたし、自身の譜歌で治療していました。明日になれば元気に目覚めることでしょう」
「そうですか・・・」
・・・夜の平野部で焚き火を囲む一同の中、ティアは横並びに座るルーク達の斜め対面上という離れた位置で寝息を立てて寝ている。
そんな様子に小声でイオンが大丈夫なのかと聞くと、ジェイドからの答えに何とも言いがたそうな表情を浮かべていた。
・・・今の状況はどういうことかと言うと、以前のように追い掛けてきた神託の盾相手に戦うことにしたルーク達。そこでルークとジェイドは神託の盾を容易に撃退していったのだが、ティアがそこで神託の盾に怪我を負わされたのだ。幸いにというか傷は浅かったのだが、ティアの大事を取って夜営にすることにした・・・のだが・・・
「・・・つーか大袈裟過ぎだろ。確かに傷は痛かったかもしれねぇけど、それで後衛の私を守らなかった貴方が悪いってあそこまでキレられると思わなかったぞ・・・」
「と言うより先程のリグレットとの対峙でもそうでしたが、先程の動きで確信出来ました・・・彼女、兵士としてろくに修練されていません。更に言うなら団体での立ち回りや心構えなどろくに考えたことなど無かったのでしょうね」
「・・・ティアがすみません・・・」
「お前のせいじゃねーだろ、神託の盾の事にティアの事は」
「いえ・・・僕もティアの事はよく知らないながらも自信がある姿から、彼女は大丈夫だと思ったんです。けれど先程の姿を見てしまっては流石に僕も弁護が出来なくて・・・」
「「・・・」」
それで先程の事についてを口にするルークの言葉からイオンが気まずげな表情と声を漏らすが、ジェイドも揃って何とも言い難い表情を浮かべながらいい言葉を返せなかった。
・・・三人の間で共通している気持ち、それはティアが自分のヘマは何もないといったように振る舞っていたが決してそうは思わないという気持ちだ。特にイオンは端からその動きを見ていたことから、尚更にそう思えた。
自分は後衛であると、そう理解しているのはまだいいだろう・・・だが敵に近付かれた際に慌てふためきろくに反撃も出来ず、あっさり攻撃を受けた姿には流石に三人も目を疑った。だがそれで戦闘を終わらせた後に更に三人が唖然としたのは、ルークが言ったような事を言ったからだ。
百歩譲って敵を通してしまったのはまだいいとしても、敵を前にしてどう動くかにその心構えに関してはティア自身の事だ。むしろティアがどうにか動けば怪我も回避出来るような代物だった筈なのに、そんなことを一切考えないままにルーク達へと文句を言ってきた。
ただルークも一応は演技をしていることもあるから言い返しはしたのだが、全く聞く耳を持たずにヒステリックに返すばかりであった。そんな光景にジェイドは極めて面倒そうながらも間に入って事なきを得た後に夜営をすることになったのだが、そこで治療の済んだティアがさっさと見張りだとかの話を一言もすることもなくふて寝のような形で寝てしまったのである。
.
(『あぁ、分かったよ・・・』)
それでルークも仕方無いとしつつも妥協点を挙げて気を遣い、『ルーク』は了承して返す。これ以上は当人の問題になるとなった為に。
・・・そんな風にルークが心の内で会話をしつつ、一同は移動を続けていたが一度神託の盾に追い付かれて戦闘になった後、以前のように敵を警戒しながらの夜営を行う事になった。と言っても以前と違う所がある・・・それは・・・
「・・・ティアは大丈夫なんですか?」
「怪我は然程深くはありませんでしたし、自身の譜歌で治療していました。明日になれば元気に目覚めることでしょう」
「そうですか・・・」
・・・夜の平野部で焚き火を囲む一同の中、ティアは横並びに座るルーク達の斜め対面上という離れた位置で寝息を立てて寝ている。
そんな様子に小声でイオンが大丈夫なのかと聞くと、ジェイドからの答えに何とも言いがたそうな表情を浮かべていた。
・・・今の状況はどういうことかと言うと、以前のように追い掛けてきた神託の盾相手に戦うことにしたルーク達。そこでルークとジェイドは神託の盾を容易に撃退していったのだが、ティアがそこで神託の盾に怪我を負わされたのだ。幸いにというか傷は浅かったのだが、ティアの大事を取って夜営にすることにした・・・のだが・・・
「・・・つーか大袈裟過ぎだろ。確かに傷は痛かったかもしれねぇけど、それで後衛の私を守らなかった貴方が悪いってあそこまでキレられると思わなかったぞ・・・」
「と言うより先程のリグレットとの対峙でもそうでしたが、先程の動きで確信出来ました・・・彼女、兵士としてろくに修練されていません。更に言うなら団体での立ち回りや心構えなどろくに考えたことなど無かったのでしょうね」
「・・・ティアがすみません・・・」
「お前のせいじゃねーだろ、神託の盾の事にティアの事は」
「いえ・・・僕もティアの事はよく知らないながらも自信がある姿から、彼女は大丈夫だと思ったんです。けれど先程の姿を見てしまっては流石に僕も弁護が出来なくて・・・」
「「・・・」」
それで先程の事についてを口にするルークの言葉からイオンが気まずげな表情と声を漏らすが、ジェイドも揃って何とも言い難い表情を浮かべながらいい言葉を返せなかった。
・・・三人の間で共通している気持ち、それはティアが自分のヘマは何もないといったように振る舞っていたが決してそうは思わないという気持ちだ。特にイオンは端からその動きを見ていたことから、尚更にそう思えた。
自分は後衛であると、そう理解しているのはまだいいだろう・・・だが敵に近付かれた際に慌てふためきろくに反撃も出来ず、あっさり攻撃を受けた姿には流石に三人も目を疑った。だがそれで戦闘を終わらせた後に更に三人が唖然としたのは、ルークが言ったような事を言ったからだ。
百歩譲って敵を通してしまったのはまだいいとしても、敵を前にしてどう動くかにその心構えに関してはティア自身の事だ。むしろティアがどうにか動けば怪我も回避出来るような代物だった筈なのに、そんなことを一切考えないままにルーク達へと文句を言ってきた。
ただルークも一応は演技をしていることもあるから言い返しはしたのだが、全く聞く耳を持たずにヒステリックに返すばかりであった。そんな光景にジェイドは極めて面倒そうながらも間に入って事なきを得た後に夜営をすることになったのだが、そこで治療の済んだティアがさっさと見張りだとかの話を一言もすることもなくふて寝のような形で寝てしまったのである。
.