焔の存在を幻想にさせぬ為に

「その為にももう少し話をしなければならないのですが、私は昔にとある場所を作りました・・・それは妖怪も神も亡霊も人も、あらゆる種族が暮らす幻想郷と呼ばれる場所になります」
「幻想郷・・・」
「詳しい話に関しては長くなりますので説明はある程度省かせていただきますが、幻想郷は結界によって隔離された地でありこのオールドラントとは遠く遠く離れた地にあります。そこに入るには私のような特殊な能力を持つ者か、無理矢理にでも結界を割って入ってくるか、それか人々から忘れ去られて幻想になるか・・・この三つになります」
「人々から忘れ去られる・・・どうしてそんなことが入る条件になるのですか?」
紫は更に自分が作った幻想郷という場所についてを説明していくが、ジェイドは幻想郷に入れる条件の三つ目に引っ掛かりを覚える。自分の意志とは関係のない事がどうして幻想郷に入ることに繋がるのかと。
「それは幻想郷が忘れられし者達の楽園という側面があるからです・・・妖怪の生まれ方にあり方は人とは違うとは言いましたが、私のような存在はともかくとしても妖怪の多くは超常的な現象を引き起こす存在がいるということの畏れが原動力になります。ですが科学が発展していって人が畏れに対しての知識を身に付けていき、人が畏れを抱かなくなっていき妖怪はその存在が消えることが増えていきましたが・・・そういった存在の為というだけではありませんが、幻想郷には忘れ去られた物を自然に引き寄せれるような力を働かせているのです。結界の外で存在を認識されなくなったり過去の物となって最早誰も認識しなくなってしまったものなら、結界に阻まれること無く引き寄せられ幻想郷に入ってしまうことが。これは物質もそうですが人や妖怪も同じことで、幻想郷の住民はこの事を幻想入りで結界の外から来た者を外来人と称しています」
「幻想入りに外来人、ですか・・・」
「えぇ。そしてこれからが本題になります」
そんな現象についてどういうことかにそれが幻想入りである事を詳しく話していく紫は、これからが本題だと告げる。
「この幻想入りに関してですが、物質や妖怪はまだしも人間の幻想入りに関してはそうそうは起こることはありません。幻想入りは基本的には結界の外で忘れ去られるかそれに近い程の状態になった上で幻想郷側に受け入れられる事が必要ですが、社会というものが形成されていてその枠組みに入り人間が誰からも忘れ去られるような事態などそうそう起きるような事ではありません。たまに結界の調子からそういった人物も稀に入ってくることもありますが、基本的にはそういった人間は入ってきません・・・が、この数年で幻想入りの条件を満たしていたり例外的な入り方をしてきている外来人が幻想郷に多々来ていますがその中に一人・・・貴殿方に関係する人物が幻想入りしました。それは・・・」



「先程貴殿方の話に出てきたルークです」



「「っ!?」」
・・・そして紫が告げた本題の言葉に、二人は驚愕に静止してしまった。その言葉が指し示す事はつまり、ルークが生きているということになるのだが・・・
「驚かれるのは無理はありませんわ。私の言葉が正しいのであれば・・・今は貴方の事はアッシュと呼ばせていただきますが、貴方とルークは大爆発によって一人に戻ったことを貴方自身の方がよく理解している筈ですもの。そう考えればルークが幻想入りするなんて有り得ることではない・・・現に私も最初はどういうことなのかと考えましたが、この世界に来て色々と調べていったことでその理由が判明しましたわ」
「・・・もしやその、幻想入りのシステムが関係しているのですか?」
「あら、もう理由に察しがつかれたのですか?流石は死霊使いと呼ばれた方ですわ」
「何・・・どういうことだ?」
そんな紫自身も戸惑っていた上で調べから推察が出来たと言うとジェイドがもしやと声を上げるが、アッシュは訳が分からないと漏らす。









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