築き上げる苦労

「そらぁっ!」
‘ドッ!’
「がぁっ!」
・・・入口の扉を神託の盾兵士が開けた瞬間、ルークは勢いよく蹴りを腹に叩き込み兵士をぶっ飛ばした。
「ふっ!」
‘ザンッ!’
「ぐあっ!」
そして続けざまにジェイドはタルタロスから飛び降り、イオンの側の兵を槍でなぎ払い一掃する。
「き、教官・・・!?」
それで最後にティアが行動を起こそうとしたが、以前のようにリグレットの姿を見た瞬間に戸惑いに手を止めてしまった・・・本来なら以前のようにここでリグレット達の形勢逆転を招く瞬間になってしまうが、二人がいることによりそれは変わった。
「・・・っ!」
「・・・さて、これで貴女に打てる手は無くなりましたね」
・・・戸惑い止まるティアを尻目にルークは剣をリグレットの首元に突き付け、周りの様子を油断なく見渡しながらジェイドが終わりだと告げると苦々しげな表情を浮かべる。
「安心してください、一先ず命は取りません。ですがしばらくタルタロスで大人しくしてもらいますよ」
「くっ・・・」
「リグレットー!」
「スプラッシュ!」
「きゃあっ!?」
「あ、アリエッタ!」
ジェイドはそこで終わりといったように言うのだが、その時にアリエッタが魔物と共にタルタロスから出てきた・・・が、間髪入れずにスプラッシュで魔物をアリエッタごと水の滝にジェイドは押し潰した。
「ふぅ、油断しなくてよかったですね。まぁいきなり貴殿方から我々の事を襲い掛かってきたのですからこれくらいは仕方ありませんね」
「くっ・・・!」
それで空々しい言葉を平然と口にしていくジェイドにリグレットは反抗的な目を向けるが、ルークの剣があるために迂闊に動けないままであった。
「さぁ、武器を捨ててタルタロスの中に戻ってください。これ以上問答をする気はこちらにはありませんからね」
「っ・・・!」
そしてそのまま退くように言うジェイドに、リグレットは反論したげながらも何も返すことは出来なかった。






・・・それでリグレットがダメージを負ったアリエッタを連れ、タルタロスの中に入ったのを見届けた後にジェイドは入口に細工を施して二人の元に戻った。
「さて・・・今の内に離れられる所まで離れましょう。アリエッタはダメージを負ったからしばらくは魔物も動けないでしょうが、あまり長居すると神託の盾が我々を追い掛けて来かねませんからね」
「あぁ・・・!」
それで早く逃げることを切り出すジェイドにルークが頷き、三人は急いで場を後にしていく。
(『・・・前はここでガイが出てきたんだよな?なのに何で出てこないんだ?』)
(多分近くにはいるとは思うけど、様子を見てるんだと思う・・・一応まだ俺の事をどうにかするとかそんなつもりはないんだろうけれど、どういうタイミングで自然に合流出来るかどうかがガイにとって重要だと思うんだよ。やっぱり何て言うかキムラスカに連れて帰らなきゃならないって言っても、俺とそんなに長い時間一緒にいたいって思ってないだろうしさ)
(『あ~・・・普通に考えりゃそりゃいたくない奴といる時間なんか増やしたくないだろうな・・・』)
そうして移動する中で『ルーク』がどうしてガイがここで来なかったのかと疑問を漏らすが、ルークから返ってきた答えに微妙そうながらも納得するしかなかった。ガイの立場ならそれは出来るだけ一緒にいたくないだろうと。









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