英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・そこについては自分達で対処する。紫が言っていたがそれでも襲ってくる妖怪は撃退しても構わないと言われたが、一見聞けばそれは俺達の強さを信用していると言ったように聞こえはするが・・・裏を返せばそこで俺達がそういった妖怪達に襲われて殺されても当事者達の間の事だと済ませるのは明白だ。そしてそんな思惑があるだろうと話し合った俺達だが、それでも元々から何もなければ穏やかに老いて死んでいこうと決めていたからな・・・だからそれで死んだらそこまでだったと割り切るつもりだ」
「そう・・・そこまで考えて話し合ったと言うなら、私はもう止めないわ。ちゃんとリスクも考えてそうすると判断するならね」
そんな中でセフィロスは危険を承知の上で自分達はもう決めているというように口にしていき、アリスは他の三人も共に迷わないという表情を浮かべていたことに微笑を浮かべて頷いた。もう気持ちは分かったからと。
「ん~・・・だったらこれからどうやって生活するんだ?百歩譲ってここに住むのはいいにしても、食料もそうだしそれを買うための金なんかも必要だろ?それでどうやってお前らは過ごすつもりなんだ?」
「その辺りもどうするか話し合ったけど、日中は人里に行って何でも屋みたいなことをやろうかってことにするよ。多分人里の人達は新聞から妖怪退治みたいなことを望んでくるかもしれないけど、そういったことは引き受けないようにな」
「それでいいのか?」
「まぁ最初は苦労するかもしれないけど、人里で暮らす選択肢はないし生きるためにやれることはやらないといけないからな。だからそういったことでどうにか生計を立てて、余裕が出来たら野菜の苗とか種とか買って育てるって話もしたんだ・・・危険な場所だってのは確かなんだろうけど、折角だし色々育てるってのもありかってな」
「・・・何か本当に楽しもうとしてんな、この幻想郷での生活を・・・」
そんな中で魔理沙はどうするのかというように問い掛けるとザックスが笑顔を浮かべこれからの事を口にした姿に、若干呆れたような表情を見せる。数日前の事を吹っ切れたからこそこうも明るく話す様子に。
「・・・そう決めているなら私は止めないわ。ただ一応私は森の中で暮らしているのもあるから、度々様子を見に来るようにするわ。私としては森に近いところで揉め事になられても困るし、何かあるならある程度は話は聞くようにするから」
「・・・随分と親切だが、魔理沙がマテリアを欲しがるように何か対価を求めてるのか?」
「マテリアに興味がないとは言わないけれど、今言ったように近いところで面倒になるくらいなら小事で済ませたいからよ。だから貴方達も数日前の話で分かっているでしょうけど、問題は出来る限り起こさないでね」
「・・・分かった。そういうことならその気遣いを受けさせてもらう」
ただそこで冷静にアリスがこれから近所付き合いをしていくといった旨を口にしていき、クラウドがその真意を探るように尋ねるがあくまで面倒事を避けるためといった言い方に納得したというように返した・・・アリスは幻想郷の実力者の中ではそこまで好戦的である訳ではなく理知的な部分が強いし、そういったような雰囲気をクラウドも感じた為に。









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