英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・すまなかったな。紫に頼まれたからとは言え、ここまで来てくれて」
「さっきも同じようなことを言ったが、俺としても良かったと思っているから構わない・・・ただザックスにセフィロスもそうだが、そっちの俺も複雑そうなのは見てて分かるから出来るなら話のまとめ役を頼む。あんたがまだ四人の中じゃ冷静だと思うからな」
「分かった。そうしよう」
そうしてヴィンセントが礼を言うのだが首を横に振りつつまとめ役を頼んできた『クラウド』に、了承して頷き返した。


















・・・そうして『クラウド』は紫と共にスキマで場を後にし、他の面々もすぐ場を後にしていった。その際にレミリアは「困ったなら紅魔館に来なさい。貴方達ならいつでも歓迎するわ」と言い残して行って、リオンは若干同情めいた視線を向けて場を後にしたのは余談である。

そうして四人は数日といった時間を話し合いに費やす形で使うのだが、そうしている内にアリスと魔理沙が再び四人の家を訪れた。






「・・・そう。最初に言ったようにここに住み続ける上で、下手な妖怪退治はしないようにしていくと言うのね」
「あぁ・・・あれから四人で話し合ってきたが、もう戻るのは望ましくない上でこちらにまた戻ってくる可能性は否定出来ないというのを前提にすれば、この幻想郷で静かに暮らしていって骨を埋めようと俺達の意見が一致した。そして英雄についての話もしたが、詳しく話をすると長くなるから簡単に言うがもうここでは元の立場など関係無いのだから、一個人として再出発しようとまとめた・・・これに関しては俺達の認識の在り方はこういう物だと知らされたからこそ、それを一新していこうという意味でな」
「そうなのね・・・」
・・・そうして初めて会った時のような形で四人はアリス達と話をしていき、数日前に会った時とは違い考えをまとめてスッキリとしているセフィロスの様子に納得するよう頷く。
「そう決めたのはいいんだけどよ~・・・この新聞見たか?紫が文に書かせたってヤツなんだけど、結構マジであんたら強いって書かれてるしアリスもその姿を見たって言うからそうなんだろうけど、いいのか?紫が私が言いましたって注釈まで付けさせるあたり本当にあんたらが強いことは本気なんだって分かるけど、弱い妖怪はともかく強い奴らはあんたらを襲いに来るのは確かだと思うぜ?」
「あ~・・・その辺りはまだここに来たばかりだからよく分からないんだけど、強いからで襲ってくる奴とかいるのか?」
「何人か心当たりはいるな。まぁ弾幕ごっこが出来るなら殺されるような心配まではないと思うけど・・・弾幕が撃てるかもそうだけど、空は飛べないよな?」
「う~ん・・・ヴィンセントは変身すれば空を飛ぶのはどうにかなるだろうけど、弾幕に関しちゃな・・・マテリアを装備して魔法を使うにしても、話に聞く感じだとその魔法は弾幕ごっこに適した感じじゃなさそうなんだよな・・・」
そこで魔理沙は新聞を取り出して手に持ちながら強い奴らに襲われる可能性についてを投げ掛けると、ザックスが難しいというよう顔を歪める様子に何かを狙うような鋭い視線を伴わせた微笑を浮かべる。
「・・・なぁ、そのマテリアってヤツを私に貸してくれないか?そうしてくれるなら私が誰かが襲撃してきた時、お前達に味方してやるぜ?」
「貸さない方がいいわよ。魔理沙の言う貸しての期間は自分が死ぬまでで、自分から返すなんて言い出す事はないから」
「おいおいアリス、そんなこと言うなよ。ギブアンドテイクってヤツだぜ」
「・・・否定しないって事は、そうだってことかよ・・・」
そこで出てきたのはさも対等な交渉かと思いきやアリスが呆れながら止めるように言うと、当然だろうと全く悪びれもしない様子にザックスは肩を落とす。言っていることは大袈裟でも何でもないということが分かり。









.
14/17ページ
スキ