築き上げる苦労

「我々に対して思うところはあるでしょうが、ここは一先ず協力してください。命あっての物種と言いますが、ここで死ぬような事になるのは貴女にとっても望むところではないでしょう」
「・・・気に食いませんが、確かにこんなところで死ぬ気は私にもありません。ですがどうやってここから出るつもりなんですか?」
「それは心配いりません。協力してくださるなら私ならここから貴女を出せます・・・どうしますか、ティア?」
「・・・分かりました、協力します・・・」
「・・・決まりですね」
それで協力を改めてするようにと話をするジェイドに対し、ティアが極めて不本意そうにだが了承したことに牢の方に向かい以前のように格子を取り外す段取りに入る。
(『・・・分かっちゃいたけど、やっぱり乗り気じゃねぇかあいつ・・・』)
(仕方無いと思うしかないって、それは・・・)
そんな中で一段落つきはしたものの『ルーク』が呆れたように声を漏らした事に、ルークもフォローにならないフォローを入れるしか出来なかった。












・・・それで牢の格子を外した所で以前のように骸狩りをジェイドが発動してタルタロスを停止させ、運動機能を停止させた後に三人は脱出を開始したのだが・・・



(『なぁ・・・こいつマジで酷いぞ、いくらなんでも・・・』)
(気持ちは分かるけど、グチグチ言われるくらいは我慢しなきゃならないんだよ・・・言い争いをして今の状況で神託の盾に遭遇なんて事態にしたくないし・・・)
(『あ~・・・言いてぇことは分かるけど、マジで少しは自重しろって言いたくて仕方ねぇ・・・!』)
タルタロスの道を歩く中、不満を漏らす『ルーク』の声にルークは疲れたように制止の声をかけるが不満は止まらずに怒りを漏らしていく・・・ルークとジェイドの二人の後ろでグチグチグチグチと自分達に向けての不平不満をティアは口にしてきた。その様子に『ルーク』もイライラを感じずにはいられなかったのである。
「・・・少しは黙ってはいただけませんか、ティア?貴女が言いたいことがあるのは分かりますが、もうここは敵の腹の中と言っても過言ではない状況で自分の居場所をアピールするような事は望ましい物ではないのですよ」
「っ・・・分かりました・・・」
(『・・・明らかにジェイドもイラついてんな』)
(まぁ気持ちは分かるから止める気にはどうにもな・・・)
そんな時にジェイドが多少声に冷たさをまとわせながら注意を口にしたことにティアも圧されながら頷き、二人もジェイドがイラついていたのだと感じる。それこそ不機嫌さを滲ませながら振り向きもせずに言葉を告げる様子に。






・・・そうして余計なことなど喋る事なく三人は歩みを進め、タルタロスの昇降口の前へと辿り着いた。
「・・・よろしいですか?私が聞いた情報ではどこかに連れ去られたイオン様がそろそろこのタルタロスに戻ってくる頃です。そこで我々はイオン様を連れている神託の盾を奇襲して奪還した後、タルタロスをしばらく動けない状態にして逃げ出します。ここまでは大丈夫ですね?」
「あぁ・・・後はタイミングを待って動きゃいいんだろ?だったらそれでいいぜ」
「えぇ。では少しの間待機しましょう」
そうして少し会話をしてイオン奪還とその後の段取りについてを決めると、三人は沈黙して待機する体勢に入る。












・・・そうして少し待機している内に、昇降口の扉が開かれたのをルーク達は確認して動く体勢に入った。









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