英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・じゃあそれなら貴方達四人は今までの話を踏まえてどうするつもりかしら?紫に言われたように積極的な妖怪退治を行わないようにするのか、それともその逆を行くのかどうするの?」
「・・・まだ四人でどうするかは話し合っていないが、俺としては目立つ事もだが身に危険が迫らないなら妖怪退治を積極的に行うつもりはない。まぁどうするかに関しては四人でこの後で具体的に話を進めるつもりだ・・・流石に俺一人で全ての決定を下すわけにはいかないからな」
「そう・・・少ししか話していないけれど、そういったように冷静に言える貴方なら特に問題はないと思うわ」
アリスはそこで話からどうするかを四人に問い掛けるとセフィロスが代表となる形で話し合うと言い、その答えに微笑を浮かべる。
「ま、その辺りはこれから俺達で時間をかけて話すことになるけど・・・すまなかったな。紫が頼んだって言っても、わざわざその為にここに来てくれて・・・」
「いや、構わない・・・確かにいきなり紫が来て四人の事についてを聞かされた時には信じられなかったが、四人の事情についての話を聞いた時や今までの話を聞いてからはここに来て良かったと思ったんだ・・・違う世界ではあるとは言えザックスが生きていた事や、色々あったとは言えこうして狂ってないセフィロスとまた話せた事は嬉しくもある・・・あぁしてニブルヘイムの魔晄炉での事が起きるまで俺の中じゃ憧れの英雄だった上で、あんなことが起きたらセフィロスもおかしくなるのだと今なら理解出来るからな・・・」
「・・・それは立場の違いもあって会うこともなくてよく知らなかったからというのを差し引いても、お前がそいつを英雄という色眼鏡で見ていたからだろう」
「何・・・?」
続いてザックスが『クラウド』に申し訳無いというように謝り複雑さを滲ませるのだが、そこにジューダスが口を挟んで来たことに『クラウド』だけでなく他の面々からも一斉に視線が向けられた。
「英雄とは過去の功績に対して公衆から向けられた称号であるが、それはなりたいと思ってなろうと思える物でもないしましてやなろうと思ってもなれる物ではない・・・そういうように僕は言ったことがある。だが大抵はその英雄と呼ばれる事になった者はその功績を見てそう言われたのであって、その当人は話に聞いたよう立派な存在だというようフィルターを通して見る者がほとんどだ・・・その点でお前もそうだがそちらの二人もセフィロスなら大丈夫だとか乗り越えてくれる、というようにどこかしらで思っていたのではないか?英雄とまで呼ばれる程の人物なのだから、と」
「「「っ・・・!」」」
そこからジューダスが英雄についてを語ると共に、いかに『クラウド』もだがザックス達もセフィロスを英雄というように見ていたのか・・・そう告げた中身にたまらず三人は揃って苦い表情を浮かべた。実際にセフィロスならと考えていた部分があったことを否定出来ないというよう。
「・・・紫の話ではお前はそっちのセフィロスを倒したことで、英雄と呼ばれることになったのだろう。そこからどのように周りから接されてきたかまでは見ていないから分からんが、よく知りもしない人物が英雄というように色眼鏡で話し掛けてきたり見てくる事はよくあったのではないか?」
「・・・否定は出来ないな。実際に俺に色々と言ってくる奴はいたし、それは俺の事を見てというよりやってきたことに対して話をしてくる奴らばかりだったな・・・」
「そしてお前はそういった事に辟易していたんだろうが・・・そんな目や声というのは関係性が出来てもそういった事を言い出す者はいるが、今の話を聞いた上で考えたなら分かるだろう。英雄と呼ばれる者も実態は一人の人間であり、怒りや殺意といった負の念など一切持たない聖者などではないということはな」
「・・・確かにな。そしてそう考えれば当時の俺はセフィロスの事情を知らなかったのもあるが、本当に英雄に憧れる子どものような存在だったというわけか・・・」
更にジューダスが『クラウド』に自分の立場も鑑みた上で所詮は一人の人間だという言葉を向けると、重い顔と声を漏らすしかなかった。改めて当時の自分が何も考えられてなかったということに。









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