英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「では肝心の三つ目に関してですが・・・彼らが幻想入りをした経緯を聞いたのもあるけれど、もう彼らは幻想郷の住人になってしまったことで元の場所に戻ることは出来なくなったと説明するためにこちらの彼を連れてきたのよ・・・こちらの彼は今も元の世界で先程見たように様々に活動をしているけれど、四人は元の世界で表立って活動といったことをしなくなったからという対比の為にね」
「・・・成程。幻想入りの条件については聞いていたが、私達は何もしなくなったからこそこうしてここに来たのか。そしてそちらの『クラウド』達が英雄と呼ばれるようになる上に、決して人々に忘れられないような活動をしてきたということを強調するために連れてきた・・・と」
「そうなります」
それで紫が三つ目について話した中身にヴィンセントが察したというように声を漏らすと、しっかりと頷き返す。
「最も、私も最初に貴殿方四人の姿を確認した時には驚きましたわ・・・こちらの彼やその仲間がどのような活動をしていたのかについてはそこでの活動を少なからず知っていた上で、セフィロスも含めて仲良くしているという光景に。ただ当たり障りのない部分だけとは言えあの文屋が出した新聞を見たことで、一先ずこちらの彼のセフィロスのような危険な思想はないと見た上でどうするのかと考えた結果として、彼を連れてきて話をしようと思ったの。幻想入りをしたことにより四人はもう元の世界に居場所が無くなった事を強調して理解してもらうと共に、郷に入っては郷に従えというよう妖怪退治は積極的には行わないで欲しいというようにね」
「・・・一つ気になるのですが、貴女の手で元の場所に戻すことは出来ないんですか?貴女の力ならば難しいとは言え、出来ない事はないのではないかと思うのですが・・・」
「それは出来ないことはありませんが、幻想入りしてくる者達は全てが全てとは行かない物の元の場所でも忘れ去られるようなことをしていた者達・・・この辺りは四人が元々の場所で人々に忘れられないような生活をするというならともかく、元々の経緯から四人は人目のない生活をするようにしていたことから、再度の幻想入りをしてくる可能性は決して有り得ないとは言い切れません」
「・・・つまり貴女は再度幻想入りしないような状態で過ごすよう動かないというなら、もうこのまま幻想郷で条件を守ってくれるなら幻想郷の住民として受け入れると考えたということですか」
「そういうことですわ」
ただというように前置きをして自分も驚きつつ事実を受け止めたというよう話す中身にそもそも四人を映姫は返さないのかと聞くのだが、返答の中身に納得する。今のままではまた四人は幻想入りしかねないのだということに。
「・・・紫は帰らんと予感しているだろうから僕から敢えてハッキリとした言葉にする為の形で聞くが、お前達は元の場所に帰りたいと思わんのか?」
「それはないな・・・そちらの『クラウド』が戦った三人のような人物達を止めたいという気持ちはないとは言えないが、それでも俺達のやってきたことを考えれば下手に俺達が元の場所に幻想入りをしないためだけに行動するのはよろしくないだろう。だから俺は元に戻るつもりはない」
「俺もそうだな・・・正直エアリスに会いたいって気持ちは無いとは言えないけど、それも今となっちゃ神羅に反旗を翻しちまったから会いに行くなんてとても・・・」
「俺ももうその気持ちはない・・・むしろ今となっては母さんやティファ達に出会うこと自体が望まれる事じゃないし、巻き込んでいいことじゃないと思っている・・・向こうでどうなっているかは知らないしそっちの俺には申し訳無いが、母さん達には平穏に生きていて欲しいからな」
「そして私も同様だ・・・一応宝条については不安要素はあるが、それでもオメガに関してはやれることはやってきた。もう元の場所に戻って不用意に動くつもりはない」
「成程・・・四人とも帰らない方に気持ちは固まっているということか」
そんな中でジューダスが当人達の気持ちについてどうなのかと問い掛けるが、四人揃ってもう帰らないと決めているとの返しに一つ頷く。嘘偽りがない答えを聞いたことに納得するよう。









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