英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・宝条の件に関しては俺は後聞きの部分は多いが、こういうわけだ。これからもまだ何かあるかどうかは俺には分からない。特にセフィロスに関してはまた同じような誰かが同じような事をして、俺達の前に現れることもないとは言い切れないだろう・・・だがもう俺は迷うことはない。何度現れようと俺はその度に俺の側のセフィロスやそいつらを倒していくつもりだ」
「そうか・・・」
・・・そうして全てを見終わった所で『クラウド』が自身の意志を強く口にしていき、セフィロスは静かにその意志を目を閉じて受け止める・・・自分に向けて言った物ではないにしても、『セフィロス』という存在に対しての宣言を。
「・・・あの~、俺らとしちゃこんなことになったってそっちの『クラウド』から聞けたって言うのは今となっちゃ良かったって思うけどさ・・・紫が俺達が妖怪相手でも戦えるってこうでもしないといけないって説明する為にしても、ちょっと過剰な気がするんだけど・・・」
「・・・そう言えばそうね。確かに妖怪殺しを大量にされるのは問題になるかもしれないけど、それでも妖怪を殺せる人間はいるわけな上に防衛の為でも絶対に殺すなと言われてないのだから、その死体を文に新聞にさせて載せる辺りで十分に抑止力にはなると思うけれど・・・」
ただここでザックスが改まってどうしてこんなことをと頭をかきながら言ったことに、アリスも納得するよう紫に視線を向ける。このやり方は色々と回りくどくないかと。
「主に彼らに言いたいことが三つあるからよ・・・まず一つ彼らにはこの幻想郷で暮らすからには、彼らに積極的な妖怪退治は止めて欲しいというように言うためね。彼らの実力は今までの映像から分かるよう並の妖怪では束になっても勝てないくらい・・・その上で彼らが生きていくことを考えれば金銭を得るために人里で働かなくてはならないだろうけれど、彼らの実力を見込んだ人里の者達が妖怪退治を頼み込みにくる可能性は十分に有り得ると見たのよ」
「・・・確かにそこに関しては早めにどうにかしないといけないでしょうね。彼らの実力を考えれば妖怪側は侮って行動することも出来ず、かといって仰々しく彼らを討伐なんて事をすれば妖怪が人間を恐れてるなんて話になりかねない上、場合によっては霊夢辺りもそうだけれど命蓮寺の和尚を始めとして色々出ばってくる可能性は高いから、そうならないようにするためにはこっちの四人に人里の味方をしないようにと頼む方が楽・・・と考えた訳だろうけど、貴女の立場からしたら彼らを殺した方が手っ取り早くないかしら?」
「・・・彼女の言うことは確かですね。ですがそうしないのは残り二つの理由にあるということですか」
「そうなります」
そんな紫が理由は三つあると一つ目について挙げ、アリスが納得しつつも出した疑問の声に映姫も追従すると紫は頷き返す。
「二つ目の理由は単純にこの幻想郷は全てを受け入れるということからよ。今までこの幻想郷には侵略者と呼べる存在もだけれど、幻想郷自体を壊しかねない事を仕出かそうとした者も出てきた・・・それでそうした者達は霊夢に退治されたのもあったりして大人しくしているけれど、そういった行動を何もしていない彼らを殺すようなことは流石に過剰だと思ってね」
「・・・私達や天人などの事を言っているのだろうし、四人の事を侮っているわけでもないのだろうけど、それが幻想郷を作った賢者としての考えなのだろうが・・・だがまだこうして平行世界の存在まで連れてきた事についての理由にはならないが、三つ目の理由に核心があるということか」
「そういうことね」
そのまま二つ目の理由を言葉にしていく紫にレミリアが少し不愉快そうにしながらも核心は三つ目かと口にすると、そうだと頷き返す。









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