英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・取り敢えず続きを見せてくれ。三人はまだ動揺から立ち直れていないようだが、この後もまだ何か見てもらわなければならないことがあるのなら、ここで映像を止めて立ち止まっていても時間がかかるだけだろうからな」
「・・・分かりました。では続けます」
ただそこでヴィンセントが冷静な声で続きを促してきたことに、映姫は少しすまなそうに三人を見つつも頷いて浄波瑠の鏡を操作していく。


















・・・そうして再び映像は続くのだが、そこからしばらくの映像は酷いものであった。セフィロスを撃退した『クラウド』と何とか生きていたザックスだったが神羅の人間達に見付かって捕まり実験台として体を弄られ、『クラウド』が精神崩壊といった様子になったことに紫以外の面々は揃って表情を歪めていた。長寿であり残酷と呼べるような事にいくつも手を染めてきた筈のレミリアまでもが、人の悪意をここまでかと凝縮させたような事を見たが為に。

だがそんな中でザックスが何とかそんな『クラウド』を連れて逃げ出し、車を捕まえて未来を語っていく姿があったのだが・・・その後に神羅の兵に囲まれ、そこに突っ込んだザックスが健闘空しく兵士に殺された上にその姿を見た後で『クラウド』が自我を取り戻した映像を見て、ザックスはたまらず映姫に映像を止めてくれと願った。






「・・・こんな、事になったのか・・・そっちの俺は・・・」
「・・・すまない、俺のせいだ・・・こうして傍目から俺の姿を見ることになるとは俺も思わなかったが、せめて俺がもう少し早く気を取り戻せていたら・・・」
「いや・・・下手に気を取り戻していたらあの兵士の言葉通り、お前もその時に殺されてたんだろう・・・あの兵士の数的に俺が引き付けてお前一人が逃げるとか、一緒に戦ってとかってしててもどうにもならなかっただろうからむしろ・・・あぁなったのはともかく、こうしてお前が生きていてくれたのはまだ良かったって思うよ・・・」
「ザックス・・・」
・・・そうしてうつむくザックスの声に『クラウド』は心底から申し訳無いと顔と声を歪めるのだが、そこで顔を上げて力無いながらも確かな笑顔と声を向ける様に更に表情が曇った。ザックスのこの顔は強がりであると共に本心からそう言っているのだとも分かったが為に。
「・・・すまない、映像を進めてくれ。もうそっちの俺についてはそういうもんだって受け入れるからさ」
「・・・はい、続けましょう」
それでザックスはそのままの様子で続きをと映姫に切り出し、映姫も何とも言いがたげに頷いた。


















・・・そうして『クラウド』がミッドガルに何とか着いた上でティファと出会ったことから事態は進んでいき、神羅を相手に動いていく『クラウド』がエアリスという女性と会ったことにザックスが驚きを浮かべたのだが、その中で神羅にエアリスが拐われたことで神羅ビルに突入して連れ戻すとなってから時間が進み・・・ジェノバが神羅ビルに運び込まれていると見た時や宝条が現れて非人道的な実験をし出した時にはセフィロス達は一斉に不快そうに顔を歪めたのだが、それで敢えなく捕まって少し時間が経った後に不穏な空気を察して脱出した『クラウド』達が見た光景は・・・セフィロスの愛刀である正宗がプレジデントに突き立てられている物であり、四人は驚いた物だった。ニブルヘイムでそちらのセフィロスは死んだものだと思っていた為に。

それで『クラウド』が後の話にも繋がるがセフィロスが実は生きていたというのもそうだが、そのセフィロスはジェノバ細胞を埋め込まれた人物達を使うだったり細胞を使うことで自分のコピーを作り、そのコピーを自分の目的の為に動かしていたのだと言った。

そんな答えに四人はそこまでそのセフィロスは変わると共にジェノバの影響を受けたのだと確認しつつ、更に続きの映像を見ていった。









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