英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 後編

「・・・驚く気持ちは俺も分かる。実際俺も紫が現れたのもそうだが、まさかこんな形でセフィロスやザックスと出会うことになると思っていなかったからな・・・」
対して紫が連れてきた『クラウド』も疲れたように名を出した二人に視線を向けて漏らす。
「・・・八雲紫、そちらの『クラウド』が貴女の言う証人なんでしょうがどのような話をするのですか?」
「その件につきましてはスキマの中で彼に浄波瑠の鏡を用いて、彼の歩んできた道を見せてもらうことに同意していただきましたわ。彼の口から説明していただくにしてもそちらの彼も分かっているでしょうがあまり多弁ではありませんし、実際に見てもらった方がいいと思ってそう話をしたのです・・・そちらの四人からすれば色々と信じがたい事が起こったことを見てもらうためにも、ね」
「「「「っ・・・」」」」
映姫はそこでどんな話をと聞くが浄波瑠の鏡を用いてもらう許可は得ていると共に、相当な物を見ることになると予測させる意味深な話し口と視線に四人はそっと息を呑んだ。本当に冗談ではなく相当な物を見せられるのだと感じさせる様子に。


















・・・そうして映姫が取り出した浄波瑠の鏡を『クラウド』に向け、ニブルヘイムへ向かう任務の際から映像は始まった。『クラウド』の生まれから見るのは流石に長すぎるし話の本筋には関係無いからと。

ただニブル山の魔晄炉に向かう際に出てきた敵に対してのザックスの戦いもだが、セフィロスの魔物を全く寄せ付けない圧倒的な強さに、レミリアは興味深そうに見ていたがアリスは唖然としたような様子を見せていた。四人が戦えると言っていたのは誇大広告の過剰な自信だと思っていたのが、それは当然どころではない物だったと認識して。

ただそんな中で映像は進んでいってニブル山から戻ってきてから数日して、セフィロスがニブルヘイムに火をつけて人々を殺していく映像になって、一時気を失った『クラウド』が目覚めてニブル山の魔晄炉に行った際に・・・ザックスを撃退したセフィロスと殺し合いになって火事場の馬鹿力で魔晄炉の下に投げ落とした光景を見た所で、紫は映姫に映像を止めるようにと頼んだ。一先ずここで一区切りにするようにしないと、ヴィンセントを除いた三人が衝撃を受けすぎていてどうにもならないだろうからと。






「・・・こんな、事をそっちの俺はやったというのか・・・それにザックスにもクラウドにも、こんなことを・・・」
「・・・スキマの中で話を聞いてはいたが、あんたがそういったことを言うことは俺からすれば違和感しかないな・・・それもヴィンセントと偶然からとは言え出会えたからだということか・・・」
・・・そしてそこでセフィロスが愕然としたように下を向きながら力ない声を漏らす様子に、『クラウド』は複雑さを滲ませながらしみじみとヴィンセントを見ながらこれだけ違うのかと漏らす。出会い一つでこうもなるのかと。
「・・・平行世界の存在については身を持って知っているつもりだったが、こうもきっかけ一つで大きな差が出る様子を見ると相当な物だと改めて感じるな。ましてやこうして仲間を想う様子を見せる人物と、誤った事を知ったからこそ暴走して周囲を滅ぼさんとしてしまう人物を見てしまえば尚更だ」
「「「っ・・・!」」」
そんな中でリオンが自分の立場も交えてしみじみと漏らすその声にヴィンセントを除いた三人が一斉に息を詰まらせた。自分達はそうはなっていないが、もしも少し違っていたら映像の通りになっていたのだとまざまざと感じると共に・・・自分達の状況は『クラウド』の方と違い関係性として断然に恵まれているのだと感じた為に。









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