築き上げる苦労

・・・アッシュと内密に話を進め、これでいいという話になった所でアッシュは外へと出ていった。二人をティアに合流させ、外へ脱出させる為に。だが・・・






(『・・・こんな手段しかねぇってなんか悲しいな・・・』)
(言うなよ・・・周りに神託の盾がいて、見つからないように動くなんて流石に無理なのはジェイドも納得済みなんだし・・・)
・・・神託の盾に抱えられながら歩くルークだが、その内心で情けないといった気持ちになっていた。いくら今のアッシュの状態であっても兵を都合よく配置換え出来るわけないし、神託の盾と揉め事を起こさないまま移動出来るわけないと・・・その為に二人は外に出て気絶したフリをして、アッシュがさも二人を捕らえたと言ったように振る舞い牢に運ばせると言った段取りにした・・・そしてそれは成功して、神託の盾は気絶していると言ったフリをしている二人を運んでいるという訳である。ただこんな手段でしかどうしようもないということに情けなさを『ルーク』は感じざるを得なかったのだ。






・・・そうして牢に運ばれてきた二人。それで周りに神託の盾がいなくなったのを確認すると共に体を起こす。
「・・・大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だけど・・・ここ、牢だよな?あいつ、ここにいるのか・・・?」
「・・・それは私の事かしら?」
「・・・いたのかよ。つーか隣か、この感じだといるの」
二人はそのまま起き上がり会話を始め、隣の牢からティアの不機嫌な声が聞こえてきた事にルークもいる位置を把握する。
「・・・貴女はこのタルタロスを襲ってきた神託の盾にここから出るというか、出してくれと懇願しなかったのですか?」
「・・・しました。ですが私の話など聞いてもくれず、さっさとここから離れていったんです・・・」
「そうですか・・・ならこちらに協力してください。最早このタルタロスは神託の盾の手に落ちていて、もう奪還は不可能です。かといって脱出もそう容易ではありません・・・その為には手数が多いほどいいでしょう」
「だから私の手が欲しいと?・・・正直その必要性を感じません。貴方達はともかく私は襲ってきた神託の盾と敵対はしていませんし、その事を話してさえしまえば・・・」
「ここに残って貴女が大丈夫だなどと保証されるなどあると思いますか?」
「え・・・?」
次にジェイドがティアと話をするが次第に自分は優位であるといった空気になる様子に、大丈夫との保証がないとの言葉にティアは呆けた声を漏らす。
「貴女はろくに話を聞いてなかったからピンと来ていなかったかもしれませんが、我々とイオン様達はマルクトの命によりキムラスカとの和平の為に動いている身です。そんな我々をこのような形で襲ってきた彼らが我々の目的を知っているかどうかは別にしても、やり方がやり方ですし下手に目撃者を残すような事をすればマルクトとの遺恨が発生します・・・貴女がマルクトや我々に対してどのような印象を抱いているかは置いておきますが、神託の盾ではあっても彼らと所属の違う貴女の事を何も言わないから大丈夫だなどと無条件に言うと思いますか?」
「そっ、それは・・・」
「もし大丈夫だなどと思うならもうそれで構いませんよ、その場合は私達は貴女を置いていくだけです。ただそれで貴女が殺されるような事態になっても、我々は責任など取れませんがね」
「っ・・・!」
ジェイドはそこから神託の盾が取りかねない行動に加えて最悪の可能性であるティアの言い分を聞かずに殺しにかかることを口にすると、牢越しでありながらもハッキリと息を呑む音が聞こえてきた。自分がそうなりかねない可能性を少なからずどころかかなり感じたのであろう様子で。









.
2/22ページ
スキ