英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「・・・あんたがやるつもりなのか、ヴィンセント?いや、セフィロスがやるのもそれはそれでってなるけどさ・・・」
「この場にいる誰かがやらねばならないことだ。それならせめて私はただ見るだけより、自分の手で事を為してその罪を背負うことを選ぶ・・・彼女を解放する為にもな」
ザックスはそんな決意の見える言葉に突っ込むのだが、ヴィンセントはもう迷わないと銃を構えてルクレツィアに向けたが・・・そこでルクレツィアは首を静かに横に振った。
「ごめんなさい・・・こんなことを言う資格はないのは分かっているけれど、最後に一度だけ・・・セフィロス、貴方を抱かせて・・・貴方の事を抱くこともないままに貴方と別れて今まで生きてきたけど、せめてこうして出会えたなら最後に一度だけでもお願い・・・」
「セフィロス・・・」
「・・・分かった」
そこでルクレツィアが絞り出すような声で願い出た抱擁をしたいとの要求にクラウドがどうするか声と視線を向けると、セフィロスは頷いた後にルクレツィアに近付いて腕を回して抱擁をすると・・・ルクレツィアもまたセフィロスを抱き締め返した。
「・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい、セフィロス・・・私が母として何も出来なかったせいで、こんなことにしてしまった・・・」
「「「「・・・」」」」
そしてそのままにセフィロスの胸に顔を押し付けながら心からの謝罪と後悔を言葉にしていく姿に、抱き締めているセフィロスも端で見ている三人も何も言わずに済ませるしかなかった・・・ルクレツィアがどれだけの想いをセフィロスに抱えながら過ごしてきたのかを感じ、下手に急かすような事など何も言えないとなって・・・


















・・・そして数十分という時間が経ち、ルクレツィアはセフィロスから体を離してもう心残りはないから殺してほしいといったことにより・・・ヴィンセントが銃を撃ち、セフィロスがマテリアを用いての魔法でルクレツィアの体を焼き付くすようにしたことでその体を消し炭と化した。

そんなルクレツィアの姿を見てクラウドとザックスは二人の様子を見たが、行くぞというセフィロスの声とヴィンセントと共に歩みだす姿にそれ以上何も言えずに後を付いていくしか出来なかった・・・二人もやらなければならなかったからとは言え、ルクレツィアを殺したことに辛さを感じずにはいられなかったし突いてはいけない事だと感じてだ。

そうしてセフィロス達の後を付いていく形で移動を始めてしばらくしてまたルクレツィアに会う前のように四人で行動をしていき、次の目的地であるニブルヘイムに行って魔晄炉を止めると共に奥に安置されていたジェノバの体の入れられたカプセルを引きずり出し、四人は魔法や召還魔法のマテリアを使う形で一斉に攻撃してジェノバの体を消滅させていった。文字通り細胞一つ残さないようにだ。

そうしてジェノバを消滅させることに成功した四人はルクレツィアからの話からオメガについてを片付ける事にした。ジェノバと違ってまだオメガが出てくるとは限らないが、オメガを自分達の為に出現させかねない人物達についての情報を受けていたことからその人物達に対処する為だ。

その際の悶着に関しては様々にあったがそれでもオメガに関しては結果としてその人物達を片付けたことで収まり、追加された物も含めて四人の旅の目的は全部果たされた。









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