英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「ここは・・・?」
「こんな辺鄙な所にこんな場所があるなんて・・・」
・・・明らかに自然物ではない人工物で作られた滝の裏の洞窟にて。
そこに入った中でクラウドにザックスの二人が辺りを見渡しながら何なのかと声を漏らす。
「・・・誰?」
「っ!・・・この声、まさか・・・!」
そこで奥から聞こえてきた女性の声にヴィンセントが何かに気付いたように前に出る。
「・・・ルクレツィア・・・君なのか・・・?」
「ヴィンセント・・・?」
そうして奥にある結晶体の前の台座に座り込む女性を見て信じられないというようヴィンセントが名を口にすると、女性もヴィンセントに気付いたというように漏らした。自分がルクレツィアだと認めるよう。
「ちょっ、ルクレツィアって・・・おい、セフィロス・・・」
「あぁ・・・」
「セフィロス・・・!?」
そんな様子にヴィンセントに近付きつつザックスが驚きつつセフィロスに話し掛けると、憂鬱気味だったルクレツィアの声が驚きに変わって信じられないといった表情を見せていた。
「・・・ヴィンセント。本当にこの人が俺の母親なんだな?」
「あぁ、間違いない。ただ私が最後に見た時と比べて、失礼だが歳を取っていないようにしか見えないが・・・」
「・・・本当に貴方、セフィロスなの・・・それにヴィンセントが一緒って、どういうこと・・・?」
「・・・少し時間を取った方が良さそうだな。色々と三人の間で積もる話がありそうだ・・・」
それで三人はどういうことかというよう慎重に話をしていき、そんな様子にクラウドがそっと声を漏らしてザックスもそっと頷いた。時間を取るべきだと。


















・・・そうしてザックスとクラウドの二人は時折話の中で確認をされる形で三人の話を聞いていった。セフィロスとヴィンセントの二人とどんな風に出会い共に行動してきたのかを話す形でだ。






「・・・そう、なの・・・セフィロスは全部を知って、それでヴィンセントやそちらの二人と一緒にあの人達を殺したと・・・」
・・・そうして四人側の話が済んだ所でルクレツィアは表情を暗く沈んだものにするのだが、そこでザックスが気まずげに頭をかきながら口を開く。
「・・・あの~、俺からこういうことを聞くのは良くないかと思うんですけど・・・その反応的に貴女は宝条の事をまだ好きだったりするんですか?ニブルヘイムで貴女の事を見捨てるように神羅に戻ったと宝条から聞いたんですけど、今の反応的に何か未練みたいな気持ちがあるように感じて・・・」
「・・・好きかどうかと言われると、科学者としての宝条に尊敬とか同調をしていたと言った方が近いわ。ただそれでセフィロスを産んだ後ですぐに私はニブルヘイムに置いていかれる事になった時に、宝条ならやるだろうと思ったのと同時に私も宝条の立場ならそうしただろうと思ったの・・・自分の好奇心の為に血を分けた子どもを実験の為に使用する事はね」
「そんなっ・・・」
「でもそうした結果が偶然が味方したとは言え、セフィロスは全てを知ることになった上でヴィンセントの手で宝条が死ぬことになった・・・そう考えると因果な物だと思っただけであって、宝条に対する気持ちはないわ。ただ宝条がヴィンセントに殺されたと聞いて、私は宝条を羨ましいと思ってしまったの・・・私と違って簡単に死ねたのだということにね・・・」
「え・・・?」
そこでザックスが言葉にした宝条への気持ちについての問い掛けに、ルクレツィアは自分の感じたことを交えて話した上で羨ましいと自分の体を抱くように漏らした辛そうな声に、ザックスだけでなく他の三人も怪訝そうな表情を浮かべた。









.
10/15ページ
スキ