英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「・・・セフィロス、本気なんだな・・・なら俺にも、それを手伝わせてくれないか?」
「クラウド!?」
だがここでまさかのクラウドから協力を申し出るとの言葉が出てきたことに、ザックスもだが残り二人も驚きに目を見開いた。
「・・・俺もこの数日、どうするべきかを考えてた。ただ魔晄炉の事を聞いたのもあるからどうしても考えてしまったんだ・・・もしかしたらいずれ母さんやここの人達も行方不明とかの形で、魔晄に晒されて魔物にされてしまうんじゃないかとかな・・・」
「っ・・・それは・・・」
「神羅のやり方を考えればそうしないと否定は出来ないだろうな。むしろどこからか遠い所から人を拐うか連れてくるなどするより、魔晄炉に近い場所にいる誰かを行方不明にして魔物にした方が魔物に襲われた辺りで簡単に有耶無耶に出来るだろうから、それを常套手段としていた可能性は高いだろう」
「俺もヴィンセントの言ったような事は有り得ると思ったし、今はまだいいかもしれないけれど母さんやティファ達にその手が伸びてくるかもしれない・・・そう思ったから神羅を早くどうにかしたいと思ったんだ」
「そういうことか・・・」
クラウドも自分の立場でどういったことを考えていったのかを覚悟したという様子で明かしていき、ヴィンセントの補足も加わった考えを聞いたことにザックスは腕組みをして考える様子を見せた後、勢いよく一つ頷いた。
「・・・よし、ここまで聞いたんだ!俺もこの話に乗らせてもらうよ!」
「・・・いいのか、そんなことを言って?クラウドはともかくお前も自分でどうするかを考えていたのではないか?」
「まぁ確かに考えてはいたよ・・・と言っても俺は神羅から離れることまでしか考えられなくて、そこからどうするかって考えてたんだがどうにも安心な場所でノンビリしてるだけなんて気にはなれなかったんだ・・・だから二人の気持ちを聞いたのもあって、俺も協力したいって思ったんだよ。特にクラウドの話を聞いて魔晄炉のあるゴンガガにいる両親の事を考えると、もしかしてのことも有り得るって思うと神羅をどうにかしないといけないってな。だから俺も二人と一緒に行くよ・・・それにセフィロスが言ったように俺もアンジール達のような存在をこれ以上産み出したくないと思ったからさ」
「そうか・・・」
そのままザックスもスッキリ決まったとばかりに付き合うと切り出し、セフィロスがいいのかと確認を向けるが二人のおかげで決まったと笑顔を浮かべる様子に微笑を浮かべ返した・・・本当にこれまでに色々とあったが、久しぶりの笑顔を心から浮かべて。



「・・・ならば私もお前達に同行しよう」



「・・・何?」
・・・だがここで更にヴィンセントまでもが同行についてを切り出したことに、セフィロスが声を漏らす形になったが三人は揃って何故という視線を向けた。
「言いたいことは分かる。私がいきなりそんなことを言い出す理由が分からないと思っているんだろう・・・私がそう切り出した理由は宝条達の事を止められなかったせめてもの贖罪と共に、ルクレツィアをどうしたのかと宝条に問い質したいと思ってだ。奴の事だから生きている可能性は低いというのは確かだが、同時に私の事をこのような形で生かしていた事を考えれば何処かでルクレツィアが生きている可能性もまた有り得ないとは言い切れん。使えるサンプルだと保持しておきながらも時間が経って、興味の無くなったオモチャに意味はないと捨て置かれる形でだ」
「・・・現に貴方もそういった形で捨て置かれていたから、こうして何もされない形で長年の間ここで眠っていたということか」
「そうなる・・・と言っても生きていると決まっているわけではないが、死んだというならせめてその場所に行き彼女の冥福を祈るくらいはしたい。宝条の口をどのようにしてでも割らせてだ」
「・・・いいだろう。そういうことなら俺も母の行方が気にならない訳ではないから一緒に来てもらっても構わないが、貴方にも元タークスの腕前を披露する形でそれなりに働いてもらうことになるぞ」
「構わない。それくらいは覚悟している」
「・・・決まりだな。ではよろしく頼む」
そんな視線にヴィンセントが主にルクレツィアと宝条のことが理由と語っていき、セフィロスが真剣なのかを聞いた時に迷うこと無く返した事に微笑を浮かべて頷いた。四人で行動することになる事を受け入れて。









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