英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「・・・何だ?私にまだ何か用か?」
「まずは貴方に礼を言いに来た・・・この数日で隣の研究室として使われていたらしい部屋の資料を詠み漁っていたが、俺の経過を観察していたというような物がいくつか見付かった。あれらを見ていく中で貴方から話を聞いていなければ俺は自分の出生を誤解したままに行動を起こしかねなかっただろう・・・母は貴方の言った女性ではなく、母の体に植え付けた細胞の元となった女性であり、他の人間達を憎む対象としてな」
「・・・それだけの研究が隣の部屋にあったということか」
そうしてヴィンセントが棺から出てきて用向きを問い掛けられるセフィロスだが、少しスッキリしたというように返してくるその中身に部屋のある方を見て目を細めた。何も知らなかったならセフィロスが誤解をするだろう上で、相当な中身の研究の成果があったということに。



「そうなるが、その中身を見た上で俺はこれからどうするかについてを考えた。特に貴方から言われたようこのまま神羅の犬になるかどうするかに関してだが・・・宝条を始めとして神羅の上層部を始末することにした」



「「っ!?」」
・・・だが構わず冷徹な表情を浮かべたセフィロスが話したどうするかの方針に関してに、ザックスとクラウドはたまらずに驚愕に表情を歪ませた。まさかの考えを聞いて。
「・・・それは神羅もそうだが、宝条を許せんと見たからか?」
「大まかに言えばそうだが、特に宝条もそうだが科学部門を潰さねば以降もまた俺やジェネシス達のような者達が生まれかねん事を考えてだ。だがそれで宝条達だけを殺して回った所でプレジデントやルーファウスにハイデッカーにスカーレットと、神羅カンパニーのやり方を変えること無く科学部門を復活させかねん人物は何人もいる・・・そう考えれば奴らをまとめて始末する以外にこの状況をどうしようもないと見てだ」
「・・・確かに宝条やその周辺だけを片付けても、神羅は変わらんだろうな。むしろそんなことがあれば宝条の二の舞を起こすまいと注意を払った上で以降も事を起こしかねんだろう。自分達の使える手を増やしつつ、人道から外れた研究による被害など自分達に関係無いからどうでもいいとな」
「あぁ・・・それにニブル山の魔晄炉を見たからこそ言えることとして、各地の魔晄炉を宝条達を殺した後に稼働停止させていく予定だ。残った神羅の人間がまた復活させようとするかもしれないが、少なくとも今ニブル山で魔晄に晒されている者達を解放はしてやれるだろう。魔晄の恩恵が無くなるということに不満を持つ者達の事など知ったことではないがな」
「それだけの覚悟がお前にはあるということか・・・」
ヴィンセントは一人静かにその意志についてを確認するような問い掛けを向けるが、考えをまとめた上で決意が固いといった答えを返すセフィロスにそっと目を閉じる。
「・・・本気なのか、セフィロス?」
「あぁ、本気だ。だが流石にこんなことにお前達を巻き込む気はないが、かといってお前達に邪魔をされたいとは思っていない。だからお前達がどうすると決めたかは知らないが、俺の事は敢えて見逃してくれ・・・もうジェネシス達もいない以上、反対だからと対立の形になりお前達までもを失いたくない」
「・・・俺達を殺してでも、か・・・本当にそこまで考えてるんだな、セフィロス・・・」
そんな言葉に少し気を持ち直したザックスが真意を問うと、セフィロスは二人を殺すのも嫌だが必要なら辞さない事を口にしたために本気だと理解して首を横に振った。もう説得を出来ないというよう。









.
6/15ページ
スキ