英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「・・・こうしてお前と話してみて確かに思ったことは一つある。それはもう俺は神羅の為に働く気になどなれないということだ」
「それは・・・確かにセフィロスの気持ちを考えれば、そうはなるだろうけど・・・それならこれからどうするんだよ、セフィロスは・・・?」
「・・・数日程どうするかを考える。すまないが出来ることならその間はここに来てからの一連の流れについて、神羅に報告せず黙っていてくれ・・・中身が中身なだけに報告を送れば奴らが証拠隠滅にかかりに来るのは目に見えている。そうなれば俺もだがお前にも当然その手は伸びてくるだろうからな・・・」
「っ・・・分かった・・・ただ兵士として報告の義務があるクラウドにはどう話したらいいか・・・」
「・・・その辺りは数日間の口止めを最低限するように約束させてくれ。事情を伝えるかどうかに関してはすまないがお前が判断を頼む・・・お前も色々とあるだろうが、正直今の俺ではどうするのがいいかなど判断出来んだろうからな・・・」
「あぁ・・・セフィロスはゆっくりしていてくれ。俺も俺でどうするか考えておくから、何か決まったら俺の所に来てくれ」
「あぁ、すまない・・・」
そんな様子を見ながら自分に余裕がないというようにセフィロスは時間が欲しいと言い、その声にザックスが笑顔を浮かべて了承する姿に力無く頭を下げた。本当にいっぱいいっぱいであることを隠せないように。


















・・・それでセフィロスは神羅屋敷の中で一人過ごす形、ザックスは共にニブルヘイムに来ていて友達となった一般兵のクラウドと共に宿で過ごす形で数日程時間を使った。尚この際にクラウドにザックスは報告についてはまだ止めて欲しいと頼んだのだが、一体何があったのかを聞かないとそれは・・・というように言った事から秘密に出来るならと前置きをした上でザックスは話をしていった。ジェネシスやアンジールにセフィロスに何が起きて、そして神羅が三人を始めとした者達に何をしていたのかについてをだ。

それらの話を受けてクラウドは絶句するしかなかったのだが、それでもザックスが嘘をついた訳ではないということや神羅がやっていることが悪質という言葉では到底言い切れる物ではない事をやっていること・・・そして英雄として尊敬しているセフィロスがそんな事情があったことを聞いて、最早ソルジャーになる夢を諦めると共に神羅から離れると告げた。

これは言ってしまえばクラウドは都会に憧れていた自分を変えたいと思う子どもな田舎者であったが、それも慣れない都会での兵士としての生活から色々と疲れていた所に今回の件があったことで、もう神羅に残りたくないという気持ちになったというのがクラウドの言葉だった。

そういったクラウドの言葉を受けてザックスも自分もどうするかを考えていき、少なくとももう神羅から離れたいという考えを抱いた上で自分はどうするかと考えていくのだが・・・そうして数日が経って決意が固まったというセフィロスが来て神羅屋敷に来て欲しいと言われ、クラウドはザックスに自分も行きたいと切り出した。もうここまで来たのだから自分も何も知らないままではいられないからと。

その意志が固いことからザックスはクラウドも共に連れていく事にし、セフィロスと三人で神羅屋敷に行きヴィンセントの眠る棺の元を訪れた。









.
5/15ページ
スキ