英雄と呼ばれた男は真実を知り、仲間と共に堕ちる道を選び幻想になる 前編

「・・・私はお前がどう考えて、行動するかについてを強制する立場にいない。後はどうするかはお前自身で考えてみろ。私はまた眠りにつく・・・お前の話を聞いたことによりまた私の罪は増えた。これからはより一層の悪夢が私を襲うだろう・・・」
「っ・・・」
そんなセフィロスにヴィンセントは自分でと言いつつ棺桶の中へと戻り蓋が勝手に閉まるのだが、セフィロスはただ何とも言えないままにその様子を見届けるしか出来なかった。ヴィンセントを止めても何もセフィロスの苦悩が解決する訳ではないというのを自身で理解していたために。


















・・・そうして少しの時間を立ち尽くしていたセフィロスだったが、首を横に振った後に上の方に戻っていった。



「あっ、セフィロス・・・」
「ザックス・・・」
そうして神羅屋敷の隠し通路から出てきたセフィロスは、そこでザックスと鉢合わせをする。
「・・・どうしたんだよ、セフィロス?何か顔色がニブル山に行った後より悪いぞ?」
「・・・少し、ここの地下で色々とあってな・・・」
「何があったんだよ、セフィロス・・・?」
「・・・俺個人の問題だと言いたいが、正直俺も色々とどうするべきかと迷っていて誰かに話を聞いてもらいたいと思っているくらいだ・・・だがそれでもこんな話をお前に聞かせてもいいのかという考えくらいはまだある・・・聞きたくないなら俺は話はしないが・・・」
「いや、聞くよ・・・ニブル山の事があって俺も混乱してないって言ったら嘘になるけど、そんなセフィロスの様子を見たら放っておけないし・・・」
「そうか・・・なら話そう・・・」
そのままそこで会話をする二人だが、普段のセフィロスとは比べ物にならないくらいに弱っていたこともあるからか、ザックスが心配そうにかけてきた声にもう最後の意地もいいとばかりにセフィロスは疲れを浮かばせながら話すと切り出した。先程起きたことについてを・・・


















・・・そうしてセフィロスは力無いながらも地下で出会ったヴィンセントと何を話したのかに、最後に言われた選択肢についてを話した。



「・・・そんなことになったっていうか、そんな人が地下にいたのか・・・そしてこれからどうするかと言われたと・・・」
「あぁ・・・そうだ・・・」
・・・それで全てを話し終え、二人は共に疲れきったようにうなだれてしまった。やはりセフィロスだけでなく、ザックスも数日前のニブル山の事から自分達のことや神羅に関してを思い悩んで精神的に消耗していたために。
「・・・彼は宝条の子は俺の事だと確定はしていないというように言っていたが、奴は俺を体のいい実験動物のような物と見て息子だということも何も言わずに済ませるくらいは平気でやっただろう。そして俺が物心ついた頃から神羅の施設に孤児のような形でいたのは宝条が俺の観察をすると共に、自分が親として俺の面倒や教育など考えてもいないからそちらに俺の事を丸投げしたのだろうともな」
「それは・・・」
「奴との付き合いはお前より俺の方が長いが、彼からの話を照らし合わせれば照らし合わせる程にそういったことをしない方がおかしいという気持ちを俺は抱いた。そしてだからこそ言える・・・俺もジェネシスやアンジールと同じよう宝条だけでなく、神羅にその運命を歪められて生きてきたのだとな・・・」
「っ・・・!」
そうしてセフィロスは疲れたようになりながらも独白気味に自身の考えを漏らすのだが、そこで出てきた二人の名前にザックスも苦々しげに歯を噛み締めた・・・ニブルヘイムに来る前にアンジールで、つい先日のニブルヘイム魔晄炉でジェネシスの二人と苦心に満ちた別れを告げざるを得なくなったザックスだが、その大本が誰だったのかと言えば神羅であって・・・今目の前にいるセフィロスもその被害者だと理解してしまった為に。









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