運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 後編

「・・・取り敢えずこれで予定していた話はし終わった。後の死神への転生とやらは是非曲直庁に行ってからになるのか?」
「えぇ、そうですね。そこで貴方には死神になってもらうための手続き及び儀式を行うようにしますので、そちらに向かってからになります。ただ貴方の場合は幻想郷の環境に慣れるであったり文字の読み書きに、空の飛び方であったりと様々に学んでいただく事がありますので、転生したらすぐさま本格的に死神として活動するわけではないということは承知してください」
「分かった。特に文字に関しては会話は出来ても実際に読み書きが出来なければ話にならんからな」
ジューダスはそんな話の流れを終わらせるようにと自分のその後についてを映姫に聞き、色々とやることをやってから本格的にといったように要約出来る返しに納得して頷く。
『待ってください・・・多分その言葉が正しいならしばらくそちらには会えないという事だと思いますから、その前に少しお話させていただけませんか?』
「・・・分かりました、どうぞ」
それでそのままジューダス達は退散・・・となる前にシャルティエが意を決したというような声で話をと切り出してきたことに、映姫も気持ちを察して許可を出す。
「・・・何だ?」
『貴方が考えて出した結論ですし、何もかもをかなぐり捨てるようなやけっぱちな物からの考えではないことは今の話からよく分かっています。だからこそ僕は貴方がこれからこの幻想郷で穏やかに過ごせるようになってほしいと願いたいと思います』
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。僕はもう『エミリオ=カトレット』もそうだが、『リオン=マグナス』とも名乗るつもりもない・・・カイルからもらった『ジューダス』という名でこれからも在り続けていく。だからお前達は僕とは違う道を歩んで生きていけ。僕の事は僕のことと自分でやっていくから、お前達はヒューゴにマリアンにスタン達といった存在を忘れろとは言わん・・・だがその存在に囚われずに生きていけ。それが『リオン=マグナス』ではなく、『ジューダス』として生きた僕からお前達に送る新たな生き方を見付ける為の助言だ」
「・・・余計なお世話だと本来なら言いたいところだが、お前からしたなら僕達はまだ元の世界の事を振り切っていると思えんからこその助言なんだろう。気にはいらんが否定出来んのも事実だから、その助言は受け取っておこう」
『はい・・・僕もその言葉を受け止めます』
ジューダスはその意図についてを何かと問い返すとシャルティエは本心から穏やかに過ごせるようにという言葉を返すが、反対に微笑を浮かべながら助言で返す様子にリオンも仕方無いというように受け取りシャルティエも神妙に返す。
「あぁ、後・・・もう僕の事は坊っちゃんと呼ばずにジューダスと呼ぶようにすることにしてほしいというのもだが、かしこまった口調も止めてくれ。お前にとっての坊っちゃんはそちらの『リオン=マグナス』だろうし、僕も僕でお前の事をシャルティエと呼ぶからな」
『分かった・・・今度からはそう呼ぶことにするよ、ジューダス』
更にジューダスがそこでシャルティエに呼び方に口調を変えるようにと言うと、前から考えていたことだったためにすんなりと・・・だが互いに納得済みというよう区切りの言葉で返した。違う存在だからこそ新たな関係を築く第一歩として。









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