運命に流され翻弄された同じでいて違う者達 後編

『坊っちゃんがこう言ったら怒るだろうなとは分かってます・・・ですけどあっちのあの人の方にはお似合いの人がいた方がいいんじゃないかって感じたんです。そうじゃないとあの人は一人きりになってしまうんじゃないかって感じるんです・・・あっちの僕がいない上にカイル達の元に戻れない以上、誰かに一緒にいてもらった方がいいんじゃないかと・・・』
「・・・誰か、か・・・確かに僕もシャルがいてくれることに少なからず安堵が出来たのは事実ではあるが、向こうの僕にはシャルがいないという事から映姫をあてがおうというのか・・・」
『はい。映姫様はあまり男女関係に縁がなかったからかあのような様子でしたが、少なくとも相性はそこまで悪くないと思いますし生きて活動する意味を見出だしてもらった方がいいと思ったんです・・・恋人だとか夫婦とまでは言わずとも、あの人の事を理解出来る人がいた方がいいと』
「・・・」
しかしシャルティエが怖がることなくジューダスに対しての考えを言葉にしていくのだが、リオンは不機嫌さを収める変わりに首を捻る。
「・・・シャル、何故いきなりあちらの方の坊っちゃんなどと言わなくなった?あの人だとか呼び方を変えたのに違和感を感じたぞ」
『・・・なんというか、僕自身ちゃんと呼び分けをした方がいいと思ったんです・・・僕が一緒に生きてきたのは今こうして話している坊っちゃんであって、あの人は確かに別の世界のとはいえそこの僕のマスターだった人ではあるとは思いますが・・・僕らとあの人の歩んできた道は様々に違う上でエルレインが甦らせたことにより、決定的に僕や坊っちゃんとは違う運命を辿っていった・・・おそらく僕達もあの人のような状況に対面したなら同じような結論を出すかとは思うんですが、九死に一生を得た上でこの幻想郷に来た僕達は例え別のエルレインが同じように僕達の方の世界に来たとしても、元の世界に呼び出されるようなことはないでしょう・・・そしてだからこそ僕としては坊っちゃんとあの人をちゃんと別の存在だと思い、接するべきだと感じたんですよ。ここで坊っちゃんと共に暮らす以上、同じようにここで暮らすあの人の事はちゃんと坊っちゃんとは違う別人だと思うべきなのだと・・・』
「・・・そういうことか・・・」
それでリオンが口にしたのはいきなりの呼び分けについて何故なのかとの問い掛けを向けると、シャルティエが悩んだように口にしていった自身の考えにただ納得するしかなかった・・・色々と考えをまとめていく中でシャルティエ自身もどうかという気持ちを抱きつつも、最終的にこうした方がいいと考えたのだという事実を前にして。
『そしてあの人はあの人で僕についてはもう見極めはついていると思うんです。僕は確かにシャルではあるけれど、あの人が共にしたシャルではないんだ・・・という見極めは』
「・・・そう聞くと僕だけが未だにマリアンにこだわる未熟者のように思えてきたな・・・」
『いえ、それは坊っちゃんの立場からしたならある程度は仕方無いと思いますし、あのように聞いたからこそこれからどうするべきかをちゃんと考えて生きていくべきかと思います・・・と言ってもレミリアお嬢様はかなりそういった意味では厄介そうな方ではあるとは思うんですけどね・・・』
「それは否定出来んな・・・」
その流れのままで二人は会話を続けていくのだが、シャルティエがレミリアの事を苦く話題に出すとリオンも表情を疲れたように歪める。






・・・二人がそのようにレミリアに関して何とも言い難い気持ちを抱いている理由に関しては、とある事を言われたからである。それは何かと言えば・・・









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